リン青銅(リンせいどう、: phosphor bronze)は、(Cu)を主成分とし、(Sn)を含む青銅の一種である。青銅の脱酸にリン(P)を用いるため、合金中にわずかにリンを含有している。

リン青銅製のサキソフォン

特徴

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溶解鋳造時にリンを添加することにより脱酸を行う。同時に、溶湯の湯流れが良くなることで鋳造性を向上させている[1]。リン青銅は強度が高い上にバネ性に優れ、曲げ・絞りの加工性が良好であるなどの機械的性質[1]に加え、電気伝導率が高いことから、各種コネクタ、リレー(継電器)端子、ベアリングフレーム、ブレード材などの工業製品の素材として広く利用されている[2]

また、通常の青銅と比べて音響特性が良いため、管楽器シンバルなどの材料としても用いられる。

青銅は古くから知られている合金であるが、リン青銅は歴史が比較的新しく、で大型製品の均一鋳造を行う技術がなかった19世紀頃に、当時の大砲の鋳造に用いられていた[3]。第二次大戦後、電子部品の軽量化・小型化が進む中で、上記のような特徴を備えたリン青銅の活用が始まった。その後、とりわけデジタル家電製品や携帯電話等の普及と共に、現在のようなリン青銅の用途が確立した[4]

材料記号

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銅合金として、JIS規格材料記号は頭文字Cで始まる4桁記号で表される[5]。なお、以下に示すものは旧JIS(2006。2013年10月21日までの経過措置期間あり)も含む。詳細は「参考文献」節のJIS H 3110を参照。

  • リン青銅
    • C5050: 錫1.0~1.7%、リン 0.15%以下、残りが銅
    • C5111: 錫3.5~4.5%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
    • C5102: 錫4.5~5.5%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
    • C5191: 錫5.5~7.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
    • C5212: 錫7.0~9.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
  • ばね用リン青銅
    • C5210: 錫7.0~9.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅
    • C5240: 錫9.0~11.0%、リン 0.03~0.35%、残りが銅

脚注

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  1. ^ a b 中小企業事業団中小企業研究所 1986, p. 230
  2. ^ 通産資料調査会 1991, p. 66
  3. ^ リン青銅”. 日本特殊管製作所 (2006年). 2013年4月20日閲覧。
  4. ^ 用途・展望”. 原田伸銅所 (2013年). 2013年4月20日閲覧。
  5. ^ 日本工業標準調査会 2012, p. 2

参考文献

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  • 中小企業事業団中小企業研究所『新金属材料 : 特性と加工技術』日刊工業新聞社、1986年。ISBN 4526019925 
  • 通産資料調査会『新ミネルバ金属素材の将来展望 : 地球環境と金属素材の調和をめざして』通産資料調査会、1991年。ISBN 4885281199 
  • JIS H 3110:2012「りん青銅及び洋白の板並びに条」日本産業標準調査会経済産業省

関連文献

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関連項目

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