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概要編集

浪人若さま新見左近の3年後を描く作品である。後の江戸幕府第六代将軍である徳川家宣が一介の浪人である新見左近として、市中に繰りだし悪を討つ、秘剣・葵一刀流を遣うスタイルは引き続き継承されている。前作の主要人物も登場する。

あらすじ編集

家光の血を引く者達を守るために綱吉からのたっての頼みで世継ぎとして江戸城西ノ丸に入って三年。徳川綱豊としての平穏な日々を過ごしていた左近だが、密かにこころを交わすお琴の身に危難が訪れていることを知り、ふたたび浪人新見左近として市中に出ることを決意する。

登場人物編集

以下の項目はネタバレを含んでいるので要注意。

主な登場人物編集

新見左近(にいみ さこん) / 徳川綱豊(とくがわ つなとよ)
この作品の主人公。のちの徳川家宣だが本作ではまだ甲府藩主のままである。綱吉の頼みで江戸城西ノ丸に入ってからは徳川綱豊として暮らしていたのだが、お琴のために再び新見左近として秘かに城を抜け出す。後述する闇将軍一味との戦いの過程で以前のように大っぴらに市井に繰り出している。
お琴(おこと)
この作品のヒロイン。小間物屋である三島屋の主だったが前回の事件で自身が左近の弱点になる事を察し、中屋百合と共に京都の中屋で働くが後述の戸沢四門にストーカーされる事になり権八達の機転で江戸に戻ってくる。貴船屋の事件以降、左近と再会してからは浜御殿の近くに権八がかつての住居を再現して新たな三島屋を再開する事になる。今回は自分のせいで多方面に多大な犠牲を払ったにも関わらず頑なにかつての生活を再現したがる等、強情な部分が目立つ。また、お酒もダウンするほど飲むようになり年のせいか若干「オバチャン」化してきている節がある。
権八(ごんぱち)
およねと京に住んでいたが、お琴のトラブルを察知して江戸へ戻ってくる。前作のラストで将軍家暗殺集団に襲われているからか肝っ玉が成長して貴船屋一味に対しても上手く逃げ回っていたが、お琴とおよねが人質にされてしまって浜御殿へ向かい小五郎に連れられて左近と再会した。それでも呼び方は相変わらず「左近の旦那」で前と変わらない接し方をする。
およね
権八と共にやはり京にいたが同様にお琴のために江戸へ戻る。左近と再会してからは「左近さま」と以前のように接している。そのため相変わらずいじられているせいか左近はおよねに頭が上がらない。
岩城泰徳(いわき やすのり)
岩城道場の主。前作でお琴の護衛として京に向かった後、江戸に戻り、お滝の間に雪松を授かる。左近が西ノ丸様と言われる存在になっても以前と変わりなく接してくれる。事件があっても協力的。
岩倉具家(いわくら ともいえ)
泰徳同様、お琴の護衛として京に向かい1月ほど滞在していた。その後、薩摩へ武者修行へ行くも後述の自身の名を騙る人斬り・瑠城与一を追うため大宰府で引き返して江戸に戻ってくる。泰徳同様、事件に対して非常に協力的。成り行き上、遂に闇将軍と直接対決、鬼法眼流奥義・鬼の目で重傷を負わせるも自身も怪我を負ってしまう。

岩城道場関係者編集

お峰(おみね)
左近のかつての許婚で、お琴の姉。故人だが三年ぶりに左近の枕元に立ち、お琴の危機を知らせる。
お滝(おたき)
泰徳の妻で長男の雪松を産む。その後はかつての性格が変わり、穏やかな雰囲気を漂わせるようになった。
岩城雪松(いわき ゆきまつ)
泰徳とお滝の息子。故人である岩城雪斎から一字をもらっている。

街の人々編集

中屋百合(なかや ゆり)
江戸の京橋にある小間物屋の女将。前作でお琴を誘い、京の出店を任せたのち江戸に戻るも後述の戸沢によって店が全焼し自身も酷い火傷を負う。それにも関わらず、訪ねてきたかえでにお琴や襲撃者の情報を提供した。
中屋仁右衛門(なかや にえもん)
中屋の主で百合の亭主。一方的に目の敵にしてきた貴船屋の陰謀で京の出店と江戸の本店を火事で失ってしまう。それでも百合が無事である事を確認すると共に自身の故郷である金沢へ帰る決意をする。かえでに貴船屋の情報を提供した。
相模屋徳治(さがみや とくじ)
呉服屋を営む主で幾つかの決められたサイズの着物を作り置きして売る現代的な商いで成長した。息子の松吉に手を焼くものの、その息子が冤罪になりそうなところを左近に助けられた。
相模屋幸代(さがみや ゆきよ)
徳治の妻だが息子の松吉を甘やかしすぎてしまい、徳治からは「だから馬鹿息子になった」と嘆かれている。
相模屋松吉(さがみや まつきち)
相模屋の若旦那であるが花会と称する博打にのめり込んで多額の借金をしてしまう。その上、無実の殺人容疑で死罪になりそうなところを左近らによって無罪放免となった。
相模屋喜代(さがみや きよ)
松吉の妹だが、兄と違って勝気な性格であり無頼相手でも全く引かない度胸の強さを持つ。
お葉(およう)
前述の松吉と恋仲で唄の師匠をして暮らしている。妹のおけい夫婦を人質に取られたため止む無く松吉を殺しの下手人と証言した後、消されそうになるも、かえでによって助けられた。
おけい
お葉の妹で既婚者。夫婦共々人質にされていたが、かえでに助けられた。
功太(こうた)
おけいの亭主で人質にされていた。用済みとして消されそうになったが手傷を負っても懸命におけい達をかばう。おけい同様、かえでに助けられた。
荒木半三郎(あらき はんざぶろう)
備州浪人で神田三河町の金五郎長屋に妻と娘の三人暮らしをしている。貴船屋の手先に騙されて金奉行の涌井を殺そうとするも誤解と知り、左近に助けられた。後に似たような手口で左近殺害の募集を知るも友人の江口が誘われそうになったのを防いだ。
江口(えぐち)
相模の浪人で荒木の友人。口入屋で荒木と知り合いで共に用心棒の仕事もしたことがある。荒木の腕前を知っており、左近殺害の募集の詳細を告げられてからは誘いに乗らず共にその場を後にした。
大久保藤兵衛(おおくぼ とうべえ)
三島町の名主で新しい三島屋の客第一号。40代だが外見が若い。次男が婿養子に行って気が沈みがちな女房に気を使って簪と櫛を買ってあげようとする愛妻家。
宇野屋市兵衛(うのや いちべえ)
三島町に何軒かある地本問屋の主。後述の和光堂の娘である美沙の幼馴染であり恋仲であった。安治郎が夫婦になる事を許さないと誤解しており駆け落ちを計画するも真相を知って美沙と宇野屋を盛り立てて行こうと決意する。
和光堂安治郎(わこうどう やすじろう)
宇野屋同様、地本問屋の主。一見偏屈な性格に見えるが、その一方で前述の市兵衛の父である亮介に息子の将来を託されており二十歳になったら娘の美沙と夫婦にさせるつもりでいた。しかし娘が身籠っていたため予定より早く夫婦になる事を許した。
和光堂美沙(わこうどう みさ)
安治郎の娘で市兵衛との関係を父が許してくれないと誤解していたが、父の本心を知って和解した。
美沙の母親
三島屋へ行った安治郎を心配して後を付けてきた。美沙が既に身籠っている事に気づき、その事がきっかけで市兵衛や美沙と安治郎が和解できた。
宇治屋長兵衛(うじや ちょうべえ)
諸国銘茶問屋である宇治屋の主。妻のゆきを介してお琴の評判を知っており、吉祥衆の会合でも三島屋をよろしくお願いしたいと請け負ってくれた。
宇治屋ゆき(うじや ゆき)
長兵衛の妻。花川戸町の三島屋時代からの客でもある。そのため京の事件を知っており、お琴の事を気遣ってくれる思慮深い性格の持ち主。
丹波屋十右衛門(たんばや じゅうえもん)
三島町で口入屋を営む一方で吉祥衆と言う頼母子講のまとめ役でもある。お琴が嫌がらせを受けた事をいち早く知って心配して見に来てくれたり用心棒の斡旋をしようとしたり、後述の戸川兄妹の敵討ちに協力的等、非常に気配りの出来る人物。
村田屋の女将(むらたやのおかみ)
蝋燭問屋の村田屋を仕切る女将。夫に先立たれて以来、店を一人で盛り立ててきた。三島屋の常連の一人で吉祥衆の会合でも買った簪をお琴に見せた。
おたえ
前作に引き続き登場。西川東洋の診療所で働いていたが、そこに弟子入りしていた若い医者と夫婦になり、診療所を切り盛りするようになった。
戸川亀彦(とがわ かめひこ)
作州津山藩の元藩士。妹の真緒と共に仇討ちの旅に出て江戸まで来た。その過程で岩倉を仇と誤解するも真相を知って一人で乗り込んでしまう。しかし左近達の助太刀で本懐を遂げ国許へ帰参した。
戸川真緒(とがわ まお)
亀彦の妹。三島屋を一時手伝うが非常に人当たりが良く商才がある一面を持つ。兄が本懐を遂げた所で帰参が叶い、国許へ帰参した。
梅貞(うめさだ)
後述の飛騨屋より百両もの借金をして返せなくなって普請場で強制労働させられ女房も客を取らされている。耐えられなくなって家へ帰りたい旨を懇願するも石見の国へ行けと言われて船に乗せられて船上で沈められたものと思われる。
大山平三郎(おおやま へいざぶろう)
浜松町の町名主で地元の誰からも愛されていた徳のある人物。藤兵衛とも面識があり小五郎の煮売り屋の常連でもあった。闇将軍の誘いを断ったために念蔵ら命で動いた後述の香川によって殺された。
大山半九郎(おおやま はんくろう)
兵三郎の一人息子。父同様、地元の皆から「若」と称されて慕われている。香川の襲撃の際も父によって逃走に成功し小五郎を頼った。事件解決後は父の跡を継ぎ新名主となり従兄妹と共に街の平穏に努めた。
大山のぶ(おおやま のぶ)
大山家の後妻だが吉原で客を取っていた過去を持つ。しかし半九郎の事を本当の息子のように思い、香川に消される今わの際にも身を案じていた。
佐敷の辰(さじきのたつ)
浜松町の地廻りを務めて兵三郎同様に町の人から慕われていた。しかし浜松町を支配したい後述の高輪の久米七に子分共々消された。
伊助(いすけ)
浜松町で米屋を営む。久米七によって月に1両よこせと言われて子分達の嫌がらせに遭い後述の町名主補佐役である惣八に何とかしてくれと詰め寄っていた。
松戸屋幸一(まつどや こういち)
蔵前の札差を営み篠田家とも長い付き合いがある。そのため娘を攫われた時に真っ先に又兵衛を頼った。娘の命最優先で後述の日坂の文次一味に2万両もの金を渡してしまい商いが立ち行かなくなるも左近の計らいで見舞金と称した2万両を寄付してもらい、それが原因で又兵衛の頑なな気持ちが揺らぐきっけかにもなった。

甲府藩関係者編集

西川東洋(にしかわ とうよう)
甲府藩御典医であり上野北大門町で開業していたが弟子の若い医者と女中のおたえが夫婦になった事、左近やお琴達の事が心配で七軒町に移り住んだ。今回も左近達にとっては頼もしい存在である。
間部詮房(まなべ あきふさ)
前作で左近の義父、新見正信に見出され左近の側近になった。今作では西ノ丸小姓頭に昇格している。監視したがる又兵衛と近侍四人衆に対して良いイメージを持っておらず後述の雨宮と協力して監視の目をくらましている。その一方で四人衆の一人である望月に関しては自分達の味方である事を早くから見抜いている等、相変わらずの洞察力を持つ。
雨宮新之亟(あまみや しんのじょう)
前作で甲府藩に召し抱えられ勘定方として才を振るっている。そのため間部と共に浜御殿の運営を行っている。後述の近侍四人衆とも親しくなるほどコミュ力が高い。
吉田小五郎(よしだ こごろう)
甲州忍者の頭領。今回も引き続き左近にとって重要な探索網として活躍する。貴船屋の事件後は以前のように煮売り屋の主としてお琴の警護に付いた。
かえで
甲州忍者の女忍びで大火傷を負った百合から情報を得た後、中屋夫婦が江戸を出るまで警護した。小五郎同様、貴船屋の事件後は煮売り屋としてお琴の警護をする事になった。
山川吉助(やまかわ きちすけ)
前作で左近が根津の藩邸から出る抜け穴を管理していた老人で、今回フルネームと既婚者である事が判明した。左近の叔父という事で自宅を左近が市井に出る拠点とする。
山川紋(やまかわ もん)
吉助の妻であり初対面である左近に対して思わず見とれてしまう。左近の叔母として振舞い吉助同様、市井における手助けをするようになる。

篠田家関係者編集

篠田政頼(しのだ まさより)/又兵衛(またべえ)
綱吉の命で西ノ丸に入った左近の附家老になった。通称は又兵衛。左近の監視が目的で元大目付と元来の性格からか融通が利かない所がある。とはいえ、左近の事を嫌っているわけではなくあくまで職務に忠実なだけで左近に酒を誘われれば断らないし、浜御殿にいる時は比較的フランクに接している。最初は左近が市井に出る事を断じて許さない姿勢だったが、自分自身とその周りに起きるトラブルを「外に出ていた」左近に助けられていくうちに段々自分の気持ちが揺らいでくる。そして自身と親友の危機に駆け付けてくれ事件を丸く収めてくれた左近の真意を知り附家老としてではなく「元」大目付として近侍四人衆と共に闇将軍と戦う事を決意、左近が市井に出る事について正式にGOサインを出した。
三宅兵伍(みやけ ひょうご)
近侍四人衆の一人で左近と同い年だが笑った顔をほぼ見せない位、真面目過ぎる性格をしていて又兵衛同様、融通の利かない部分がある。
早乙女一蔵(さおとめ いちぞう)
近侍四人衆の一人で兵伍と違って穏やかな性格な一方、剣の腕は確か。
砂川穂積(すながわ ほづみ)
近侍四人衆の一人で最年少。最も気が利く人物であり又兵衛からも凄腕の隠密と称されるほど密偵としての腕も確か。深明流小太刀術を操る。
望月夢路(もちづき ゆめじ)
近侍四人衆の一人。一部屋離れていても囁き話を正確に聞き取れるほどの地獄耳の持ち主。その一方で左近に忠誠を誓っており浜御殿を出ている事も又兵衛には一切知らせていない。どころか自身も独自に探索を続けて、貴船屋に殺されそうになった際に左近に助けられる。そのため左近に対しては心酔している。

徳川家関係者編集

徳川綱吉(とくがわ つなよし)
前作の終盤で起きた事件で左近を仮の世継ぎとして西ノ丸へ入れた。左近を大事にする気持ちは変わらず、浜御殿から市井へ抜け出して以前のような活躍をしている事を薄々気づいており、西ノ丸から浜御殿へ下る事にも敢えて反対していない。

幕府関係者編集

柳沢保明(やなぎさわ やすあき)
のちの柳沢吉保だが今作でもまだ保明のままである。側用人として相変わらずの切れ者ぶりを発揮している。綱吉と違い左近が浜御殿へ頻繁に行くことをあまり歓迎していない。
山佐興政(やまさ おきまさ)
勘定奉行で部下に当たる涌井の失態を糾弾していたが、実は後述の貴船屋と結託して月光院を阿片窟にして金を巻き上げていた。その罪を涌井に全て着せるつもりだったが真相を暴いた左近によって乗り込まれて観念したのか切腹した。
涌井錬次郎(わきい れんじろう)
金奉行で部下達の失態により窮地に陥るが、襲撃に偶然居合わせた左近の腕を見込んで用心棒として雇う。事件が解決してからも浜御殿へ赴き情報を渡していた。
木村主水(きむら もんど)
涌井の配下の一人だったが山佐と通じており月光院の用心棒をしていた。真相を知った涌井を消そうとするも左近の剛剣の前に倒された。
遠田直弼(とおだ なおすけ)
涌井の配下で木村に連れていかれた月光院で阿片漬けにされたため番町で発狂してしまう。
仁川彦十(にがわ ひこじゅう)
涌井の配下だったが木村に唆されて遠田同様、月光院で阿片漬けにされた挙句、神田で発狂した後に御先手組に殺された。
東郷房之(とうごう ふさゆき)
戸沢の誘いに乗った浪人の一人で、その場にいた夢路も誘う。実は柳沢が放った公儀隠密の一人だったが貴船屋達には既にばれており夢路を庇うために自身は突き付けられた戸沢の刀で自害した。

南北奉行所関係者編集

西条氏信(にしじょう うじのぶ)
心優しい北町奉行として町民に知られている。六木の事件に貴船屋がいたこと、更にその裏に闇将軍が関係している事を左近に伝えた。かつての左近の活躍を知っているのか市井に出回っている事にも目を瞑り、逆に探索に協力的な姿勢を示す。
菱山一二三(ひしやま ひふみ)
南町の筆頭与力。文武に優れ、人望も厚く南町奉行から全般の信頼を得ている。暮らしぶりも質素で職務熱心。実は闇将軍の手先で屋敷の下男に扮している寛七に妻子を人質にされて止む無く悪事に加担させられていた。しかし念蔵達の事件の際、左近や小五郎らの正体を察し協力を依頼する。事件解決後は左近の意向で家族共々、甲府で暮らすことになった。
菱山明代(ひしやま あきよ)
一二三の妻で寛七に捕えられていた。事件解決後は息子の将来を案じて涙を見せるも左近によって夫の罪を無かった事にしてもらい、更には甲府で家族一緒に暮らせる事、左近の正体を知った事で立ち直った。
菱山正太郎(ひしやま しょうたろう)
一二三の一人息子。まだ8歳だが非常に礼儀正しさを持つ。将来立派な侍になり西ノ丸で仕えるようになれると左近に期待された。

旗本関係者編集

江村勝之進(えむら かつのしん)
信州河合藩、江村淡路守の実弟。分家の許しを賜るため登城した際に綱吉の目に留まり本丸小姓に取り立てられるも、その重圧で胃を悪くしてしまう。痛みを和らげるために阿片に手を出し二葉町の大通りで発狂。穂積が気絶させるも結局切腹の沙汰が下された。しかし河合藩自体の改易は免れた。
倉山門太夫(くらやま もんだゆう)
勝之進の用人。主が左近の行列を乱した罪で左近に自身の切腹を願い出るも却下される。その後、阿片の出元が月光院と知り切り込むも、木村によって殺された。

諸大名関係者編集

未定
未定

闇将軍一味編集

江戸の者達を毒牙にかけて甘い汁を吸い江戸全体を裏から支配しようとする勢力。現段階で正体も目的も不明。ここでは一味の中心に近いものを記載、それ以外は悪徳町人、その他の悪人を参照。

闇将軍(やみしょうぐん)
一味の頭目で普段は町人に成りすましている。人前には決して姿を見せないため派手な装いをする美青年であること以外は一切不明。部下の不甲斐無さに遂に自身が出張り、居合わせた具家と互角に渡り合える剣技を見せるも、鬼法眼流の奥義、鬼の目によって重傷を負う。
貴船屋六左衛門(きぶねや ろくざえもん)
京に本店を構える小間物屋の大店の主。京に出張ってきた中屋を一方的に敵視して江戸の本店もろとも全焼させてしまう。京橋南の弓町に店を構えている一方、配下を使って江戸全体から利を貪ろうと画策する。最終的にはお琴達を取り戻しに来た左近に追い詰められ煙玉を使って逃げようとするも闇将軍の手の者に消された。
飛騨屋辻左衛問(ひだや つじざえもん)
材木問屋である飛騨屋の主。江戸近隣から無差別に男女を攫い男は普請場、女は女郎として客を取らせていた。更に旗本・畠山家に3万両の返済を待つ見返りに小名木川沿いのお抱え屋敷を賭場、女郎屋として荒稼ぎをして稼ぎを闇将軍に流していた。左近らに捕えられるも拷問により死亡した。消されたかどうかは不明。
念蔵(ねんぞう)
湊町に暮らす御用聞き。闇将軍の命で浜松町を新たな利権の温床にしようと名主の兵三郎を誘うも断られて殺した。配下である高輪の久米七らを使い息子の半九郎も殺そうとしたが左近らに阻止されて捕らえられる。そのため闇将軍の命を受けた菱山によって消された。
寛七(かんしち)
菱山家に長年仕えてきた下男で身の回りの世話をする一方、実際は闇将軍の命で菱山の妻子を人質として悪事に加担させていた。身のこなしと手裏剣から風魔の生き残りではないかと思われる。左近達に計画を潰されて逃走しようとした際に闇将軍に捕えられて消された。

悪徳町人編集

六木伊三郎(むつき いさぶろう)
代々江戸の町名主を務めている一方で貴船屋の命で花会と称した博打で大店を嵌めて借金のかたに江戸の土地を次々に手に入れようと画策する。相模屋も罠にかけようとするも左近の活躍によって悪事が白日の下に暴かれお白州で死罪を言い渡された。
盛蔵(もりぞう)
六木の手下で地回りをしている。相模屋松吉の借金を取り立てに来た時は妹の喜代をかたに取ろうとするくらい腐った性根を持つ。六木の命で相模屋を襲撃するも待ち構えていた左近に返り討ちに遭い、小五郎に脅されて全て自供した。
兼明(けんみょう)
月光院の住職である一方、貴船屋から流れてくる阿片を売り捌き、月光院自体も阿片窟にして町人達等から金を吸い上げて貴船屋に納めていた。寺社奉行の山佐と共に寺にいた所を左近と涌田に乗り込まれて自身以外全て死ぬと命乞いをして阿片の流通元を白状した。
国松(くにまつ)
貴船屋の側近の一人で戸沢と共に浪人達を使って左近を探していた。お琴達を捕えた後、左近の元へ行く権八を付けて左近の正体を知るや戦慄、直後に小五郎に気絶されられて捕えられた。
大正親分(おおまさ おやぶん)
地回りで飛騨屋とつるんで前述の様な一連の悪事を実行していた。使えない男は巧い話を持ち掛けて船上で殺して海に沈めてしまう極悪ぶりを示す。しかし様子をうかがっていた畠山家の家臣によって殺された。
高輪の久米七(たかなわのくめしち)
浜松町の縄張りを奪おうとしていたやくざ者。念蔵の命により上納金を商家から取り立てていた。邪魔になっていた半九郎を消そうとした直前に左近達によって捕らえられた。
惣八(そうはち)
長年、兵三郎を補佐するために大山家で働いてきたが、念蔵や久米七らと裏で繋がっており上納金の一部を分け前としてもらっていた。分け前にごねたため久米七の手により、おのぶとの心中自殺に見せかけられて殺された。

その他の悪人編集

戸沢四門(とざわ しもん)
貴船屋の用心棒で、これまで邪魔になる者達を次々に葬ってきた。霞斬りと言う切っ先が全く見えない技を使い相手を翻弄する。京にいた時に中屋の出店を仕切っていたお琴に一目ぼれして執拗にストーカーする。江戸に戻ったと知るやさらにしつこく探し回り、権八達ともども捕まえるが、やって来た左近の葵一刀流の剛剣には霞斬りも通用せずに絶命した。
瑠城与一(るじょう よいち)
大阪で岩倉に敗れた後に岩倉の名を騙り金で人斬りを繰り返したのち飛騨屋の用心棒となった。戸川姉妹の仇でもある。最終的には左近らの助けもあり亀彦に止めを刺された。
香川(かがわ)
久米七の用心棒で新陰流の達人。大山親子を殺害しようとした張本人。父親に続いて息子も殺そうとしたが左近の葵一刀流のまえに敢え無く敗れた。
日坂の文次(ひさかのぶんじ)
西国と上方を荒らしてきた盗賊で盗みに入った先の男達を斬殺、女達は手籠めにしてから皆殺しする悪人。札差の松戸屋を襲った後、両替商の伊豆屋を襲おうとしたが用心棒をしていた左近によって阻まれた挙句、菱山に殺された。

用語編集

前作にも出てくる用語に関しては

刀剣編集

清水州才(しみず しゅうさい)
名だたる刀匠の逸品で夢路の愛刀。このため逆に貴船屋にただの浪人ではないと思われて正体がばれそうになる。実は夢路が左近の近侍に選ばれた際に祝いの品として親戚から送られた新刀。

場所編集

新銭座町(しんせんざちょう)
左近の隠れ家の主である吉助と紋が暮らす町で、浜屋敷の堀を渡った先にある。旧作における谷中のぼろ屋敷周辺のように市井における左近の拠点である。
七軒町(しちけんちょう)
増上寺の門前町。権八達が江戸に戻った時に隠れ家として使った家がある。元々、百合からただ同然で譲り受けた物件だった。権八は左近と再会するまで、ここで大工の棟梁をして生活していた。左近との再会後は自身が使っていた大工達の住居になった。
三島町(みしまちょう)
新銭座町と目と鼻の先にあり、権八は左近とお琴の再会を予見して花川戸町における三島屋と小五郎とかえでの煮売り屋を再現していた。また裏手には権八夫婦が暮らす長屋もある。
新・三島屋(しん・みしまや)
作中では三島屋だが本項では花川戸町の店と区別するため新・三島屋と称する。左近の隠れ家の近くにある三島町で新たに再開された三島屋。今回もお琴が選りすぐりの小間物を取りそろえ、おみねの切り盛りで相変わらずの人気を保つ。
新・煮売り屋(しん・にうりや)
名称については三島屋同様。小五郎とかえでが今回も同じように営む。
鉄瓶長屋(てつびんながや)
新・三島屋の裏手にある権八夫婦が暮らす長屋。お琴を守るのに地の利もあるために夫婦はここを選んだ。一時期は戸川姉妹も伊丹屋の口利きで住んでいたことがある。

その他編集

吉祥衆(きっしょうしゅう)
三島屋の商家が加入している頼母子講。伊丹屋十右衛門が主宰している。月に1両ずつ出し合い6か月経過後にくじで金を受け取れる人を選ぶ。例外として特に困っている人は優先的に受取人になれる仕組み。
曜変天目(ようへんてんもく)
甲府徳川家秘蔵の茶碗。茶道が趣味の又兵衛は一目でそれを見抜いた。あっさり左近に下げ渡しされてからは茶を点てるのに浜御殿へ行くのを楽しみにするようになったほど。

作品リスト編集

  1. 不穏な影(2018年)
  2. 亀の仇討ち(2018年)
  3. 夫婦剣(2019年)

脚注編集

外部リンク編集

  • 佐々木裕一(同著者のサイトであり、本シリーズ含め新刊や重版のお知らせも随時行われている)