レンゾ・マルテンス(Renzo Martens、1973年 - )は、オランダテルヌーゼン生まれ、現在アムステルダムキンシャサ在住のアーティスト。マルテンスは、コンゴにおける貧困の天然資源としての売り込みを推奨するドキュメンタリー、Episode III: Enjoy Poverty(2008年)など挑発的な作風で知られる[1]。2010年、コンゴの熱帯雨林のパーム油プランテーションに関するジェントリフィケーションプログラムのためのInstitute for Human Activities (IHA) を開始。

レンゾ・マルテンス、KWベルリンにて

経歴 編集

ナイメーヘン大学で政治学を、Royal Academy of Fine Arts (KASK) とアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーで芸術を学ぶ。2010年、ニューヨークのISCPプログラムのアーティストインレジデンスに[2]、2013年にはエール大学のリーダーシッププログラムであるエールワールドフェロープログラムに参加[3]

現在、ゲントの芸術学校で芸術の博士号を取得中[4]。これまでにロンドンのユニバーシティカレッジ、ロンドンスクールオブエコノミクス、イェール大学、ゴールドスミス(ロンドン大学)、Städelschule Frankfurt、HEAD Genève、KASK、およびマドリード国立美術館にて講義を行う。

作品 編集

Episode I (2003) 編集

チェチェンの紛争地帯を舞台とした短編ドキュメンタリー。この中でマルテンスは、カメラを中心に置いて、チェチェン人に自分のことをどう思うか ("Do you think of me?") 質問する。紛争地帯の映像がアーティストの個人的な(ラブ)ストーリーと混ざり合う、非定型のドキュメンタリー作品。

Episode III: Enjoy Poverty (2008) 編集

コンゴ内陸部の最も貧しく治安の悪い地域における、2年にわたる滞在を経て制作された長編ドキュメンタリー。この作品で彼は、貧困によって利益を得るために、地元の写真家に、最も残酷で衝撃的な状況にレンズを向けることを勧める。例えば栄養失調の子どもの浮き出た肋骨をどのように撮影すれば、欧米の新聞に魅力的に売り込むことができるかをレクチャーする。

この作品はアーティストによる独自の戦略により、現代美術における政治的主張を明確に表明した。ポンピドゥー・センター、ベルリンビエンナーレ、マニフェスタ7、モスクワビエンナーレ、テート・モダン、アムステルダム市立美術館、第19回シドニービエンナーレ、その他多数の著名映画祭やアートイベントにて上映された。Zeitz MOCAAのキュレーターAzu Nwagboguは、この映画を「私たちの時代におけるゲルニカ」と称した[5]

Institute for Human Activities 編集

2010年にInstitute for Human Activities (IHA) を設立し、研究所の芸術監督に就任。IHAの目標は、経済的不平等に対する芸術的批判が、象徴的にではなく、物質的な観点からそれを是正できることを証明することである[6]。IHAは、ジェントリフィケーションプログラムを実施することにより、アートセンター周辺の人々の生活を改善しようとしている。2014年以来、芸術作品の制作を基盤とした新たな生態学的イニシアティブを展開する農園労働者の協力団体であるCercle d’Art des Travailleurs de Plantation Congolaise (CATPC) と緊密に連携して活動している。

参照資料 編集

  1. ^ Congolese Sculptors Redirect Capital to the Plantation”. Artnet News (2016年11月1日). 2018年3月25日閲覧。
  2. ^ ISCP Archived 2014-02-23 at the Wayback Machine.
  3. ^ Yale World Fellow Program
  4. ^ KASK Archived 2014-02-22 at the Wayback Machine.
  5. ^ Balie, De (2016-11-19), Renzo Martens - Beeldbepalers - De Balie x IDFA Special, https://vimeo.com/192262127 2017年12月13日閲覧。 
  6. ^ IHA

外部リンク 編集