幻獣辞典』(げんじゅうじてん、EL LIBRO DE LOS SERES IMAGINARIOS)はホルヘ・ルイス・ボルヘスマルガリータ・ゲレロ英語版の共著による文学作品。第1版である『Mannal de zoologia fantástica(幻獣動物案内)』が1957年発表、第2版『El libro de los seres imaginarios』1967年に続き、1969年版が現在知られているものである[1]

辞典の名の通り、古今東西の空想の怪物が集められた書物である。基本的に各地の神話が主体であるが、中には「カフカの想像した怪物(『最愛の父』からの引用)」[2]のようなものも含まれている。そしてまた、ボルヘスにはよくあることだが、おそらく彼自身が「それらしく」創作した幻獣も含まれていると思われている。

版ごとに内容が拡充されており、1969年版では120篇の語りからなる。

日本語訳 編集

  • ホルヘ・ルイス・ボルヘス; マルガリータ・ゲレロ『幻獣辞典』柳瀬尚紀訳、晶文社、1974年。 
    • ホルヘ・ルイス・ボルヘス; マルガリータ・ゲレロ『幻獣辞典』柳瀬尚紀訳、晶文社〈晶文社クラシックス〉、1998年12月。ISBN 4-7949-1265-X 
    • ホルヘ・ルイス・ボルヘス『幻獣辞典』柳瀬尚紀訳; スズキコージ絵(新)、晶文社、2013年10月。ISBN 978-4-7949-6831-9 
    • ホルヘ・ルイス・ボルヘス『幻獣辞典』柳瀬尚紀訳、河出書房新社河出文庫〉、2015年5月。ISBN 978-4-309-46408-4 

柳瀬尚紀訳は英訳からの重訳。

脚注 編集

  1. ^ 澁澤龍彦は著書(『幻想博物誌』角川書店 1978年、河出文庫 1983年)で本書の題名を『幻想動物学提要』と訳している(河出文庫版 16、204頁など)。
  2. ^ 短編小説『家父の気がかり』に登場する「オドラデク」のこと。

関連項目 編集