倒壊する巨塔 -アルカイダと「9.11」への道-』 (とうかいするきょとう -アルカイダと「9.11」へのみち-、原題:The Looming Tower: Al-Qaeda and the Road to 9/11 )とは、アメリカの作家ローレンス・ライトによるノンフィクション

概要 編集

本書は、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件に至る長い道のりを、アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンFBI捜査官のジョン・P・オニールなどの事件に関わった様々な人物に焦点を当て、膨大な資料と取材に基づき描いたノンフィクション作品である。出版は、2006年である。本書の評価は高く、2006年、ニューヨーク・タイムズ年間最優秀図書に選定され、さらに2007年には、ピューリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)を受賞した。

日本では、2009年白水社から日本語版が上下2巻で刊行された。日本語版の翻訳は平賀秀明が担当した。

2018年、Huluによってリミテッドシリーズドラマ化が行われ、日本ではAmazonビデオで配信された。

あらまし 編集

作品名 編集

本書の原題である「The Looming Tower 」(アラビア語بروج مشيدة)とは「そびえ立つ塔」という意味で、イスラーム教の聖典『コーラン』第4章第78節の「Wherever you are, death will find you, even in the looming towerأينما تكونوا يدرككم الموت ولو كنتم في بروج مشيدة 'aynamā takūnū yadrikkumu l-mawtu wa-law kuntum fī burūjin mušayyadatin、汝らがどこにいようとも、死は汝らを見つけるだろう、たとえ汝らがそびえ立つ塔にいようとも)」という一節に由来している[注 1][1]。本書の著者によれば、ウサマ・ビンラディンは、アメリカ同時多発テロ決行に先立ち、ハイジャックに向かう部下に対して「より大きな栄光のために殉教者になれ」と語り掛け、この一節を3度繰り返したという[2]

受賞等 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 日本語版訳者の平賀秀明は、藤本勝次伴康哉池田修訳『コーラン I』(中央公論新社、p.112)を引用して「高いやぐら」と訳しているが(本書日本語版 下巻、pp.265,285下段)、ここでは日本語版タイトルに合わせ「そびえ立つ塔」と訳した。以下に参考として、平賀による引用部分を示す。
    「おまえたちがどこにいようとも、たとえおまえたちが高いやぐらの上にいようとも、死はおまえたちに追いついてしまう。」(本書日本語版 下巻、p265)

出典 編集

  1. ^ Institute of International Studies, UC Berkeley “Al Qaeda and the Road to 9/11: Conversation with Lawrence Wright, Staff Writer, The New YorkerConversations with History 2006年11月13日, 英語, p.3, 2015年3月22日閲覧.
  2. ^ 本書日本語版 下巻、pp.264-265.

関連項目 編集

外部リンク 編集