ラザロの復活 (フアン・デ・フランデス)
『ラザロの復活』(ラザロのふっかつ、西: Resurrección de Lázaro、英: he Raising of Lazarus)は、フランドル出身でスペインに移り住んだ画家フアン・デ・フランデスが1514-1519年に板上に油彩で制作した絵画である[1][2]。画家はイサベル1世 (カスティーリャ女王) の依頼により作品を制作していたが、1504年の彼女の没後以降はパレンシアで作品を制作した。本作は、パレンシアの聖ラザロ教会のために描かれた祭壇画を構成していた作品のうちの1点である[1][3]。現在、マドリードのプラド美術館に所蔵されている[1][2]。
スペイン語: Resurrección de Lázaro 英語: The Raising of Lazarus | |
作者 | フアン・デ・フランデス |
---|---|
製作年 | 1514-1519年 |
種類 | 板上に油彩 |
寸法 | 110 cm × 84 cm (43 in × 33 in) |
所蔵 | プラド美術館、マドリード |
祭壇画はサミュエル・H・クレス財団により解体され、購入された。財団は祭壇画を構成していた板絵8点のうち本作を含む4点をプラド美術館に譲渡した。残りの3点は、『聖霊降臨』、『ゲツセマネの祈り』、『キリストの昇天』である[1][2]。祭壇画由来の別の4点である『受胎告知』、『キリストの降誕』、『東方三博士の礼拝』、『キリストの洗礼』は財団からナショナル・ギャラリー (ワシントン) に寄贈された[2]。
作品
編集本作の主題である「ラザロの復活」は絵画において最もよく表現された主題の1つである。また、『新約聖書』中でイエス・キリストが起こしたとされる3人の死者の復活のうちの1つであり、かつ最も重要なものである[4]。
「ヨハネによる福音書」 (11:38-44) によれば[5]、ベタニアに住んでいたラザロはマリアとマルタの兄弟で、キリストが墓穴から生き返らせた[2]。描かれている場面は墓地でキリストがラザロを生き返らせたところであり、ラザロは棺桶に手を載せ、その目は黒真珠と化している[1][2]。
ラザロの傍で姉妹の1人のマリアがこの奇跡に立ち会っている[2]。彼女は、カトリック両王の時代の豊かに装飾された衣服を身に着けた姿で表現されている[6]。その姿は、フアン・デ・フランデスの『キリストの磔刑』 (プラド美術館) に描かれているマグダラのマリアに酷似している[2]。
マリアとは対照的にラザロは屍衣を身に纏い、青白く、老いぼれた姿で表されている。また、マルタとキリストの柔和な表情と、廃墟のアーチの向こう側で奇跡を目の当たりにしているユダヤ人たちとの表情が対照的である[2]。なお、当時の絵画を特徴づけることであるが、背景に描かれている建築物は画家の故郷であるフランドルの同時代の建築物である[7]。
脚注
編集- ^ a b c d e “The Raising of Lazarus”. プラド美術館公式サイト (英語). 2023年10月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i プラド美術館ガイドブック 2016年、46頁。
- ^ プラド美術館ガイドブック 2016年、44頁。
- ^ VV. AA. (2010). Mitología clásica e iconografía cristiana, pág.258. R. Areces. ISBN 978-84-8004-942-9。
- ^ Juan 11:41-44
- ^ “arteespana.com”. 24 de agosto de 2014閲覧。
- ^ “artehistoria.jcyl.es”. 2 de junio de 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。7 de abril de 2012閲覧。
参考文献
編集- 『プラド美術館ガイドブック』、プラド美術館、2016年刊行 ISBN 978-84-8480-353-9