7450形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道作業局・鉄道院・鉄道省に在籍したテンダ式蒸気機関車である。

番号不明(鉄道院7450形)

概要 編集

元は、鉄道作業局1889年(明治22年)にイギリスキットソン(Kitson & Co., Airedale Foundry)で4両(製造番号3134 - 3137)を製造した車軸配置2-6-0(1C)形で2気筒単式のテンダ機関車である。当初の形式はV形、番号は130,132,134,136で、後にE2形94 - 97)と称した。私鉄国有化を受けて1909年(明治42年)に実施された鉄道院の車両形式称号規程では、7450形7450 - 7453)に改番された。同時期に輸入されたナスミス・ウィルソン製のW形(後の鉄道院7600形)は同系車であった。

急勾配線区用として導入されたもので、粘着重量を増すためにテンダ機でありながら側水槽を持っており、日本ではこのタイプの機関車の最初のものである。側水槽は運転室から第1動輪の直上まで達するもので、第2動輪上部から前は弁装置の機構を避けるため、下半分が切り取られている。この側水槽の上縁部だけでなく、切り取られた下縁部にも丸みが付けられており、本形式の特徴となっている。炭水車は、小型の2軸車である。

東海道線の大津・京都間や、大垣・米原間といった勾配線区で使用され、後に直江津線北陸線舞鶴線に移った。最後は梅小路に集められて入換用となっていたが、1924年(大正13年)7月に廃車された。保存されたもの、民間に払い下げられたものはない。

主要諸元 編集

  • 全長 : 14,986mm
  • 全高 : 3,658mm
  • 全幅 : 2,311mm
  • 軌間 : 1,067mm
  • 車軸配置 : 2-6-0(1C)
  • 動輪直径 : 1,143mm
  • 弁装置 : スチーブンソン式基本型
  • シリンダー(直径×行程) : 406mm×559mm
  • ボイラー圧力 : 9.8kg/m2
  • 火格子面積 : 1.49m2
  • 全伝熱面積 : 90.6m2
    • 煙管蒸発伝熱面積 : 81.9m2
    • 火室蒸発伝熱面積 : 8.6m2
  • ボイラー水容量 : 2.9m3
  • 小煙管(直径×長サ×数) : 44.5mm×3,372mm×174本
  • 機関車運転整備重量 : 37.73t
  • 機関車空車重量 : 32.36t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時) : 33.61t
  • 機関車動輪軸重(第2動輪上) : 11.36t
  • 炭水車重量(運転整備) : 17.79t
  • 水タンク容量 : 9.08m3
  • 燃料積載量 : 3.05t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力(0.85P): 6,720kg

参考文献 編集

  • 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会
  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社
  • 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車 III」エリエイ出版部刊
  • 金田茂裕「日本蒸気機関車史 官設鉄道編」交友社刊