封鬼花伝』(ふうきかでん)は、三川みりによる日本ライトノベル。イラスト担当は由羅カイリ角川ビーンズ文庫角川書店)より刊行されている。全5巻。  

内容 編集

上東国(かみのとうごく)の市井で絵札売りをしている絵師の少女・千樹。師匠の彩遊と共に、貧しいながらも穏やかに暮らしていた千樹のもとに、ある日雅近という貴族の青年が訪ねてくる。そして常宮にやってきた千樹は、第一皇子・刀火から国を滅ぼすとされる屏風絵を封じるよう密命を受けるが・・・。

登場人物 編集

千樹(せんじゅ)
主人公。しっかり者で勝気な絵師の少女。師匠の彩遊のもとで暮らし、貧しいながらも上東国の市井で絵札売りをして生計を立てていた。
元は上北国の姫だったが、魔王と化した父上主により国を滅ぼされ、姉・阿樹と共に身一つで上東国に逃げてきた。その後、姉に竹林に置き去りにされていたところを彩遊に拾われ、彩遊の弟子となる。女性だが、普段は動きやすさを重視して水干を着用している。
幼い頃の経験から貴族を嫌っており、刀火や雅近に対しても悪い印象しか抱いていないが、刀火の過酷な運命を知り共に闘う決意をする。
刀火(とうか)
上東国の第一皇子。通称・暁宮(あかつきのみや)。絶世の美貌を持つ、傲慢で冷徹で意地の悪い青年。
その身に国を滅ぼす「魔王の種」を宿しており、法術を学び己を律することで魔王の種を抑え込んでいる。
桜の屏風絵の封印が破られたことにより魔王の種が目覚める危機が訪れた為、千樹を探し出し屏風絵の封印を施すよう命じる。
高月 雅近(たかつき まさちか)
太政大臣の嫡男で刀火の腹心の部下。女好きのプレイボーイ。刀火を守る為なら、冷酷非情になれる人物。
彩遊(さいゆう)
千樹の師匠で良き理解者。穏やかでのんびりとした性格をしている。
かつては成る絵を描ける邪道の天才絵師をして名を馳せていたが、ある出来事で目を患い絵師生命を絶たれてしまう。
阿樹(あじゅ)
千樹の姉。思うところあって千樹を置き去りにした後、上東国の上主の仮妻となる。病死したことで正妻となった。
柚葉(ゆずのは)
阿樹の侍女で、妹のように可愛がられていた女性。阿樹亡き後は綾峰に仕えている。雅近に好意を寄せている。
幻繕(げんぜん)
法術士で刀火の師匠。刀火が魔王の種を宿していることを見抜いた人物。刀火が魔王の種を制御する為の助力を惜しまないが、制御出来なければ迷わず刀火を殺すと宣言している。
綾峰(あやみね)
上東国の二之皇子で刀火の異母弟。刀火から暁宮の地位を奪う為、画策する。千樹に恋心を抱くようになる。
賢夕(けんゆう)
常宮の主一位絵師。彩遊の兄弟子で正道の絵師。
純鉄(じゅんてつ)
賢夕の一番弟子。自分のことが大好きだと公言する、素直な少年。師匠の賢夕を尊敬し慕っており、邪道の絵師である彩遊のことを毛嫌いしている。
高月 頼近(たかつき よりちか)
雅近の双子の兄。暁宮に仕える者が双子であることを忌む悪習から、5歳の時に九反に預けられ上北国に連れて行かれる。表向き病死したことになっていた。
九反(くたん)
法術士。太政大臣の命により、5歳の頼近を連れて上北国に行く。

用語一覧 編集

暁宮(あかつきのみや)
上主の一之御子のこと。暁宮が住む宮も暁宮と呼ばれている。
仮妻(かりづま)
上主、または次期上主(=暁宮)の妻達のこと。複数の仮妻達は同列で、亡くなった後に嫡妻(正式な妻)として婚姻する。
綾津島(あやつしま)
大陸から切り離された巨大な島。上東国、上西国、上南国、上北国の4つの国に分かれて統治されている。現在は上北国が内乱により支配体制が崩壊している為、事実上は三国により統治されている。

書籍一覧 編集

角川ビーンズ文庫より出版。

  1. 『封鬼花伝 暁に咲く燐の絵師』 2013年9月28日発売 ISBN 978-4-04-100868-3
  2. 『封鬼花伝 雪花に輝く仮初めの姫』 2014年1月31日発売 ISBN 978-4-04-101204-8
  3. 『封鬼花伝 春を恋う咲きそめの乙女』 2014年5月31日発売 ISBN 978-4-04-101378-6
  4. 『封鬼花伝 飛花薫るうたかたの口づけ』 2014年9月30日発売 ISBN 978-4-04-101885-9
  5. 『封鬼花伝 光綾なす千花の夢』 2015年2月28日発売 ISBN 978-4-04-101884-2