波のうえの魔術師』(なみのうえのまじゅつし)は、石田衣良の小説。

2002年に『ビッグマネー!〜浮世の沙汰は株しだい〜』として、フジテレビテレビドラマ化された。

物語編集

第1章 波の上の魔術師
1998年バブル景気の崩壊後、日本経済は沈んでいた。そんなある日、大学卒業後、就職できずに浪人となっていた青年・白戸則道は、ある出来事に立ち会ったことから、その場にいた怪しげな老紳士・小塚泰造から声をかけられ、「秘書をしないか」と誘われる。
最初は老人の胡散臭さを感じていた白戸だったが、簡単な仕事と好条件に惹かれて、小塚老人の話に乗ることに…。
しかし、白戸を待ち受けていたのは、小塚老人の正体、それに心理が渦巻く株式市場(マーケット)だった。
第2章 曇り空のランダムウォーク
「相場の魔術師」の異名を持つ名ディーラー・小塚老人の話から知識を吸収し、次第に技術・感覚を磨いていく白戸。
そんな白戸に、小塚老人はバブル末期の変額保険の話をするが、それは株式市場を舞台にした、大手都市銀行まつば銀行への壮大な復讐計画にして決死の戦い、「五週間戦争(秋のディール)」を打ち明けるきっかけに過ぎなかった。
第3章 秋のディール
秋のディールが近づく中、まつば銀行を罠にはめるため、計画の準備を着実かつ入念に白戸は進めてゆく。
しかし、その間もまつば銀行、経済市場は目まぐるしく動き続ける。
そして、僅かなことさえもが運命をも動かす巨大な世界に、多くの人々を巻き込んだ「五週間戦争(秋のディール)」が始まる。
その果ての、白戸を待ち受ける結末とは…。

登場人物編集

主要人物編集

白戸 則道(しらと のりみち)
主人公であり、本作における語り手。新潟県新潟市出身。父親は県庁勤務の公務員
大学卒業後、就職浪人生活を送っていたある日、パチンコの勝敗を几帳面に記録していることに目を付けた小塚から「月給25万円のアルバイト」を持ちかけられる。
当初は、株式、市場、経済などに関しての知識はほとんどなかったが、小塚老人と出会ってから半年前後で、ディーラーとしての技能を身につけた。
小塚 泰造(こづか たいぞう)
本作の重要人物であり、本作におけるもう1人の主人公。作中での呼び名は「小塚老人」。
怪しげな老紳士だが、その正体は、相場の魔術師と評されるほどの名ディーラー。
自分の若いころに似ていた白戸に、新規事業の人員として仕事を持ちかけ、経済知識を教えていく。
実は小塚は、あるとんでもない事業計画、復讐心を胸に抱いていた。

まつば銀行編集

山崎 史彦(やまざき ふみひこ)
まつば銀行の行員。物語中における変額保険の発案者で、小塚や白戸とは、マーケットを挟んだライバル。
関根 秀樹(せきね ひでき)
まつば銀行・町屋駅前支店得意先係に勤務している行員。弱気な性格をしており、いつも営業責任の罰を請け負わされている。
保坂 遥(ほさか はるか)
まつば銀行・町屋駅前支店に勤務するキャリア女性行員。年齢は30前後。
白戸と知り合い、次第に関係をもつようになり、また、白戸の計画に協力していくことに。

白戸・小塚の関係者編集

辰美 周二(たつみ しゅうじ)
右翼暴力団の代表。裏社会のルートと組織力、膨大な人員(サクラ)を擁して、小塚や白戸に協力する。
ケント・フクハラ
ウィンザー銀行の代表。小塚への信用と利害関係の一致から白戸に協力し、自らはメガバンクへの野心をみる。そのため、表面上はまつば銀行に対して対等あるいは下手な立場でいるが、裏では買収を企図してその機会をうかがう。
波多野 テルコ(はたの - )
小塚曰く、昔のガールフレンド。アルツハイマー症で、夫を亡くし、変額保険に関わったことで病状は急速に進行した。
物語開始時点では特別養護老人ホーム「養福園」に身を置いている。
白戸のことを小塚と思っている。

備考編集

  • 経済をテーマにしているため、経済用語や法律名などが登場する。
  • 物語の核となる「変額保険を巡るトラブル」は現実社会にあったことである。
  • 物語中で白戸や小塚が挑むまつば銀行には、財閥系・関西系の都市銀行が母体、預金高第3位、世界有数の銀行、公的資金の注入などの設定が組み込まれている。このため、モデル銀行を特定しないフィクションの銀行である(詳しくは、まつば銀行のモデルも参照)。

書籍情報編集

テレビドラマ編集