卵割腔(らんかつこう)は動物の発生の初期に形成される構造で,受精卵卵割を繰り返して形成される最初の構造でもある。例えばウニの発生では細胞分裂が進むと,その内部に次第に空隙が生じ,桑実胚,胞胚と進む頃にはそのほぼ中央に大きな空洞が生じる。これが卵割腔である。

二胚葉動物の原腸陥入:(1)胞胚から(2)原腸胚の形成。外胚葉細胞(オレンジ)の一部は内側に移動して内胚葉(赤)を形成する。

卵割腔が発達すると、受精卵は表面に一層の細胞を並べた中空の構造となる。この時期の胚を胞胚という。この後,原腸が胞胚の中へ陥入することによって形成される。

様々な場合 編集

実際には卵割腔は必ず確認できるものではない。刺胞動物などでは卵割が進んでも内部に空隙を生じない例もあり,その場合,ある程度細胞数が増えてきた段階で,これを卵割腔のない胞胚と見なす。これを中実胞胚という。

また,昆虫などでは卵の中央に卵黄が集まる例があり,表面部分のみが卵割を行う。したがって中央にはやはり隙間そのものはないが,これも胞胚と見なす。

成体の体との対応 編集

真体腔動物では,卵割腔内に新たに真体腔が形成され,それが発達するにつれ,卵割腔に由来する構造は確認できなくなる。偽体腔動物では,卵割腔がそのまま体腔になる形である。


ヒトおよびほ乳類の場合 編集

 
胚盤胞の構造、en:Endometrium:子宮内膜en:Inner cell mass(Embryoblast):内細胞塊en:Trophoblast:栄養膜、Blastocyst cavity(en:Blastocoele):卵割腔
 

卵割腔(: blastocoel(e), blastocele)とは液体で満たされた胚盤胞の中央領域を指す。[1]卵割腔は受精卵有糸分裂により細胞数を増幅する時に胚形成(en:embryogenesis)中に形成される。ただし、これを一般の胚発生における卵割腔と同一視するのは問題がある。

脚注 編集

  1. ^ The Carnegie stages”. 2007年10月13日閲覧。

関連項目 編集