交響曲第7番は、アーノルド・バックスが1939年に完成させた交響曲。バックスの最後の交響曲となった。

概要 編集

バックスは1938年に本作の作曲に取り掛かり、1939年1月に全曲を完成させた[1]。前作までと同様、スコットランドモラー英語版での完成となった[1]。作曲期間中に1939年のニューヨーク万博のために作品を委嘱するという案件が舞い込み[1]、曲は「アメリカの人々」へと捧げられることになった[2]。この話がなければ、指揮者ベイジル・キャメロンへと献呈される予定であったという[1]

バックスは本作の完成後10年以上生きているが、再び交響曲作曲の筆を執ることはなかった。この作品に「別れ」のメッセージが見出されるという見解もある[3]。バックスが本作の完成直後に著した自叙伝の表題も「さらば、わが青春」(Farewell, My Youth)であった[1]。本作全体がバックスの交響曲群のエピローグであるともいえる[2]

楽器編成 編集

ピッコロフルート3、オーボエ2、コーラングレクラリネット3、バスクラリネットファゴット2、コントラファゴットホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューババスドラムテナードラムスネアドラムタンバリンシンバルゴングトライアングルグロッケンシュピールハープ弦五部

楽曲構成 編集

第1楽章 編集

AllegroPoco largemente – Tempo I

60小節の序奏で開始し、全休止を挟んで主部に入る[1]。第1主題群の提示に続いて序奏部の材料が回帰し、その後の緩やかな進行の頂点でワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』からの引用が奏される[1]。最後はティンパニが轟く中で主題が回想されて静まっていく[1]

第2楽章 編集

LentoPiù mosso. In Legendary Mood – Tempo I

三部形式[1]交響曲第4番同様に海を描くが、その描写は抑制の度が高まり成功を収めている[2]。最初の部分では3つの材料が代わるがわる現れ、ヴァイオリンの独奏から速度の速い中間部に入る[1]。ここでは「伝説的な雰囲気で」との指示がされているが、その具体的な内容は明かされていない[1]。最初の部分へと戻って楽章を終える。

第3楽章 編集

Theme and Variations: Allegro – Andante – Tempo I – Epilogue (Sereno)

主題と7つの変奏で構成される[2]。32小節の祝典的な前奏に続き、落ち着いた主題が低弦から示されて変奏されていく[1]。最後の変奏はエピローグであり、落ち着いた雰囲気の中で終わりがもたらされる[1]。バックスの交響曲創作を締めくくるに相応しい幕切れを迎える[2]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m Booklet for CD, Lewis Foreman (1990), Bax: Complete Symphonies, Chandos, CHAN 8906-10.
  2. ^ a b c d e Mahon, Tim. 交響曲第7番 - オールミュージック. 2023年3月28日閲覧。
  3. ^ Booklet for CD, Lewis Foreman, Vernon Handley (2003), Bax: Symphonies, Chandos, CHAN 10112.

参考文献 編集

  • CD解説 Lewis Foreman (1990), Bax: Complete Symphonies, Chandos, CHAN 8906-10.
  • CD解説 Lewis Foreman, Vernon Handley (2003), Bax: Symphonies, Chandos, CHAN 10112.

外部リンク 編集