メインメニューを開く

八雲御抄(やくもみしょう)は、順徳天皇が著した歌論書である。著者による序文に「夫和歌者起自八雲出雲之古風(中略)名曰八雲抄」とあり、書名「八雲抄」の由来がわかる。親撰であることから、これに「御」が付けられて流布した。

順徳院 - 江戸時代の百人一首

概要編集

承久の乱以前から書き始められ一度まとめられた(草稿本)が、乱後に配流先の佐渡で書き続けられ、都の藤原定家に送付された(精撰本または再撰本)。本書は、先行する歌論書・歌学書[* 1]をとりまとめ、独自の体系に編成した大著で、次の6部からなる。

  • 第一正義:序文と六義、歌体、歌病等
  • 第二作法:歌合、歌會、書様等
  • 第三枝葉:天象、時節、地儀等17部の解説
  • 第四言語:世俗語、由緒語、料簡語
  • 第五名所:山、嶺、嵩等の名所と出典[* 2]
  • 第六用意:詠作の心得や歌人論等

散逸した歌書で、本書に挙げられているために存在や概要が知れるものもある[* 3]。 歌論的には、古風を尊ぶ[* 4]と共に、自然体での詠歌[* 5][* 6]を好ましいとする姿勢が随所に見られる。また、歌合のような晴れの場以外では歌の禁忌にあまり囚われないことや、不吉とされる煙の描写も恋愛歌においては許容される[1]等、柔軟な姿勢も示されている。一方で、猿楽のような新しい芸能に対しては、「凡賎を遠ざくべき事」として拒絶的な姿勢が見られる。

伝本編集

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 源俊頼藤原基俊藤原俊成ら、平安歌論の先人の業績を継承しており、その集成とも言える。
  2. ^ 後世、歌枕の典拠資料としてしばしば引用される。
  3. ^ 藤原基俊の撰による『新三十六人』等の存在は本書によってのみ知られる。
  4. ^ 「貫之さしもなしなどいふ事少々聞ゆ。歌の魔の第一也」と、紀貫之を軽んじる者を戒めている。
  5. ^ 梁塵秘抄』を引きつつ、「まことのよき歌よみになりぬれば、やすやすとありのままの事とこそ聞こゆれ。何事も長じぬればかくの如しと云へり」。
  6. ^ 西行について、「唯詞をかざらずして、ふつふつといひたるが聞きよき」。

出典編集

  1. ^ Villa(参考文献)
  2. ^ 国指定文化財等データベース”. 八雲御抄. 文化庁. 2011年12月8日閲覧。

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集