気象援助局(きしょうえんじょきょく)は、無線局の種別の一つである。

定義編集

総務省令電波法施行規則第4条第1項第27号に「気象援助業務を行う無線局」と定義している。 この気象援助業務とは、第3条第1項第18号に「水象を含む気象上の観測及び調査のための無線通信業務」と定義している。

概要編集

文字通り、気象観測を行う為の無線機器のことである。また水象も含むので湖沼・河川や海洋の水位・流量観測用の無線機器も含まれる。

主たるものは、ラジオゾンデ及び気象用ラジオ・ロボットである。

免許編集

種別コードSM、免許の有効期間は5年。

ラジオゾンデ及び気象用ラジオ・ロボットは特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則により認証された適合表示無線設備であれば、簡易な免許手続が適用され、予備免許落成検査が省略されて免許される。 簡易な免許手続の適用外でも、一部を除き登録検査等事業者等による点検ができるので、この結果に基づき落成検査が一部省略される。

用途

局数の推移に見るとおり、気象用が多数である。免許人気象庁その他の気象観測機関である。 その他、ダム・湖沼・河川の水位・流量観測をする水防水利道路用(免許人は河川事務所など)などにも免許される。

電波型式、周波数、空中線電力

ラジオゾンデ及び気象用ラジオ・ロボットの電波型式周波数空中線電力については、電波法施行規則第13条の3の2及びこれに基づく告示[1] により次の中から指定される。

送信設備 電波型式 周波数 空中線電力
ラジオゾンデ (1) 当該ラジオゾンデに特定の動作をさせるための電波を受ける受信設備を附置するもの K2D V1D V3D 1673MHz 1680MHz 1687MHz 10W以下
(2) (1)以外のもの A1D A2D F1D F2D F3D F7D F8D F9D G1D G7D 403.3MHz~405.7MHz
100kHz間隔
0.2W以下
A1D A2D F1D F2D F7D F8D F9D 1673MHz 1680MHz 1687MHz 1W以下
K2D V1D 1673MHz 1680MHz 1687MHz 10W以下
気象用ラジオ・ロボット F1D F2D 402MHzから406MHzまで 1W以下
F1D 4162.9kHz 4164.7kHz 6244.9kHz 8330.2kHz 8330.8kHz 12482.3kHz 100W以下

これ以外には、日本周辺海域の流向・流速観測用に1764kHz・3W以下を指定するもの [2] としている。

表示

適合表示無線設備は技適マーク'と技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号の表示が必須とされ、ラジオゾンデ及び気象用ラジオ・ロボットを表す記号は番号の英字の1-2字目のSY[3]である。 従前は工事設計認証番号にも表示を要した。

なお、ラジオゾンデは従前は無線機器型式検定規則による検定機器で、検定マークと検定番号及び機器の型式名の表示が必須であった。 これを表す記号は検定番号の1字目がMで機器の型式名の1-2字目がMMまたはMSであった。[4]

旧技術基準の機器の免許編集

無線設備規則スプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準改正 [5] により、旧技術基準に基づく無線設備が条件なしで免許されるのは「平成29年11月30日」まで [6]、 使用は「平成34年11月30日」まで [7] とされた。

旧技術基準の無線設備とは、

  • 「平成17年11月30日」[8]までに製造された機器または認証された適合表示無線設備
  • 経過措置として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに製造された機器[9]または認証された適合表示無線設備[10]

である。

新規免許は2017年(平成29年)12月1日以降はできないが、使用期限はコロナ禍により「当分の間」延期[11][12]された。

2021年(令和3年)8月3日[12]以降の既設局の旧技術基準の無線設備に関する免許の取扱いは次の通り[13]

  • 再免許は可能
  • 「平成29年12月1日」以降の免許にあった「免許の有効期限(新技術基準の無線設備と混在する場合は旧技術基準の無線設備の使用期限)は令和4年11月30日まで」の条件は「令和4年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用することができる」との条件が付されているとみなされる。[14]

但し、ラジオゾンデの上述の電波型式、周波数、空中線電力にあるものは、2009年(平成21年)に高度化に伴いデジタル方式を導入した後 [15] のものである。 従前の型式(電波型式はアナログ、周波数は404.5MHzおよび1600MHz帯の3波、空中線電力1W以下)のものについては、「平成33年6月25日」までを有効期限として免許できるとされていた[16]。 検定機器については、上記の技術基準改正時に設置が継続される限り検定合格の効力は有効 [17] とされたが、この有効期限は周波数の割当てが削除 [15] されたことによるものである。 つまり、アナログ方式のラジオゾンデは検定機器を含めて「令和3年6月25日」で有効期限は終了し、以後は使用不可

操作編集

気象援助局は、陸上の無線局であるので陸上系の無線従事者による管理(常駐するという意味ではない。)を要するのが原則である。

  • 例として、上記の流向・流速観測用であれば第二級陸上特殊無線技士以上の無線従事者を要する。

例外を規定する電波法施行規則第33条の無線従事者を要しない「簡易な操作」から気象援助局に係わるものを抜粋する。

  • 第8号 その他に別に告示するものに基づく告示[18]にラジオゾンデ及び気象用ラジオ・ロボット

検査編集

  • 落成検査は、上述の通り簡易な免許手続の対象であれば行われず、これ以外でも登録検査等事業者等による点検ができれば一部省略することができる。
  • 定期検査は、電波法施行規則第41条の2の6第25号により行われない。
  • 変更検査は、落成検査と同様である。

沿革編集

1950年(昭和25年)- 電波法施行規則 [19] 制定時に定義された。 ここで気象援助業務は「特別の無線信号を発射して、水理学を含む気象上の観測及び調査を行う業務」と定義された。 免許の有効期間は5年間。但し、当初の有効期限は電波法施行の日から2年6ヶ月後(昭和27年11月30日)までとされた。

1952年(昭和27年)- 12月1日に最初の再免許がなされた。

  • 以後、5年毎の11月30日に満了するように免許された。

1958年(昭和33年) 

  • 運用開始の届出および公示を要しない無線局とされた。[20]
  • 検定機器を使用すれば簡易な免許手続の対象とされた。[21]

1960年(昭和35年)- 気象用ラジオ・ロボットの局は無線業務日誌の備付けが不要とされた。 [22]

1961年(昭和36年)- 気象援助業務の定義が現行のものとなり、免許の有効期間は免許の日から5年となった。また、レーダーのみが無線設備である気象援助局は無線標定陸上局とみなされた。 [23]

1962年(昭和37年)- ラジオゾンデが検定機器となった。 [24]

1964年(昭和39年)- ラジオゾンデは無線業務日誌の備付けが不要とされた。 [25]

1977年(昭和52年)- 移動する気象援助局は無線局免許証票を備え付けるものとされた。 [26]

1993年(平成5年)- 電波利用料制度化、料額の変遷は下表参照

1999年(平成11年)- ラジオゾンデ及び気象用ラジオ・ロボットが特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則(現・特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則)の対象(証明機器(現・適合表示無線設備))となった。 [27]

2000年(平成12年)- ラジオゾンデが検定機器ではなくなった。 [28]

  • 検定合格の効力は有効であり、従前の条件で免許できるとされた。[29]

2009年(平成21年)

  • 気象援助局は全て無線業務日誌の備付けが不要とされた。[30]
  • ラジオゾンデへの無線局免許証票の備付けが廃止された。[31]

2013年(平成25年)- 工事設計認証番号にラジオゾンデやび気象用ラジオ・ロボットを表す記号の表示は不要となった。 [32]

2018年(平成30年)- 気象援助局は全て無線局免許証票の備付けが廃止された。 [33]

局数の推移
年度 平成13年度末 平成14年度末 平成15年度末 平成16年度末 平成17年度末 平成18年度末 平成19年度末 平成20年度末
総数 680 676 669 655 587 566 549 559
気象用 444 456 451 439 377 354 340 342
年度 平成21年度末 平成22年度末 平成23年度末 平成24年度末 平成25年度末 平成26年度末 平成27年度末 平成28年度末
総数 468 476 482 459 462 457 485 487
気象用 254 262 269 249 251 264 292 294
年度 平成29年度末 平成30年度末 令和元年度末 令和2年度末 令和3年度末    
総数 483 479 461 467 465    
気象用 297 298 280 286 284  
各年度の用途・局種別無線局数[34]による。
電波利用料額

電波法別表第6第1項の「移動する無線局」が適用される。

年月 料額
1993年(平成5年)4月[35] 600円
1997年(平成9年)10月[36]
2006年(平成18年)4月[37]
2008年(平成20年)10月[38] 400円
2011年(平成23年)10月[39] 500円
2014年(平成26年)10月[40] 600円
2017年(平成29年)10月[41]
2019年(令和元年)10月[42] 400円
注 料額は減免措置を考慮していない。

脚注編集

  1. ^ 昭和51年郵政省告示第732号 電波法施行規則第13条の3の2の規定による気象援助局に指定する電波の型式及び周波数並びに空中線電力(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
  2. ^ 電波法関係審査基準 地域周波数利用計画策定基準一覧表 第7号気象援助局
  3. ^ 特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則様式7
  4. ^ 無線機器型式検定規則別表第8号
  5. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  6. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項および平成19年総務省令第99号による同附則同条同項改正
  7. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第1項
  8. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正の施行日の前日
  9. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項
  10. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第4項
  11. ^ 無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 ?新スプリアス規格への移行期限の延長?(総務省報道資料 令和3年3月26日)(2021年4月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  12. ^ a b 令和3年総務省令第75号による無線設備規則改正
  13. ^ 無線機器のスプリアス規格の変更に伴い規格にあった無線機器の運用が必要です(総務省電波利用ホームページ - 無線設備のスプリアス発射の強度の許容値)(2021年9月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  14. ^ 令和3年総務省令第75号による無線設備規則改正附則第3項
  15. ^ a b 平成21年総務省告示第331号による周波数割当計画改正
  16. ^ 平成21年総務省令第66号による電波法施行規則改正附則第3項
  17. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第4条第1項ただし書き
  18. ^ 平成2年郵政省告示第240号 電波法施行規則第33条の規定に基づく無線従事者の資格を要しない簡易な操作第3項第1号(1)及び(2)(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
  19. ^ 昭和25年電波監理委員会規則第3号
  20. ^ 昭和33年郵政省令第26号による電波法施行規則改正
  21. ^ 昭和33年郵政省令第27号による無線局免許手続規則改正
  22. ^ 昭和35年郵政省告示第1017号
  23. ^ 昭和36年郵政省令第12号による電波法施行規則改正
  24. ^ 昭和36年郵政省令第40号 無線機器型式検定規則施行
  25. ^ 昭和39年郵政省告示第800号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  26. ^ 昭和52年郵政省令第3号による電波法施行規則改正
  27. ^ 平成11年郵政省令第82号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  28. ^ 平成11年郵政省令第81号による無線機器型式検定規則改正の施行
  29. ^ 平成11年郵政省令第81号による無線機器型式検定規則改正附則第2項から第4項
  30. ^ 平成21年総務省告示第321号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  31. ^ 平成21年総務省令第62号による電波法施行規則改正
  32. ^ 平成23年総務省令第163号による特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則改正の施行
  33. ^ 平成30年総務省令第4号による電波法施行規則改正
  34. ^ 用途別無線局数 総務省情報通信統計データベース - 分野別データ
  35. ^ 平成4年法律第74号による電波法改正の施行
  36. ^ 平成9年法律第47号による電波法改正
  37. ^ 平成17年法律第107号による電波法改正の施行
  38. ^ 平成20年法律第50号による電波法改正
  39. ^ 平成23年法律第60号による電波法改正
  40. ^ 平成26年法律第26号による電波法改正
  41. ^ 平成29年法律第27号による電波法改正
  42. ^ 令和元年法律第6号による電波法改正

関連項目編集

外部リンク編集

情報通信振興会