「ロジスティック方程式」の版間の差分

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式を発案したフェルフルストは[[人口]]の成長の様子を表すためにロジスティック方程式を発案した{{Sfn|Kingsland|1982|p=30}}。式を普及させたパールとリードも、ロジスティック方程式を使った最初の個体群成長研究は人口成長に対するものであった{{Sfn|Kingsland|1982|p=31}}。彼らは共に、当時までの人口統計をもとにして[[アメリカ合衆国]]の将来の人口を予測したが、どちらの予測も実際の人口成長を言い当てることはできなかった{{Sfn|コーエン|1998|p=113–115}}。パールとリードの結果では、1700年から1940年までの値は曲線によく合致していた。彼らが当てはめたロジスティック曲線では人口はその後飽和に向かうはずだったが、実際にはそれを裏切り、1940年以後もアメリカの人口は急増状態が続いた{{Sfn|山口|1992|pp=58–59}}。
 
さらにパールは当時の推定[[世界人口]]をもとに世界人口の上限値(環境収容力 ''K'')の予測も推定を行った。1924年と1936年パールはれぞれ別研究者とともに推定を行い、その値を発表した。それらの上限推定は、前者では20億人、後者では26億人という予測、どちらも実際とはかけ離れたものとなった{{Sfn|コーエン|1998|p=115}}。
 
==生物学的・人口学的位置付け==
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{{see also|競争 (生物)|ロトカ・ヴォルテラの競争方程式}}
ロジスティック方程式は環境内に1種のみが存在するときの(あるいは1種とみなせるときの)モデルだが、実際の環境では複数以上の種が生息している{{Sfn|巌佐|1990|p=13}}。複数の種が存在するとき、それぞれの種の間には[[競争 (生物)|競争]]や[[相利共生]]、[[捕食-被食関係|捕食-被食]]などの関係が存在して、それぞれの個体数が互いの個体数増加率に影響を与える{{Sfn|マレー|2014|p=65}}。その中でも特に、環境内に競争関係にある2種が存在する場合にロジスティック方程式を拡張させたものとして、以下の[[ロトカ・ヴォルテラの競争方程式]]が知られる{{Sfn|大串|2014|p=66}}。
:<math>\frac{dN_1}{dt} = r_1 N_1 \left(1 - \frac{N_1 -+ a_{12} N_2}{K_1} \right)</math>
:<math>\frac{dN_2}{dt} = r_2 N_2 \left(1 - \frac{N_2 -+ a_{21} N_1}{K_2} \right)</math>
 
係数の ''N''<sub>1</sub>, ''r''<sub>1</sub>, ''K''<sub>1</sub> は種1の個体数、内的自然増加率、環境収容力である。同様に、''N''<sub>2</sub>, ''r''<sub>2</sub>, ''K''<sub>2</sub> は種2の個体数、内的自然増加率、環境収容力である。さらに、''a''<sub>12</sub> が種2が種1に与える影響を、''a''<sub>21</sub> が種1が種2に与える影響を表し、競争係数と呼ばれる{{Sfn|日本生態学会(編)|2004|p=133}}。この式はアメリカの数学者[[アルフレッド・ロトカ]]とイタリアの数学者[[ヴィト・ヴォルテラ]]によって独立に考案された{{Sfn|日本生態学会(編)|2004|p=133}}。