ケ120形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院・鉄道省に在籍した、特殊狭軌線タンク式蒸気機関車である。

ケ121牽引の魚沼線の混合列車 西小千谷駅(1937年2月24日)

概要

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元は、魚沼鉄道(後の日本国有鉄道魚沼線)に所属した機関車で、1912年(明治45年)および1913年(大正2年)に各1両の計2両がドイツオーレンシュタイン・ウント・コッペルで製造された。魚沼鉄道では、3, 4と称したが、1922年6月15日の国有化にともない鉄道省籍となり、ケ120形ケ120, ケ121)と改番された。製造番号は、4が7040であることが確認されている。3については不明確であるが、6076と推定されている。

形態は、30PS形と称する車軸配置0-4-0(B)形7.3トン、単式2気筒の飽和式機関車で、軸距は1,500mmである。

両機は、買収後も魚沼線で使用された(来迎寺機関分庫に所属)が、ケ120が1934年(昭和9年)5月に廃車となった。残るケ121は、1944年(昭和19年)10月の不要不急線指定による路線休止まで使用され、その後は長岡機関区に保管された。同機の廃車は、1948年(昭和23年)度末であった。

主要諸元

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  • 全長:5,159mm
  • 全高:2,703mm
  • 最大幅:1,906mm
  • 軌間:762mm
  • 車軸配置:0-4-0(B)
  • 動輪直径:620mm
  • 弁装置ワルシャート式
  • シリンダー(直径×行程):170mm×276mm
  • ボイラー圧力:12.3kg/cm2
  • 火格子面積:0.3m2
  • 全伝熱面積:11.7m2
  • 機関車運転整備重量:7.32t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時):7.32t
  • 機関車動輪軸重(各軸均等):3.66t
  • 水タンク容量:0.9m3
  • 燃料積載量:0.27t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力:1,350kg
  • ブレーキ方式:手ブレーキ

同形機

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武岡軽便鉄道(後の福井鉄道南越線)に2両(1, 2)存在した。こちらの製造番号は、6318, 6319と推定されている。魚沼鉄道4については、メーカーや取扱い商社の記録では武岡軽便鉄道納入となっており、何らかの事情で魚沼鉄道に振り向けられたものと思われる。このうち2については、中遠鉄道に移り4となっている。

参考文献

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  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成 2」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井重信「機関車の系譜図 2」1973年、交友社
  • 臼井茂信「国鉄狭軌軽便線 8」鉄道ファン1983年9月号(No.269)
  • 金田茂裕「形式別・国鉄の蒸気機関車 国鉄軽便線の機関車」1987年、エリエイ出版部刊

関連項目

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