ヴェリキィ・ルー国立自然公園

ヴェリキィ・ルー国立自然公園ウクライナ語: Великий ЛугVelykyi Luh英語:Great Meadow National Nature Park)は、ウクライナ南東部、ザポリージャ州ワスィリフカ・ラヨンに位置する[1]草原地帯を中心とした国立公園である。ドニエプル水力発電所英語版がもたらしたドニエプル川の流域にあるカホフカ貯水池の南岸に位置し、岸辺の草原や葦原は東欧最大級の鳥類の渡り場となっている[2]

ヴェリキィ・ルー国立自然公園
ウクライナ語: Великий Луг
(Velykyi Luh)
ドニエプル川沿いから見たグレートメドウ国立自然公園
ヴェリキィ・ルー国立自然公園の位置を示した地図
ヴェリキィ・ルー国立自然公園の位置を示した地図
ウクライナにおける公園の位置
地域  ウクライナザポリージャ州ワスィリフカ・ラヨン[注釈 1]
最寄り ワスィリフカ
座標 北緯47度22分56秒 東経34度59分13秒 / 北緯47.3822度 東経34.9869度 / 47.3822; 34.9869座標: 北緯47度22分56秒 東経34度59分13秒 / 北緯47.3822度 東経34.9869度 / 47.3822; 34.9869
面積 16,756ヘクタール (41,405エーカー; 168 km2; 65 sq mi)
創立日 2006
運営組織 環境保護・天然資源省
Ministry of Ecology and Natural Resources
ウェブサイト www.grandmeadow.org.ua

地形 編集

公園の大部分は、ドニエプル川南岸の段丘状の氾濫原に位置している。歴史的に「大草原」と呼ばれていた段丘のほとんど全域は貯水池の建設に伴って水没したため、公園内は大部分が尾根や海岸に沿った帯状の形をしている。一帯にあるシム・マイアキウ氾濫原(Sim Maiakiv Floodplain)はラムサール条約の登録湿地帯で、貯水池の支流の河口にある大草原と葦原は、高い生物多様性を有している[1]。また、この公園の位置は黒海低地英語版地域より北西に当たる[3]

気候・環境 編集

 
湿潤大陸性気候の分布図。Dfbは   の色の部分。

公園の地域気候区分は、湿潤大陸性気候ケッペンの気候区分Dfb)である。この気候区分に該当する地域では、季節ごとの気温差が大きいために夏は暖かく平均気温10℃以上の月が4つ以上あるものの、平均気温22℃以上の月は存在しない[4][5]。また公園はポントス・カスピ海草原エコリージョン[注釈 2]に含まれている。

生物 編集

 
ヴェリカー・ルーガ(Velyka Luga)のヨシ原の上を飛ぶ鳥

公園は、水鳥の移動・営巣・採餌などの活動を行うにあたって重要な役割を果たす。一帯には水を濾過するカルスト地形があり、氾濫原の水域の変動がエサ取り場となる。また、鳥たちは石灰岩による河岸の岸壁に巣作りをすることができる[6]

貯水池の建設により水没した段丘部分は温暖かつ平らで浅く、餌となる魚の生息地になっている。この一帯特有のカルスト地形の陥没穴には、コウモリが大規模な群れ(コロニー)をなし、また他にも多くの種類の生物が棲息している[6]

観光資源としての利用 編集

2006年に公園として設計された一帯には、自然保護、レジャー、文化・歴史的観光、研究、緩衝地帯化などの目的で設けられた部分があり、公園のスタッフは、地元の人々を対象に、教育や生態系の認識を高めるための活動を主催・後援している。現在、公園内にはハイキングコース、サイクリングコース、健康活動コースと生態学習コースが4つある[2]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ ラヨンは元ソ連の国における行政区画の事で、国の2段階下の行政区画になる。
  2. ^ Ecoregion。自然における特徴や環境の観点から区分された地域のこと。

出典 編集

  1. ^ a b Ramsar Site Sim Maiakiv Floodplain”. Ramsar Convention. 2019年6月1日閲覧。
  2. ^ a b National Nature Park Great Meadow” (ウクライナ語). Official Park Site. 2019年1月10日閲覧。
  3. ^ Geology of Great Meadow NNP” (ウクライナ語). Great Meadow NNP official staff. 2019年3月30日閲覧。
  4. ^ Kottek, M., J. Grieser, C. Beck, B. Rudolf, and F. Rubel, 2006. “World Map of Koppen-Geiger Climate Classification Updated”. Gebrüder Borntraeger 2006. 2019年9月14日閲覧。
  5. ^ Dataset - Koppen climate classifications”. World Bank. 2019年9月14日閲覧。
  6. ^ a b Ramsar Information Sheet, Sim Maiakiv Floodplain”. Ramsar Convention on Wetlands. 2019年6月1日閲覧。

関連項目 編集