核磁子

核磁子（かくじし、英: nuclear magneton、記号 $\mu _{\mathrm {N} }\,$）は核子が持つ磁気モーメントの物理定数。まれに電子がもつ磁気モーメントであるのボーア磁子に対して核ボーア磁子ともよばれる。

核磁子 nuclear magneton
記号	μN
値	5.050783699(31)×10−27 J T−1
相対標準不確かさ	6.2×10−9

国際単位系（SI）における値は

$\mu _{\text{N}}=5.050\ 783\ 699(31)\times 10^{-27}\ {\text{J}}\ {\text{T}}^{-1}$

である（2014CODATA推奨値）。

国際量体系（ISQ）において、核磁子は

$\mu _{\text{N}}={\frac {e\hbar }{2m_{\text{p}}}}$

で表される。 ここで e は電気素量、ħ はプランク定数、m_p は陽子の質量である。 なお、ガウス単位系では電流と磁気の関係付け方が異なるため、光速度 c の因子が入って

$\mu _{\text{N}}={\frac {e\hbar }{2m_{\text{p}}c}}$

で表される。

核子のなかで、陽子は電子と同じスピンと電気素量をもつフェルミオンである。しかし陽子の質量は電子の約1840倍あるため、核磁子の磁気モーメントは電子のボーア磁子のおよそ1840分の1である。 単純に考えると、核磁子の値は陽子の磁気モーメント $\mu _{\text{p}}$ とほぼ等しいはずである。また中性子は電荷をもたないため、磁気モーメント $\mu _{\text{n}}$ はゼロであるはずである。しかし実際の陽子、中性子のの磁気モーメントは核磁子 $\mu _{\text{N}}$ に比べて

• $\mu _{\text{p}}=2.79\mu _{\text{N}}$
• $\mu _{\text{n}}=-1.91\mu _{\text{N}}$

であり単純な理論値とは大きく異なっている。これは異常磁気モーメントとよばれ、陽子や中性子が内部に電荷を持ったクォークからなる複合粒子であることに起因すると考えられている。

「異常磁気モーメント」も参照

関連項目

• 異常磁気モーメント
• ボーア磁子

外部リンク

• “CODATA Value: nuclear magneton”. NIST. 2015年6月27日閲覧。