活量(かつりょう、: activity)は、実在溶液における実効モル濃度である。できる限りモル濃度(あるいは他の濃度)に近い性質を持ち、しかも厳密な熱力学の関係に登場し得る量である。一般的には、温度圧力物質量についての複雑な関数になる[1][2]

理想系と実存系に存在する誤差を修正するためにギルバート・ルイスによって導入された物理量で、普通、或いはと表される。活動度と呼ばれる場合もある。

化学ポテンシャルとの関係 編集

理想的な混合物の場合、成分 化学ポテンシャルラウールの法則より以下のように与えられる:

 

ここで、 は基準となる化学ポテンシャル、 は成分 モル分率 は圧力、 は温度である。

これに対し実在系、すなわちラウールの法則が成り立たない系では、化学ポテンシャルは以下のように活量で表される:

 

つまり

 

である。

溶液の場合、溶質の濃度が0に近づくにつれてラウールの法則からのズレが小さくなるため、溶媒および溶質の活量はモル分率で近似される(  につれて  )。

活量係数 編集

活量係数: activity coefficient は次式によって定義される。

 

これは理想とする数値からのずれを表す指標となっている。希薄溶液の場合、溶液および溶質の活量係数は1に近づく(  につれて  )。

絶対活量 編集

絶対活量: absolute activity)は以下のように定義される。そのため 相対活量: relative activity)と呼ばれることもある。

 


近似 編集

活量は分圧を基準圧力1 barで除したものや、モル濃度を基準濃度1 mol/Lで除したもので近似される。

参考文献 編集

  1. ^ 田崎晴明『熱力学 現代的な視点から』(初版)培風館〈新物理学シリーズ 32〉、2000年4月12日、184頁。ISBN 9784563024321 
  2. ^ P. A. Atkins; J. de Paula 著、千原秀昭、中村亘男 訳『物理化学(上)』(8版)東京化学同人、2009年。ISBN 9784807906956 

関連項目 編集