「行政不服審査法」の版間の差分

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:: 審理は、原則として書面等によって行われる([[s:行政不服審査法#29|第29条]]による弁明書、[[s:行政不服審査法#30|第30条]]による反論書や意見書、[[s:行政不服審査法#32|第32条]]による証拠書類や証拠物、[[s:行政不服審査法#33|第33条]]による物件等)。これは迅速で簡易、かつ着実な処理を行うためであり、'''書面審査主義'''と言われる。
:: 一方で、申立てがあったときは、審査請求人又は参考人は'''口頭での意見陳述'''([[s:行政不服審査法#33|第33条]])を行うことができ、原則その機会が与えなければならないとされている。
 
::'''職権主義'''
:: 審理を主宰する審理員は職権によって証拠調べを行う。つまり、審査請求人や参考人、処分庁の主張しない理由等も独自に調査した上で審理を行うことができる。これは'''職権主義'''といわれ、証拠調べは職権主義に則り、審理員の職権によって行われる。ここでいう「証拠調べ」とは、'''物件の提出要求'''([[s:行政不服審査法#33|第33条]])、'''参考人の陳述や鑑定'''([[s:行政不服審査法#34|第34条]]、[[s:行政不服審査法#35|第35条]])、'''検証'''([[s:行政不服審査法#36|第36条]])、'''質問'''([[s:行政不服審査法#37|第37条]])を指し、職権によって行われる証拠調べのことを'''職権証拠調べ'''という。迅速・簡易かつ着実な手続のために有効と考えられる手段である。
:: 旧法時代はこの職権による審理の主導権を審査庁が保持していたことで、恣意的かつ処分庁側に有利であって、審査請求人等には不利な審理構造となっているとの批判も考えられたが、改正法では審理の主宰者として審理員が置かれ、かつ審理員には審査請求の事件に関する処分や不作為に関与した職員らは一切関与できない等という除斥事由が設けられた他、その審理員の職責を相当高めたことにより、公正、公平かつ責任ある審理の実現できるよう抜本的な改正が図られたといえる(無論、これで完璧かどうかという保障はなく、さらなる制度としての検証は必要と認められる)。
 
::'''当事者主義'''
:: 行審法は'''当事者主義'''的構造をも大幅に採用している。この点は旧法時代から続いている。
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:[[s:行政不服審査法#40|第40条]](審理員による執行停止の意見書の提出)
:: 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。
:[[s:行政不服審査法#41|第41条]]((審理手続の終結)
:: 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする(第1項)。
:: このほか、審理員は、以下のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる(第2項)。
::#次のイからホに応じて、審理員が該当する審理関係人に対し相当の期間内に該当する書類等を提出するよう求めたにもかかわらず提出されない場合において、更に一定の期間を示して、提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。
    イ 処分庁等 弁明書 ([[s:行政不服審査法#29|第29条]]第2項)
    ロ 審査請求人 反論書 ([[s:行政不服審査法#30|第30条]]第1項)
    ハ 参考人 反論書 ([[s:行政不服審査法#30|第30条]]第2項後段)
    二 審査請求人又は参考人 証拠書類若しくは証拠物 処分庁等 当該処分の理由となる事実を証する書類その他の物件 ([[s:行政不服審査法#32|第32条]]第3項)
    ホ 書類その他の物件の所持人 書類その他の物件 ([[s:行政不服審査法#33|第33条]])
::#申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。
:: 審理員が審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに審理員意見書 ([[s:行政不服審査法#42|第42条]]第1項)及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。[[s:行政不服審査法#42|第42条]]第2項)及び([[s:行政不服審査法#43|第43条]]第2項)において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする(第3項)。
:[[s:行政不服審査法#42|第42条]](審理員意見書)
:: 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(以下「審理員意見書」という。)を作成しなければならない(第1項)。
:: 審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。
 
==== 行政不服審査会等への諮問 ====
:[[s:行政不服審査法#43|第43条]]
:: 審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、審査庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する庁の長である場合にあっては行政不服審査会に、審査庁が地方公共団体の長(地方公共団体の組合にあっては、長、管理者又は理事会)である場合にあっては第81条第1項又は第2項の機関に、それぞれ諮問しなければならない。
::#審査請求に係る処分をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第9条第1項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)の議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て当該処分がされた場合
::#裁決をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第9条第1項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるものの議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て裁決をしようとする場合
::#第46条第3項又は第49条第4項の規定により審議会等の議を経て裁決をしようとする場合
::#審査請求人から、行政不服審査会又は第81条第1項若しくは第2項の機関(以下「行政不服審査会等」という。)への諮問を希望しない旨の申出がされている場合(参加人から、行政不服審査会等に諮問しないことについて反対する旨の申出がされている場合を除く。)
::#審査請求が、行政不服審査会等によって、国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案して、諮問を要しないものと認められたものである場合
::#審査請求が不適法であり、却下する場合
::#第46条第1項の規定により審査請求に係る処分(法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分及び事実上の行為を除く。)の全部を取り消し、又は第47条第1号若しくは第2号の規定により審査請求に係る事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することとする場合(当該処分の全部を取り消すこと又は当該事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
::#第46条第2項各号又は第49条第3項各号に定める措置(法令に基づく申請の全部を認容すべき旨を命じ、又は認容するものに限る。)をとることとする場合(当該申請の全部を認容することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
:: 行政不服審査会等への諮問は、審理員意見書及び事件記録の写しを添えてしなければならない(第2項)。
:: 行政不服審査会等への諮問をした審査庁は、審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人)に対し、当該諮問をした旨を通知するとともに、審理員意見書の写しを送付しなければならない(第3項)。
 
 
 
審査請求、再審査請求などの不服申立ての審理は、申立人による申立ての取下げか、審査庁による'''[[裁決]]'''または'''決定'''によって終了する。
裁決とは、審査請求または再審査請求に対する裁断行為をいい([[s:行政不服審査法#40|第40条]])、である。 
 裁決・決定には、その内容に応じて却下、棄却、認容の3つに分類される。認容の裁決の際、審査請求人、申立人の不利益に当該処分を変更することはできない、とする'''不利益変更禁止の原則'''がある([[s:行政不服審査法#4048|第4048条]]第5項、[[s:行政不服審査法#470|第47条]]第3項)。
 
 
=== 手続の終了 ===
審査請求などの不服申立ての審理は、申立人による申立ての取下げか、審査庁による'''[[裁決]]'''または'''決定'''によって終了する。
裁決とは、審査請求または再審査請求に対する裁断行為をいい([[s:行政不服審査法#40|第40条]])、。 
裁決・決定には、その内容に応じて却下、棄却、認容の3つに分類される。請求人、申立人の不利益に当該処分を変更することはできない、とする'''不利益変更禁止の原則'''がある([[s:行政不服審査法#40|第40条]]第5項、[[s:行政不服審査法#470|第47条]]第3項)。
 
==== 裁決 ====