ヨウ化エチル(ヨウかエチル、: ethyl iodide)は化学式C2H5Iまたは分子式CH3CH2Iで表される有機ヨウ素化合物ヨードエタン: iodoethane)とも呼ばれる。常温で無色の油状液体で、引火性があり61℃以上で空気との爆発性混合気体を生じる。空気との接触や光線により分解し、褐色を帯びる。エタノール・ジエチルエーテルに任意の割合で溶解し、ベンゼンエーテル四塩化炭素にも溶ける。また、グリニャール試薬であるEtMgIの前駆体であり、エーテル中でマグネシウムと反応させるとこれを得ることができる。

ヨウ化エチル
ethyl iodide
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識別情報
CAS登録番号 75-03-6 チェック
PubChem 6340
EC番号 200-833-1
RTECS番号 KI4750000
特性
化学式 C2H5I
モル質量 155.97 g/mol
外観 無色の液体
密度 1.950 g/cm3
融点

-110.9 °C, 162 K, -168 °F

沸点

72.4 °C, 346 K, 162 °F

への溶解度 0.4 g/100 ml (20℃)
log POW 2.119
蒸気圧 17.7 kPa
kH 1.8 μmol Pa−1 kg−1
磁化率 -69.7·10−6 cm3/mol
屈折率 (nD) 1.513–1.514
粘度 7.269 cP (0 °C)
5.925 cP (20 °C)
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 0479
External MSDS
主な危険性 催奇形性、胎児への危険性、吸入・誤飲・皮膚の接触による毒性、麻薬性
NFPA 704
1
2
1
Rフレーズ R23 R24 R25 R42 R43 R63
Sフレーズ S45 S26 S36 S37 S39 S23
引火点 61℃
関連する物質
関連するヨウ化アルキル
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

製法 編集

赤リンと無水エタノールの混合物にヨウ素を加え、これを加熱するとヨウ化エチルが生成される。これは不安定なヨウ化剤である三ヨウ化リンin situで生成し、下に示す発熱反応が起きるためである。

 

この操作で得た反応混合物を蒸留をし、ヨウ素リン酸を除去して精製を行うと目的物を得ることができる。

参考資料 編集

  • 松岡敬一郎『ヨウ素綜説(第二版)』霞ヶ関出版、1992年。ISBN 9784760301355 
  • 国際化学物質安全性カード ヨウ化エチル ICSC番号:0479 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所, (2004-04), http://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=0479&p_version=2&p_lang=ja 2009年9月28日閲覧。