ラケット(racket)は、球技で使用するボールシャトルを打つために使用するスポーツ用具。

テニスのラケットとボール

概要

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ほとんどのものは、円形に近いボールを打つ部分(ヘッド)と、握るための柄(シャフト)から構成され、ヘッドとシャフトの間の繋ぎ目部分をスロート、シャフトの握り部分をグリップと呼ぶ。ボールを打つ部分はフェイスと呼ばれる。

セバスティアン・デ・コバルビアス・オロスコの「コバルビアス宝典」(1611年)ではヘブライ語が起源ではないかとしている[1]。当時のスポーツは、素手、パラ(木製の長い用具)、ラケットの使用が一般的だったとされている[1]

ラケット類似のスポーツ用具にパドル(paddle)があるが舟の櫂を意味する[2]。卓球のラケットは英語圏ではパドル(paddle)と呼ばれることがある[3]国際卓球連盟(ITTF)はracketとしている。板状の小型のラケット(パドル)を使うスポーツにパドルテニスがある[2]。高齢者向けスポーツである『テニスバット』では、卓球のラケットを大型にしたような板状のものを使う。

テニスバドミントンなどで使用されるラケットでは、楕円形の輪型の枠にガット(ストリングス)といわれる紐が格子状に張り巡らされており、この部分でボールを打つ。伝統的には木材によって作られていたが、現在はチタンなどの軽合金や、カーボン、セラミックなどの素材によって作られている。ちなみにガットはから作られているものが多い(カットグット)。これが反発力を高めると言われている。かつてソフトテニスではの筋を使用していた。現代のガットは湿気に強いポリエステル[4]ナイロンなど化学繊維が主流である。

現代のテニス用ラケットでは重量や強度のほかにテニス肘[5]への対策として「打撃時の衝撃を手首に伝わり難くする」[6]「スイートエリアを拡大する」[6]など機能面の改良が行われている。

競技別のラケット

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出典

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  1. ^ a b 竹谷和之「大航海時代のスポーツ : コバルビアス宝典(1611)のペロタ球戯」『神戸外大論叢』第49巻第1号、神戸市外国語大学研究会、1998年9月、75-96頁、ISSN 02897954NAID 1200062411472021年9月7日閲覧 
  2. ^ a b みんなのスポーツちば vol.113”. 千葉市スポーツ協会. p. 5. 2021年9月6日閲覧。
  3. ^ 杉本つとむ『語源海』東京書籍、2005年、631頁。 
  4. ^ 川副嘉彦、中川慎理「A34 テニスにおけるスピンガットの変革とラケット性能についての考察(打撃特性ほか)」『シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集』第2010巻、日本機械学会、2010年、147-152頁、doi:10.1299/jsmeshd.2010.147NAID 110008742863 
  5. ^ 岩島孝夫, 小林一敏「051J08 テニスのインパクトにおけるラケットと肘の変位振動に関する一考察」『日本体育学会大会号』第40回(1989)、日本体育学会、1989年、376頁、doi:10.20693/jspeconf.40A.0_376NAID 110001932642 
  6. ^ a b 川副嘉彦「テニスラケットの素材・構造と性能 (特集 素材とスポーツ)」(PDF)『バイオメカニクス研究』第7巻第2号、日本バイオメカニクス学会、2003年、136-151頁、ISSN 13431706NAID 80016063739