ボック英語: Bock)はビールスタイルの一つである。

概要 編集

ドイツアインベックが発祥とされ、南ドイツで発展した[1][2]。アルコール度数は高め[2]下面発酵のものも上面発酵のものもある[1]

ボックのラベルには雄ヤギが描かれていることが多いが、これはドイツ語: Bockが雄ヤギを意味するためである[1]

名前の由来は、発祥の地であるアインベックから採られたという説と、飲んだ人が「若い雄ヤギのように元気になる」からことから採られたという説がある[2]

トラディショナル・ボック 編集

ボックの最も伝統的なスタイル[1]。17世紀頃に作られた[2]。重厚な麦芽風味があり、液色は濃色[2]

『ビアスタイル・ガイドライン1208』ではボック(トラディショナル・ボック)を以下のように定義している[3]

  • 色合いは、ディープ・カッパーからダーク・ブラウンまでの範囲。
  • トースト風、ナッツ風のモルトアロマ
  • ホップのフレーバー、アロマは共に弱い
  • アルコール度数は6.3%から7.5%
  • IBU 20から30
  • SRM 20から30

ヘレスボック/マイボック 編集

「淡いビール」を意味する「: Hellbier」の略からヘレスと呼ばれる[1][3]。19世紀ころに作られた[2]

トラディショナル・ボックよりも液色が淡く、ドライで苦味も強い。5月に飲まれることが多いので、「マイ(: Mai、5月)ボック」とも呼ばれる[1]

『ビアスタイル・ガイドライン1208』ではヘレスボックを以下のように定義している[3]

  • アルコール度数は6.3%から8%
  • IBU 20から38
  • SRM 4から10

ドッペルボック 編集

ドッペルボック: Doppelbock)は高アルコールで麦芽の甘味が強い[1][3]。アロマはトースト香が主体[3]

『ビアスタイル・ガイドライン1208』ではドッペルボックを以下のように定義している[3]

  • アルコール度数は6.5%から8%
  • IBU 17から27
  • SRM 12から30

アイスボック 編集

アイスボック: Eisbock)はドッペルボックを凍らせて氷を取り除くことでアルコールを凝縮させたビールである[1][3]

伝説では、バイエルン州クルムバッハで1890年頃の冬にあるビール醸造家のある弟子がビール樽を外に出しっぱなしにして一晩が経ったところ、水分が凍結して良い味になっていた。これがアイスボックの誕生とされている[4]

『ビアスタイル・ガイドライン1208』ではアイスボックを以下のように定義している[3]

  • 色合いは、ディープ・カッパー(濃い銅色)からブラックまでの範囲
  • ホップの苦味は非常に弱い
  • ホップのフレーバーとアロマはまったく感じられない
  • アルコール度数は8.6%から14.4%
  • IBU 26から33
  • SRM 18から50

ヴァイツェンボック 編集

ヴァイツェンボック: Weizenbock)は小麦(ヴァイツェン、: Weizen)を主原料として造られるのが特徴。酵母を含むため、濁っている[1]。アロマはクローヴ香やバナナ香があるが、ダークものからは通常のボック同様のトースト香もある[1]

『ビアスタイル・ガイドライン1208』ではヴァイツェンボックを以下のように定義している[3]

  • 色合いは、ゴールドからダーク・ブラウン
  • ホップの苦味は弱い
  • アルコール度数は6.9%から9.3%
  • IBU 15から25
  • SRM 4.5から30

ギャラリー 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j 野村浩二、菅原亮平、三輪一記『ビール事典』学研パブリッシング、2014年、42頁。ISBN 9784058002674 
  2. ^ a b c d e f 日本ビール文化研究会『日本ビール検定公式テキスト 2016年6月改訂版』マイナビ出版、2016年、67頁。ISBN 9784839958428 
  3. ^ a b c d e f g h i ビアスタイル・ガイドライン 1208” (PDF). 日本地ビール協会. 2017年2月16日閲覧。
  4. ^ アルトビアからツヴィッカウまで”. 駐日ドイツ大使館. 2017年2月20日閲覧。