利用者:Omotecho/sandbox/アメリカ国勢調査 (2000年)

アメリカ合衆国
第22次国勢調査
アメリカ合衆国国勢調査局の紋章
国勢調査のロゴ
一般情報
アメリカ合衆国
実施年月日 2000年4月1日
人口 2億8,142万1,906人
人口増減率 増加 13.2%
最多人口州 カリフォルニア州
3,387万1,648人
最少人口州 ワイオミング州
49万3,782人

アメリカ合衆国2000年国勢調査(‐がっしゅうこく 2000ねん こくせいちょうさ、United States Census 2000)は国勢調査局が実施する人口統計である。2000年4月1日時点のアメリカ居住人口は2億8,142万1,906人であり、前回1990年の調査時の2億4,870万9,873人と比べると13.2%増加した[1]。連邦政府による第22次の国勢調査であり、当時、公務員による平時の取り組みとして同国最大の事業である[2]

2000年の国勢調査の対象世帯のうち約16%は100超の設問を載せた「詳細版調査票」(ロングフォームロングフォーム) を受け取った。2000年国勢調査の完全版文書記録は統合型公開利用マイクロデータ集 (Integrated Public Use Microdata Series) に公開され、調査票の記載内容ならびに手続き履歴も含む。

このときは初めて単独州の人口が3,000万人を超え(カリフォルニア州) 、あわせて2000万人超の州が初めて2州 (同州とテキサス州) 記録されてもいる。

データの可用性 編集

2000年国勢調査によるマイクロデータは統合型公開利用マイクロデー集から無料で入手でき、面積の小さな地域の集計データは選挙区境電子ファイルとともに「全国歴史的地理情報システム」(National Historical Geographic Information System)からダウンロードできる。個人特定情報の利用制限解除は2072年である[3]

州の番付 編集

アメリカ合衆国国勢調査 (2000年)
順位 州名 1990年 (人) 2000年 (人)[4] 増減 (人) 変動
百分率 (%)
1   カリフォルニア 29,760,021 33,871,648   4,111,627   13.8
2   テキサス 16,986,510 20,851,820   3,865,510   22.8
3   ニューヨーク 17,990,455 18,976,457   986,002   5.5
4   フロリダ 12,937,926 15,982,378   3,044,452   23.5
5   イリノイ 11,430,602 12,419,293   988,691   8.6
6   ペンシルベニア 11,881,643 12,281,054   399,411   3.4
7   オハイオ 10,847,115 11,353,140   506,025   4.7
8   ミシガン 9,295,297 9,938,444   643,147   6.9
9   ニュージャージー 7,730,188 8,414,350   684,162   8.9
10   ジョージア 6,478,216 8,186,453   1,708,237   26.4
11   ノースカロライナ 6,628,637 8,049,313   1,420,676   21.4
12   バージニア 6,187,358 7,078,515   891,157   14.4
13   マサチューセッツ 6,016,425 6,349,097   332,672   5.5
14   インディアナ 5,544,159 6,080,485   536,326   9.7
15   ワシントン 4,866,692 5,894,121   1,027,429   21.1
16   テネシー 4,877,185 5,689,283   812,098   16.7
17   ミズーリ 5,117,073 5,595,211   478,138   9.3
18   ウィスコンシン 4,891,769 5,363,675   471,906   9.6
19   メリーランド 4,781,468 5,296,486   515,018   10.8
20   アリゾナ 3,665,228 5,130,632   1,465,404   40.0
21   ミネソタ 4,375,099 4,919,479   544,380   12.4
22   ルイジアナ 4,219,973 4,468,976   249,003   5.9
23   アラバマ 4,040,587 4,447,100   406,513   10.1
24   コロラド 3,294,394 4,301,261   1,006,867   30.6
25   ケンタッキー 3,685,296 4,041,769   356,473   9.7
26   サウスカロライナ 3,486,703 4,012,012   525,309   15.1
27   オクラホマ 3,145,585 3,450,654   305,069   9.7
28   オレゴン 2,842,321 3,421,399   579,078   20.4
29   コネチカット 3,287,116 3,405,565   118,449   3.6
30   アイオワ 2,776,755 2,926,324   149,569   5.4
31   ミシシッピ 2,573,216 2,844,658   271,442   10.5
32   カンサス 2,477,574 2,688,418   210,844   8.5
33   アーカンソー 2,350,725 2,673,400   322,675   13.7
34   ユタ 1,722,850 2,233,169   510,319   29.6
35   ネバダ 1,201,833 1,998,257   796,424   66.3
36   ニューメキシコ 1,515,069 1,819,046   303,977   20.1
37   ウエストバージニア 1,793,477 1,808,344   14,867   0.8
38   ネブラスカ 1,578,385 1,711,263   132,878   8.4
39   アイダホ 1,006,749 1,293,953   287,204   28.5
40   メイン 1,227,928 1,274,923   46,995   3.8
41   ニューハンプシャー 1,109,252 1,235,786   126,534   11.4
42   ハワイ 1,108,229 1,211,537   103,308   9.3
43   ロードアイランド 1,003,464 1,048,319   44,855   4.5
44   モンタナ 799,065 902,195   103,130   12.9
45   デラウェア 666,168 783,600   117,432   17.6
46   サウスダコタ 696,004 754,844   58,840   8.5
47   ノースダコタ 638,800 642,200   3,400   0.5
48   アラスカ 550,043 626,932   76,889   14.0
49   バーモント 562,758 608,827   46,069   8.2
  ワシントンD.C. 606,900 572,059   -34,841   -5.7
50   ワイオミング 453,588 493,782   40,194   8.9
    アメリカ全国 248,709,873 • 281,421,906 •  32,712,033 •   13.2

都市の番付 編集

上位100都市 編集

順位 都市名 州名 人口[5] 地域
1 ニューヨーク ニューヨーク 8,008,278 北東部
2 ロサンゼルス カリフォルニア 3,694,820 西部
3 シカゴ イリノイ 2,896,016 中西部
4 ヒューストン テキサス 1,953,631 南部
5 フィラデルフィア フィラデルフィア 1,517,550 北東部
6 フェニックス アリゾナ 1,321,045 西部
7 サンディエゴ カリフォルニア 1,223,400 西部
8 ダラス テキサス 1,188,580 南部
9 サンアントニオ テキサス 1,144,646 南部
10 デトロイト ミシガン 951,270 中西部
11 サンノゼ カリフォルニア 894,943 西部
12 インディアナポリス インディアナ 791,926 中西部
13 サンフランシスコ カリフォルニア 776,733 西部
14 ジャクソンビル フロリダ 735,617 南部
15 コロンバス オハイオ 711,470 中西部
16 オースティン テキサス 656,562 南部
17 ボルチモア メリーランド 651,154 南部
18 メンフィス テネシー 650,100 南部
19 ミルウォーキー ウィスコンシン 596,974 中西部
20 ボストン マサチューセッツ 589,141 北東部
21 ワシントン DC 572,059 南部
22 ナッシュビル-デイビッドソン テネシー 569,891 南部
23 エルパソ テキサス 563,662 南部
24 シアトル ワシントン 563,374 西部
25 デンバー コロラド 554,636 西部
26 シャーロット ノースカロライナ 540,828 南部
27 フォートワース テキサス 534,694 南部
28 ポートランド オレゴン 529,121 西部
29 オクラホマシティー オクラホマ 506,132 南部
30 ツーソン アリゾナ 486,699 西部
31 ニューオーリンズ ルイジアナ 484,674 南部
32 ラスヴェガス ネバダ 478,434 西部
33 クリーブランド オハイオ 478,403 中西部
34 ロングビーチ カリフォルニア 461,522 西部
35 アルバカーキ ニューメキシコ 448,607 西部
36 カンサスシティ ミズーリ 441,545 中西部
37 フレズノ カリフォルニア 427,652 西部
38 バージニアビーチ バージニア 425,257 南部
39 サンノゼ プエルトリコ 421,958
40 アトランタ ジョージア 南部
41 サクラメント カリフォルニア 407,018 西部
42 オークランド カリフォルニア 399,484 西部
43 メサ アリゾナ 396,375 西部
44 タルサ オクラホマ 393,049 南部
45 オマハ ネブラスカ 390,007 中西部
46 ミネアポリス ミネソタ 382,618 中西部
47 ホノルル ハワイ 371,657 西部
48 マイアミ フロリダ 362,470 南部
49 コロラドスプリングス コロラド 360,890 西部
50 セントルイス ミズーリ 348,189 中西部
51 ウィチタ カンサス 344,284 中西部
52 サンタアナ カリフォルニア 337,977 西部
53 ピッツバーグ フィラデルフィア 334,563 北東部
54 アーリントン テキサス 332,969 南部
55 シンシナチ オハイオ 331,285 中西部
56 アナハイム カリフォルニア 328,014 西部
57 トレド オハイオ 313,619 中西部
58 タンパ フロリダ 303,447 南部
59 バッファロー ニューヨーク 292,648 北東部
60 セントポール ミネソタ 287,151 中西部
61 コーパスクリスティ テキサス 277,454 南部
62 アウロラ コロラド 276,393 西部
63 ラレー Raleigh ノースカロライナ 276,093 南部
64 ニューアーク ニュージャージー 273,546 北東部
65 レキシントン-ファイエット ケンタッキー 260,512 南部
66 アンカレッジ アラスカ 260,283 西部
67 ルイビル ケンタッキー 256,231 南部
68 リバーサイド カリフォルニア 255,166 西部
69 セントピーターズバーグ フロリダ 248,232 南部
70 ベイカースフィールド カリフォルニア 247,057 西部
71 ストックトン カリフォルニア 243,771 西部
72 バーミングハム Birmingham アラバマ 242,820 南部
73 ジャージーシティ ニュージャージー 240,055 北東部
74 ノーフォーク バージニア 234,403 南部
75 バトンルージュ ルイジアナ 227,818 南部
76 ハイアレア Hialeah フロリダ 226,419 南部
77 リンカーン ネブラスカ 225,581 中西部
78 グリーンズボロ ノースカロライナ 223,891 南部
79 プラノ テキサス 222,030 南部
80 ロチェスター ニューヨーク 219,773 北東部
81 グレンデール アリゾナ 218,812 西部
82 アクロン Akron オハイオ 217,074 中西部
83 ガーランド テキサス 215,768 南部
84 マディソン ウィスコンシン 208,054 中西部
85 フォートウェイン インディアナ 205,727 中西部
86 バヤモン プエルトリコ 203,499
87 フレモント カリフォルニア 203,413 西部
88 スコッツデール アリゾナ 202,705 西部
89 モントゴメリー アラバマ 201,568 南部
90 シュレーブポイント ルイジアナ 200,145 南部
91 オーガスタ-リッチモンド郡 ジョージア 199,775 南部
92 ラボック Lubbock テキサス 199,564 南部
93 チェサピーク バージニア 199,184 南部
94 モーバイル アラバマ 198,915 南部
95 デモイン アイオワ 198,682 中西部
96 グランドラピッズ ミシガン 197,800 中西部
97 リッチモンド バージニア 197,790 南部
98 ヨンカーズ ニューヨーク 196,086 北東部
99 スポカン ワシントン 195,629 西部
100 グレンデール カリフォルニア 194,973 西部

人口の概観 編集

アメリカの居住総人口算出には国内50州ワシントンD.C.が対象となる。国勢調査局が合わせて集計したアメリカ領プエルトリコの場合、居住者数は10年前に比べて8.1%増の380万8,610人であった。

国勢調査局はより詳細な人口概観の序文において (下記の参考文献を参照)、アメリカの人口動態に関して次の事実を強調する。

  • 回答者の75%は確実に白人もしくは白人系であると回答。
  • ヒスパニック系は総人口の12.5%と1990年の9%から増加。
  • ドイツ系は12.4% (国民3,450万人)。
  • 黒人またはアフリカ系アメリカ人は12.3%。
  • アジア系は回答者の3.6%を占めた。
  • 回答者の2.4% (国民680万人) [6]は多民族 (2人種以上)。多民族国民は2000年の国勢調査で初めて項目として追加。
  • 1990年から2000年にかけ、45歳‐54歳人口は49%、85歳以上人口は38%それぞれ増加。
  • 85歳以上人口の内訳は、女性が男性を2対1で圧倒した。
  • 1997年時点で成人の5人に1人に何らかの障害があり、年齢があがると障害を抱える率が高まった。
  • 男性または女性の一人暮らし世帯の対極として、家族世帯は依然としてアメリカの世帯総数で最も割合が高かったものの、30年前ほどの優勢は示していない。
  • 1993年以降、家族と非家族の両方で世帯収入の中央値が上昇し、伸び率は「世帯主が非婚女性」の世帯で最も著しい。
  • 夫婦世帯の人々は貧困率が最低であった。
  • 低所得者は年齢層を問わず、他の人々と比べると健康保険の被保険者ではない可能性が高い。
  • 小学生高校生の数は2000年、史上最高の4,900万人 (1970年に達成) をわずかに下回る。
  • 人種や民族の枠を越え、教育普及率が改善。
  • アメリカ国内の世帯の過半数 (51%) はコンピューターを利用、42%はインターネットに接続する[7]

人口動態 編集

地域別では、国内最大の人口増加は南部西部で見られ、それぞれ1,479万0,890人および1,041万1,850人である。これはアメリカ全国の人口中心はミズーリ州フェルプス郡に移動したことを示唆する。278万5,149人の増加を見た北東部に対し中西部は472万4,144人の伸びである。

縮尺は実際と異なる。

 
図1: アメリカ合衆国の人口動態の配分の変化、国内50州とワシントンD.C. ならびにプエルトリコ (1990年‐2000年)
図1: アメリカ合衆国の人口動態の配分の変化、国内50州とワシントンD.C. ならびにプエルトリコ (1990年‐2000年) 編集

百分率による人口動態図の凡例は色の濃い順に示す。

比率
(対全米平均)
変更率
(単位:%)

3倍→
39.6以上
00
00
2倍→
26.4以上39.5以下
00
00
全米平均
13.2以上26.3以下
13.2
変化なし→
00
00以上13.1以下
00
減少→
00
00未満
00

0000

 
図2: アメリカ合衆国の人口動態の数的変化、国内50州とワシントンD.C. ならびにプエルトリコ (1990年‐2000年)
図2: アメリカ合衆国の人口動態の数的変化、国内50州とワシントンD.C. ならびにプエルトリコ (1990年‐2000年) 編集

数値による人口動態図の凡例は色の濃い順に示す。

変更値(単位:人) 増減
100万以上 増加
50万1以上100万未満
10万1以上50万以下
00以上10万以下
00未満 減少

0000

議席の再配分 編集

図3: 第108回アメリカ下院議会議席の割り当て 編集
 
第108次アメリカ下院議会の議席割り当て

国勢調査の結果に基づき、各州の議席配分が決まる。議会は合衆国下院の定数435議席を各州に配分しなおすにつき、米国憲法第2条に定義された数式に準拠、配分対象の総数は国内50州の居住人口に加え、海外駐留の軍人と、連邦被雇用者の民間人およびその同居被扶養者を州に割り当てる対象に算入する。下院議員1人当たりおよそ64万7,000人を代表する計算になる。ただしワシントンD.C. 住民とプエルトリコの人口はアメリカ下院の投票権を持たないため、再配分の対象から除外される。

議席の再配分図の凡例
1990年と
2000年の比較
(単位:議席)
増加 紺色
2
水色
1
増減なし グレー
減少 薄緑色
1
緑色
2

1790年の第1回から始まる国勢調査は、アメリカ政府の代議員制度の基礎であり10年単位で施行される。第1条第2項の規定により「議員1人が代表する住民は3万人を超えてはならず、各州に少なくとも代議員1人を置く」とされている。1790年時点の下院議員1人当たりの住民数は約3万4,000人であり、下院議員数は増え続けて4倍超にふくらみ、代議員定数は1911年に435席に固定される。現在、下院議員1人当たりの人口割はかつてのおよそ20倍を示す。数値による人口動態図の凡例は色の濃い順に示す。

0000

調整をめぐる論争 編集

2000年の国勢調査実施に先立ち、調査局が標本とした地域を対象に「事後調査」を行って国勢調査の数値を調整するべきかどうか、数年にわたる議論が重ねられた[注釈 1]。争点のひとつは実施上の問題であったが、両党の予測では1990年国勢調査のデータに基づく選挙区再編により立法府における民主党代議士数の微増を招くが、ユタ州では増員1名を見こみ、共和党員が有力視されるという政治的思惑も絡んだ[8][9]

国勢調整の集計値と人口統計学的人口変動の推計値にズレが生じたものの、国勢調査に続く選挙区再編基礎データ提供の法的期限内に解決できなかったため、その目的には未調整の集計結果の使用が妥当という国勢調査局勧告を受け[10]、商務長官(決定責任者)はそれに従った。

ユタ州が論争を提起 編集

ユタ州は国勢調査の集計後、2つの異なる手法で結果の検証を試みる。同州からアメリカ議会下院に送る議員数を3から4に増やせるかどうかが注目されたものの、僅差の857人で届かず、追加議席はノースカロライナ州に奪われた。しかし連邦政府がノースカロライナ州の人口のうち2,673人は誤って加算したと認めると、差分は80人に短縮する[11]。国勢調査局は国民のうち、国外駐留の軍人およびその他の連邦被雇用者の民間人を本国の居住者として数え、それ以外の国外居住者を除外していた。ユタ州はその点について、宗教者として海外に赴任する国民も居住者に算入するべきであって、除外によりモルモン教の宗教慣行に圧力をかけたと主張する[要追加記述]。その宗教の宣教師に占めるユタ州出身者はほぼ半数に当たる1万1,000人超、ノースカロライナ州出身者は102人であった。この方針が変更された場合、議席の追加対象はノースカロライナ州ではなくユタ州である。最高裁判所は2002年11月26日、下級裁判所の判決を支持し宣教師数を算出したユタ州の主張を否決した[12]

ユタ州はその後も別の訴訟を起こして、州の人口を計算する際に使用される統計的手法が不適切であり、ユタ州に不利であると主張する。国勢調査局が使用する方法は「(帰属)代入法」(英語版)と呼ばれ、複数の方法をとっても居住者がいない住所に多数の居住者を割り当てる[要追加記述]。この方法による人口加算は全国平均0.4%のところ、ユタ州の加算率は0.2%であった。1957年の国勢調査法に違反する方法である点、また配分に「実際の記数」(actual enumeration) を使用するという憲法第1条2項の定める要件に反する点を主張し、ユタ州は是正を求めた[13]。この事案〈ユタ州対エヴァンス〉訴訟は最高裁判所に送られるものの、州は再び敗訴した[14]

第3の性別をめぐる論争 編集

 
2000年アメリカ国勢調査の詳細版調査票、いわゆる〈ロングフォーム〉の「人物2」欄。黒丸で示した設問2、同3を用いると、同性パートナーに関するデータ集計が可能。

国勢調査の調査票に性的指向に関する質問が含まれなかったことから、異性愛者と同性愛者の人口比較データの集計ができなかった。ただし同性パートナー関係を集計できる設問は2つあった。調査票では世帯構成員それぞれの性別のほか世帯構成員の関係を尋ね、回答欄で「夫/妻」「未婚のパートナー」を含む多くの関係性から選択できるようにしてあった[15][16]。回答が集計されると国勢調査局は、アメリカの世帯数に占める同性配偶者を65万8,000組以上と報告した。ただし国勢調査以外の調査によると、同居して世帯を構える同性カップルは男性の約25%、同じく女性の40%のみであるという[17]。国勢調査で集計された同性カップル1組に対し、じつは3人ないし6人の独身の同性カップルが除外された可能性があり、同性カップルの男性33万6,001人、同じく女性32万9,522人という報告が国勢調査局からあがった[18]。その数字と調査対象の同性愛者に伴う習慣から外挿すると、2000年時点のアメリカ国民のうち430万人もの同性愛者がいた可能性が示唆される。ただし国勢調査では具体的に算出されず、正確な数値は把握されていない。設問がなかったことから、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーの人口も集計されなかった。また最初の事例同様、同居する同性カップル数をどれほど加算するべきか判明しないものの、この点は異性カップルにも同様に当てはまる。憎悪犯罪や同性愛者で子供を持つ世帯の社会福祉に関する立法を検討する議員は、正確な数値が欠失し困難に直面する[19]。また世帯出生率の予測においても、精度が低限される[20]

同性愛者の権利擁護活動家により集計過程のデータの自動変更に関係する別の問題が提起された。ソフトウェアによる自動データ集計システムには〈割り当て〉と呼ばれ、アンケート解答の間違いや不一致に対処する機能がある。2人の同性愛者が「夫/妻」関係であるという選択肢にレ点を記した場合はデータ不一致として扱い、国勢調査局の説明によるとコンピューター処理により、同性の「夫/妻」を選んだサンプルデータの事例で99%は「未婚パートナー」に分類を移項されたという。残りの1%では、コンピューター処理により次のいずれかに振り替えた。(A)パートナーの片方の性別を変更し両性婚にした。(B)年齢差が15歳超の場合は婚姻関係から親子関係に割り当て直した[21]。国勢調査局が同性婚のデータを自動処理によって割り当て直すプロセスを採用した背景に、1996年成立の結婚防衛法遵守という目論見があった。法文を引用する。

In determining the meaning of any Act of Congress, or of any ruling, regulation or interpretation of the various administrative bureaus and agencies of the United States, the word 'marriage' means only a legal union between one man and one woman as husband and wife, and the word 'spouse' refers only to a person of the opposite sex who is a husband or wife.[21]

同性配偶者の世帯件数が未婚配偶者の分類に移項されたため、社会科学者は既婚者と自認する同性カップルについて、その社会的安定性を抽出する情報を失った[20]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 1999年の最高裁判所判決では、そのような数字を配分目的で使用することを5-4で禁じるが、可能であれば他の目的への適用を認める可能性があるとした。

出典 編集

  1. ^ Population and Area (Historical Censuses)” (英語). United States Census Bureau. 2008年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月20日閲覧。
  2. ^ Census.gov Introduction to Census 2000 Data Products” (pdf) (英語). 2011年4月25日閲覧。
  3. ^ US Census Bureau, Census History Staff. “The "72-Year Rule" – History – U.S. Census Bureau” (英語). www.census.gov. 2015年10月26日閲覧。
  4. ^ Resident Population of the 50 States, and the District of Columbia April 1, 2000 (Census 2000) and April 1, 1990 (1990 Census)” (英語). アメリカ国勢調査局 (2000年12月28日). 2012年8月24日閲覧。
  5. ^ “Ranking Tables for Incorporated Places of 100,000 or More”. Census 2000 (U.S. Census Bureau). (2001). https://www.census.gov/population/www/cen2000/briefs/phc-t5/index.html. 
  6. ^ Jayson, Sharon (2006年2月7日). “'Colorblind' Generation Doesn't Blink at interracial Relationships”. USA Today. SIRS Researcher. Web. (October 25, 2010) 
  7. ^ Newburger, Eric (September 2001). “Home Computers and Internet Use in the United States: August 2000”. Current Population Reports (U.S. Census Bureau): 1–2. https://www.census.gov/prod/2001pubs/p23-207.pdf 2014年12月5日閲覧。. 
  8. ^ Anderson, Margo; Fienberg, Stephen E. (2000). “Partisan Politics at Work: Sampling and the 2000 Census” (英語). PS: Political Science and Politics (American Political Science Association) 33 (4): 795-799. doi:10.1017/S1049096500062016. JSTOR 420917. 
  9. ^ Policy briefsArchived January 22, 2006, at the Wayback Machine.
  10. ^ Census 2000 ESCAP” (英語). Census.gov. 2011年4月25日閲覧。
  11. ^ “Census Blooper Costly for Utah; Error May Have Resulted in Loss of House Seat(ユタ州、国勢調査の不手際で高い代償:失策で下院議席を喪失か)” (英語). ソルトレーク・トリビューン (en). (2003年10月1日). オリジナルの2009年3月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090315040845/http://www.accessmylibrary.com/coms2/summary_0286-9047917_ITM 2009年2月25日閲覧。 
  12. ^ Greenhouse, Linda (2001年11月27日). “Justices Deal Utah a Setback In Its Bid to Gain a House Seat(裁判官、下院の議席獲得をめぐるユタ州訴訟を退ける)” (英語). ニューヨーク・タイムズ. https://www.nytimes.com/2001/11/27/us/justices-deal-utah-a-setback-in-its-bid-to-gain-a-house-seat.html?sq=utah+mormon+abroad+census&scp=1&st=cse 2008年7月16日閲覧。 
  13. ^ Greenhouse, Linda (2002年1月23日). “Supreme Court Roundup; Justices to Hear Utah's Challenge to Procedure in 2000 Census(最高裁判所の総括; 2000年国勢調査におけるユタ州の手続きへの反論を聞く裁判官)” (英語). ニューヨーク・タイムズ. https://www.nytimes.com/2002/01/23/us/supreme-court-roundup-justices-hear-utah-s-challenge-procedure-2000-census.html 2008年7月16日閲覧。 
  14. ^ Greenhouse, Linda (2002年6月21日). “The Supreme Court: Right to Privacy; Supreme Court Finds Law On Educational Privacy Isn't Meant for Individuals(最高裁判所:プライバシー権について。教育のプライバシーに関する法律を個人は主張できないと最高裁判所認定)” (英語). ニューヨーク・タイムズ. https://www.nytimes.com/2002/06/21/us/supreme-court-right-privacy-supreme-court-finds-law-educational-privacy-isn-t.html?pagewanted=2 2008年7月16日閲覧。 
  15. ^ Census 2000 Long Form Questionnaire” (英語). 2010年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月25日閲覧。
  16. ^ Census 2000 Short Form Questionnaire” (英語). 2011年6月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月25日閲覧。
  17. ^ Gay and Lesbian Demographics” (英語). Urban.org. 2011年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月25日閲覧。
  18. ^ US Census unmarried couple data listed by state” (英語). Gaydemographics.org. 2009年8月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月25日閲覧。
  19. ^ Ly, Phuong (2000年3月12日). “Be Counted In Census, Groups Urge Gay Live-Ins” (英語). The Washington Post (Pqasb.pqarchiver.com). https://pqasb.pqarchiver.com/washingtonpost/access/50941427.html?dids=50941427:50941427&FMT=ABS&FMTS=ABS:FT&date=MAR+12%2C+2000&author=Phuong+Ly&pub=The+Washington+Post&desc=Be+Counted+In+Census%2C+Groups+Urge+Gay+Live-Ins&pqatl=google 2011年4月25日閲覧。 
  20. ^ a b Unbinding the Ties: Edit Effects of Marital Status on Same Gender Couples” (英語). Census.gov (2009年1月7日). 2011年4月25日閲覧。
  21. ^ a b Technical Note on Same-Sex Unmarried Partner Data From the 1990 and 2000 Censuses” (英語). Census.gov (2009年1月7日). 2011年4月25日閲覧。

典拠

関連項目 編集

関連文献 編集

外部リンク 編集

アメリカ合衆国国勢調査局 編集

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2000年国勢調査に関するその他のWebサイト 編集

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