孤児(こじ、みなしご)とは、両親親戚等の保護者のいない未成年者のこと。狭義では生みの両親が死別、または行方不明となった未成年者を指す。

トーマス・ベンジャミン・ケニントン英語版 "Orphans "/イングランド人画家の手になる1885年の油彩画。姉弟と思しき2人の貧しい孤児を描いている。邦題は確認できないが、原題(英題)は「孤児達」の意。

特に戦争においては戦闘空襲によって多くの成人が死亡したため、両親を亡くし孤児となった未成年者が続出した。戦後、このような孤児は戦災孤児と呼ばれた。

また、「保護者がいない」というその様から、ある仲間や業界の内部において、師匠格や先輩格となる人物の廃業・死去、あるいは所属団体からの脱退などによって拠るべき上位の人間関係を失ってしまった若手・修行中の人物や一門弟子のことを「○○界の孤児」などと表現することがある。

文学 編集

英米児童文学には、孤児を主人公とした「親のいない子供」を描いてきた歴史がある。『赤毛のアン』のアン、『秘密の花園』のメアリー、『あしながおじさん』のジュディーが代表例で、孤児と言えないまでも保護者がすぐ離別してしまう『小公女』のセーラなど、事実上の孤児が物語の主人公である場合も多い。『ハリー・ポッターシリーズ』も主人公のハリー・ポッターは孤児である[1]

2003年(平成15年)に日本経済新聞が行なったアンケートでも「子どもに読ませたい世界の名作」ベストテンに、『トム・ソーヤーの冒険』や『ハイジ』など、孤児を主人公とした作品が数多くランクインした[2]

転用 編集

オーファンワークス 編集

著作権所持者の特定ができない著作物を、権利者不明著作物というが[3]、孤児や親の無い子になぞらえて英語では "orphan works" といい[4]日本語でもこの語を音写した外来語オーファンワークス」が通用している[4]。加えて日本語では同じ意味合いで「孤児著作物[4][5]」「孤児作品[4][6]」「オーファン作品[4]」、その他の名称も用いられている。※1

脚注 編集

  1. ^ 高橋博子「母のいない娘の物語 : Cynthia VoigtのHomecomingにおける「母」の声」『愛知淑徳大学論集 文化創造学部・文化創造研究科篇』第10号、愛知淑徳大学文化創造学部、2010年、55-66頁、ISSN 13463330NAID 120005037726 
  2. ^ 根本橘夫「門に立つ子ら(III) — 作品における孤児像」(PDF)『東京家政学院大学紀要 人文・社会科学系』第44号、東京家政学院大学、2004年、159-169頁、ISSN 13441906NAID 110001061793 
  3. ^ 権利者不明著作物”. アスキー社『ASCII.jpデジタル用語辞典』. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e オーファンワークス”. 小学館日本大百科全書:ニッポニカ』. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。
  5. ^ 孤児著作物”. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。
  6. ^ 孤児作品”. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。

オーファンワークス文学例 編集

落窪物語

宇津保物語


関連項目 編集