四季 (チャイコフスキー)
ピョートル・チャイコフスキーが作曲したピアノ曲の作品集
『四季』(しき、原題(フランス語):Les Saisons)作品37a[1]は、ピョートル・チャイコフスキーが作曲した、ロシアの一年の風物を各月ごとに12のピアノ曲で描写した作品集。
概要編集
サンクトペテルブルクの音楽雑誌『ヌーヴェリスト』(「ゴシップ好き」または「短編小説家」の意味)の企画依頼で1875年から翌年にかけて作曲され、1885年に曲集として出版された。12曲とも三部形式で書かれている。また、各曲ともロシアの詩人が各月の風物を題材にした作品を参考にしているという。作曲当時ロシアではユリウス暦を使っていたため、それぞれの月の季節感は現在と多少ずれている。
なお、作品番号は「37a」となっているが、これは「作品37」として出版された「グランドソナタ(ピアノソナタ)ト長調」と区別するために「a」が付けられている。
後にソ連の指揮者・作曲家のアレクサンドル・ガウクが管弦楽編曲を施している。
構成編集
以下の12曲からなる。
- 1月 炉端にて Janvier: Au Coin du Feu
- モデラート・センプリチェ・マ・エスプレッシーヴォ - メノ・モッソ - テンポ・プリモ、イ長調(中間部はホ短調)、4分の3拍子。
- アレクサンドル・プーシキンの詩による。
- 2月 謝肉祭 Février: Carnaval
- アレグロ・ジュスト - リステッソ・テンポ、ニ長調、4分の2拍子(中間部は4分の4拍子)。
- ピョートル・ヴャゼムスキーの詩による。
- 3月 ひばりの歌 Mars: Chant de l'Alouette
- 4月 松雪草 (雪割草) Avril: Perce=neige
- アレグレット・コン・モート・エ・ウン・ポコ・ルバート、変ロ長調、8分の6拍子。
- マイコフの詩による。
- 5月 白夜 (五月の夜) Mai: Les Nuits de Mai
- アンダンティーノ - アレグロ・ジョコーソ - アンダンティーノ、ト長調(中間部はロ短調)、8分の9拍子(中間部は4分の2拍子)。
- アファナーシー・フェートの詩による。
- 6月 舟歌 Juin: Barcarolle
- アンダンテ・カンタービレ - ポコ・ピウ・モッソ、ト短調(中間部はト長調)、4分の4拍子(中間部は4分の3拍子)。
- アレクセイ・プレシチェーエフの詩による。この曲集の中ではトロイカと並び有名な作品であり、物悲しい旋律が繰り返される。
- 7月 刈り入れの歌 (草刈り人の歌) Juillet: Chant des Moissonneurs
- アレグロ・モデラート・コン・モート、変ホ長調、4分の4拍子。
- アレクセイ・コリツォフの詩による。
- 8月 収穫の歌 (取り入れ) Août: La Moisson
- アレグロ・ヴィヴァーチェ - ドルチェ・カンタービレ - テンポ・プリモ、ロ短調(中間部はニ長調)、8分の6拍子。
- コリツォフの詩による。
- 9月 狩りの歌 (狩) Septembre: La Chasse
- アレグロ・ノン・トロッポ、ト長調、4分の4拍子。
- プーシキンの詩による。
- 10月 秋の歌 Octobre: Chant d' Automne
- アンダンテ・ドロローソ・エ・モルト・カンタービレ、ニ短調、4分の4拍子。
- アレクセイ・コンスタンチノヴィッチ・トルストイの詩による。演奏記号が特徴的で、ものさびしい季節の情感をシンコペーションを使って歌い上げている。
- 11月 トロイカ Novembre: Course en Troïka
- アレグロ・モデラート - グラツィオーソ - テンポ・プリモ、ホ長調(中間部はト長調)、4分の4拍子。
- ニコライ・ネクラーソフの詩による。この曲集で最もよく知られている曲である。ペンタトニックを用いている。
- 12月 クリスマス Décembre: Noël
- テンポ・ディ・ヴァルス、変イ長調(中間部はホ長調)、4分の3拍子。
- 終曲。半音階を使って転調している。ヴァシーリー・ジュコーフスキーの詩による。
使われた作品など編集
- 2月 謝肉祭
- 音楽
- 日本の音楽ユニットであるALI PROJECTの楽曲「日出づる万國博覧会」のサビに引用されている。
- 6月 舟歌
注釈編集
- ^ 作品番号については、出版物やCD等によっては37bや37bisと表記されている場合がある。
外部リンク編集
- 四季 作品37aの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト