ヴェルヴェッティトライ

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ヴェルヴェッティトライタミル語: வல்வெட்டித்துறை, シンハラ語: වල්වෙට්ටිතුරෙයි, 英語: Valvettithurai)別名ヴェリヴチットフライは、スリランカ北部州ジャフナ県の町。ジャフナ半島の北部海岸沿いに位置する。略してVVTヴァルヴァイと呼ばれることもある。半都市自治体であるUrban Councilが設置されている。

ヴェルヴェッティトライ

வல்வெட்டித்துறை
වල්වෙට්ටිතුරෙයි
Valvettithurai
Valvettithurai Beach.JPG
海岸の漁船
ヴェルヴェッティトライの位置(スリランカ内)
ヴェルヴェッティトライ
ヴェルヴェッティトライ
座標:北緯9度49分0秒 東経80度10分0秒 / 北緯9.81667度 東経80.16667度 / 9.81667; 80.16667
スリランカの旗 スリランカ
北部州
ジャフナ県
政府
 • 種別 アーバン・カウンシル
 • 議長 Nadarajah Anantharaj (タミル人民同盟)
面積
 • 合計 4.85 km2
人口
(2007)
 • 合計 18,000人
 • 密度 3,711人/km2
等時帯 UTC+5:30 (スリランカ標準時)

また、反政府組織タミル・イーラム解放のトラの指導者ヴェルピライ・プラバカランの出身地としても知られている[1]

名前の由来編集

ヴェルヴェッティトライ(Valvettithurai)という名前はタミル語で「森林の広がりの先の港」または「ひらけた土地にある港」という意味である[2]。細かくすると、「大きな森」または「小高く広い土地」という意味のヴァライ(Vallai)、「ひらけた土地」という意味のヴェディ(Vedi)、「港」という意味のトゥライ(Thurai)が合わさっている。

歴史編集

民間伝承によると、この町はジャフナ王国の国王から土地を与えられたマラヴァール英語版の族長ヴァリアテヴァンによって作られたと言われている。その後この町の人々はタミル・ナードゥの人々と血縁関係を結び、軍事同盟を結んだ[3]。両者は海上交易によって長期間に及ぶ関係を持ち、ヴェルヴェッティトライはジャフナ半島北部の主要な貿易港となった[4][5]

また、ヴェルヴェッティトライの沿岸部族は戦争にも参加した。彼らはミガプール・アラチッチ英語版の下でポルトガル占領下英語版のジャフナ王国国王チャンキリ2世英語版と戦った[3][6]

この町の人口の多くはヒンドゥー教シヴァ派を信仰しており、カダロディーカル(タミル語で船乗り)が主要な寺院を所有していた。彼らは地元の有力部族であり、ジャフナ地方とインドのコロマンデル海岸の海上交易に従事し、海岸沿いにミャンマーにも訪れた[7]日本占領時期のミャンマー(当時のビルマ)は、カダロディーカルの海上交易を妨害した。そしてスリランカの独立に伴って彼らの立場はさらに低下し、その後はインドとの間で密貿易を行った[8]。また、この町では地元でアナポーラニ・アンマルと呼ばれる帆船(ブリガンティン)を造っていた[9]。この船はジャフナとヨーロッパの伝統を混合した船であり、1937年にはアメリカ合衆国マサチューセッツ州グロスターまで航海した[10]。この船は1930年に地元の造船技術によって、インドとのコメ貿易のための貨物船として造られ、ウィリアム・C・ロビンソンというアメリカ人に購入された[11]。ロビンソンはこの船に妻の名前(フローレンス・C・ロビンソン)という名をつけ、タミル人船長らと共に米国へと向かった[12]

1958年タミル人虐殺英語版の際、ヴェルヴェッティトライの学生数名がタミル・イーラム解放組織(TELO)を創設した[13]。そのうちの一人が後にタミル・イーラム解放のトラの創設者となるヴェルピライ・プラバカランであった[14][15]

地理編集

ヴェルヴェッティトライの北にはインド洋が広がっている。この地は北部州の一部であり、ポーク海峡の存在とインドタミル・ナードゥ州との近接性により、戦略的に重要な場所である[1]2004年スマトラ島沖地震による津波で北部海岸は甚大な被害を受け、数千人の犠牲者を出した。

トンダマンナール・ラグーンが、細く長い水路を通じて町の西側で海とつながっている。このラグーンの水は汽水であり、大規模な干潟海藻群、マングローブを有する。また、フラミンゴアヒルカモメアジサシなどの海鳥も数多く生息する。

また、ハイウェイ上には海水の進入を防ぐための橋(トンダマンナール橋英語版)が設置されている。町の西端に橋が設置されており、橋を渡った先にはカンカサントゥライ英語版などがある。ただ、多くの土地はスリランカ軍の立入禁止区域となっている。また、町の東側には国内最北端の町ポイント・ペドロがある[16]

人口動態編集

人口の多くはスリランカ・タミルであり、ヒンドゥー教キリスト教カトリックを信仰している。主な産業は農業、漁業と貿易である。トンダマンナール・ラグーンの入り口にはインドの軍神スカンダを祀った著名なヒンドゥー寺院がある。内戦中は甚大な被害を受け、スリランカ軍の攻撃の結果多くの民間人が行方不明となった。また、過去には2度に渡って地元住民が占領軍に虐殺される事件が発生している。1985年にはスリランカ軍が図書館に避難した地元住民を一斉検挙し[17]89年にはインド軍が人々を検挙した[18]

2007年時点での人口はおよそ18,000人で人口密度は3,711人/km²。

主な人物編集

脚注編集

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  1. ^ a b About Valvettithurai”. Valvettithurai.org. 2014年8月3日閲覧。
  2. ^ Valveddiththu'rai, Know the Etymology: 35 Place Name of the Day: Wednesday, 18 July 2007”. TamilNet. 2014年8月3日閲覧。
  3. ^ a b Fuglerud, Øivind (1999) (英語). Life on the Outside: The Tamil Diaspora and Long-distance Nationalism. Pluto Press. pp. 160. ISBN 9780745314389. https://books.google.com/books?id=IUVuAAAAMAAJ 
  4. ^ Premdas, Ralph R. (1993) (英語). The Enigma of Ethnicity: An Analysis of Race in the Caribbean and the World. University of the West Indies, School of Continuing Studies. pp. 296. https://books.google.com/books?hl=en&id=fohqAAAAMAAJ 
  5. ^ Sivasubramaniam, K. (2009) (英語). Fisheries in Sri Lanka: anthropological and biological aspects. Kumaran Book House. pp. 262. ISBN 9789556591460. https://books.google.com/books?hl=en&id=4ogmAQAAMAAJ 
  6. ^ Martyn, John H. (1923) (英語). Notes on Jaffna. Asian Educational Services. pp. 139. ISBN 9788120616707. https://books.google.com/books?id=xoIcCReqErUC 
  7. ^ Clarance, William (2007) (英語). Ethnic warfare in Sri Lanka and the UN crisis. Pluto Press. pp. 44. ISBN 9780745325255. https://books.google.com/books?id=YGRuAAAAMAAJ 
  8. ^ Wilson, A. Jeyaratnam (2000) (英語). Sri Lankan Tamil Nationalism: Its Origins and Development in the Nineteenth and Twentieth Centuries. UBC Press. pp. 19–20. ISBN 9780774807593. https://books.google.com/books?id=W3aAB9IFVdkC 
  9. ^ Langley, Donald J.; Blake, Holly J. (1998-12-01) (英語). Tahiti Bound. A. T. I. Publishing. pp. 2. ISBN 978-0-9668904-0-2 
  10. ^ Barnes, Ruth; Parkin, David (2015-12-22) (英語). Ships and the Development of Maritime Technology on the Indian Ocean. Routledge. pp. 157. ISBN 978-1-317-79343-4 
  11. ^ Mandel, Lee (2018-05-03) (英語). Sterling Hayden's Wars. Univ. Press of Mississippi. pp. 227–228. ISBN 978-1-4968-1700-6 
  12. ^ Devendra, Somasiri (2019年). “VVT, Tahiti, and the ghost of the Bounty: The ship from Valvettithurai which sailed the seven seas”. The island. 2021年1月2日閲覧。
  13. ^ Jayasekera, P. V. J. (1995) (英語). Security Dilemma of a Small State: Internal crisis and external intervention in Sri Lanka. South Asian Publishers. pp. 134. https://books.google.com/books?id=ST1uAAAAMAAJ 
  14. ^ Abhyankar, Rajendra (2013-12-23) (英語). The Crossing. Partridge Publishing. pp. 250. ISBN 9781482814712. https://books.google.com/books?id=EECVAgAAQBAJ 
  15. ^ Arumugam, S. (1997). Dictionary of Biography of the Tamils of Ceylon. p. 85. http://noolaham.net/project/19/1810/1810.pdf 
  16. ^ Thondamannar sluice gate to be reconstructed”. TamilNet. 2014年8月3日閲覧。
  17. ^ Hoole, Rajan (2001). Sri Lanka: The Arrogance of Power: Myths, Decadence & Murder. University Teachers for Human Rights. ISBN 955-9447-04-1  p. 214
  18. ^ Hoole, Rajan. “Vadamaratchi: April/August 1989”. University Teachers for Human Rights. 2008年12月24日閲覧。

外部リンク編集