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{{Pathnav|知的財産権|著作権|frame=1|hide=1}}
[[File:Duchamp Fountaine.jpg|250px|thumb|[[マルセル・デュシャン|デュシャン]]作『[[泉 (デュシャン)|泉]]』は既製品の小便器に署名しただけの作品。このような[[コンセプチュアル・アート]]はアイディアとみなされ、著作権保護が発生しない場合がある{{R|Stanford-ConcpArt}}{{Sfn|井奈波|2006|pp=4–6}}。]]
'''アイディア・表現二分論'''(アイディア・ひょうげんにぶんろん、別称: アイディアと表現の二分法理{{Efn2|「アイディア・表現二分論」が多く見受けられるものの、日本語の定訳はない。別称には「アイディアと表現の二分法理」(日本の[[文化庁]]){{R|BunkaRep}}、「表現とアイディアの二分法」(弁護士・山本){{R|YamamotoRep}}、「思想・表現二分論」(判事・髙部){{Sfn|髙部|2012|p=102}}などがある。}}、{{Lang-en-short|Idea-expression dichotomy}} または {{Lang|en|Idea-expression divide}})とは、[[知的財産権]]の一種である[[著作権]]によって何を保護するか、その対象範囲を定める法律上の原理原則 ([[法理]]) である。思想、概念や事実発見などを含む「アイディア」そのものは保護の対象外とした上で、そのアイディアを何らかの形で創作的に「表現」した[[著作物]]のみを著作権法で保護する{{Sfnm|髙部|2012|1pp=102–103, 106|島並・上野・横山|2009|2pp=20–21|作花 第4版|2010|3p=755}}。この法理に基づき、アイディアとみなされて著作権法で保護されない例には、平均株価を示す単純データ{{Sfn|作花 第5版|2018|p=66}}、スポーツのルール{{Sfn|作花 第5版|2018|p=66}}、新薬の製法{{Efn2|新薬の製法を発明し、それを論文の形式で表現していれば、その論文は著作物として著作権法で保護される。しかし製法そのものは著作権の対象外であり、一般的には特許出願の上で特許権で保護される{{Sfn|岡本|2003|pp=22–23}}。}}、一般的な単語だけを含むお笑い芸人の一発ギャグ{{Sfn|岡本|2003|pp=22–23}}などが挙げられる。ただしこれらの一部は、要件を満たせば[[特許権]]や[[商標権]]といった[[産業財産権]]、ないし[[不正競争防止法|不正競争防止]]など別の法律制度で保護されることもある。
アイディア・表現二分論の根底には、多様な表現の創出によって社会全体を活性化させようとの価値観{{Sfn|島並・上野・横山|2009|p=22}}、すなわち「アイディア自由の原則」が存在する{{Sfn|山本|2008|p=45}}。著作権には著作者に独占を許す性質があることから、著作権法によって表現の大元となるアイディアにまで過度な独占がおよんで社会発展が妨げられないよう、著作権の範囲を制限する狙いがアイディア・表現二分論にある{{Sfn|山本|2008|p=45}}。
アイディア・表現二分論の概念は既に19世紀には成立しており{{Sfn|Colombet|1990|p=22}}、著作権の各種基本条約でも規定されて国際的に認められているものの{{Sfnm|髙部|2012|1pp=102–103|島並・上野・横山|2009|2p=21}}、時代によって、そして判例によって幾度もなく原則が歪められてきた{{Sfn|Colombet|1990|p=22}}。特に「'''{{仮リンク|額の汗の法理|en|Sweat of the brow}}'''」({{Lang-en-short|Sweat of the brow}}){{Efn2|name=SoB|「額に汗の法理」の訳語が充てられることもある{{R|METI-SofB}}。}}はアイディア・表現二分論と相反する概念でありながら、一部の司法判断で長らく支持された過去がある{{Sfnm|Leaffer|2008|1p=94|山本|2008|2p=30}}。また、時としてアイディアと表現が融合して分離が困難なケースがある。その際には、アイディア・表現二分論から派生した「'''マージ理論'''」({{Lang-en-short|Merger doctrine}}){{Efn2|name=Merger}}や「'''ありふれた情景の理論'''」({{Lang-fr-short|Scènes à faire}}){{Efn2|フランス語読みをそのままカタカナ表記した「シーン・ア・フェール法理」と呼ばれる場合もある{{R|松澤}}。}} が適用されることがある。
アイディア・表現二分論やその関連諸理論を実際に活用するにあたり、普遍的で機械的に判断しうる基準の確立は困難であり、個々の事案を詳細に検討した上で慎重にアイディアと表現を切り分ける必要がある{{Sfnm|Weinstein|1990|1p=44|髙部|2012|2p=105|白鳥|2004|3pp=96–98|中山|2014|4p=123}}。本項では、のちに強い批判を受けた判例も含め、各国の判例事情を概観しながら諸理論を解説していく。
== 定義と意義 ==
著作権法で保護される範囲に関し、以下の原理原則が (特に[[大陸法]]系の国々で) 伝統的に認められている{{Sfn|Colombet|1990|p=21}}。
# 思想や感情の「表現」のみを保護 (アイディア・表現二分論)
# 「創作性」({{Lang-en-short|originality}}) を有した著作物のみを保護
# よって、著作物のジャンル (小説・音楽など)、表現形式 (文章・描画・口頭など)、価値、用途は不問{{Efn2|先進国諸国におけるレアケースとして、英米法をとる米国連邦著作権法では、著作権保護に著作物の媒体への「固定」の要件を用いている{{Sfn|山本|2008|p=13}}。ただし、連邦法とは別に州法で未固定の著作物も保護される場合があり、州によって異なる。たとえば口述インタビューやジャズの即興演奏などが未固定の例として挙げられる{{Sfn|Leaffer|2008|p=49}}}}
(1) アイディア・表現二分論は、もう一つの原理である (2) 創作性と不可分の関係にあり、起点は単なるアイディアであっても個人の思想・感情をもって表現すれば、それは自ずと創作性を満たして著作権法の保護に値するとも考えられている{{Efn2|著作物の定義や著作権の保護要件について言及する専門文献を見渡しても、アイディア・表現二分論と創作性の要件をセットにして論じるものが多い{{Sfnm|金井|2015|1p=36|中山|2014|2p=72|Colombet|1990|3p=21}}{{R|Merger-Yamamoto}}。}}。極端な例を挙げれば、たとえ幼児が描いた平凡な似顔絵であっても、本人の感性が「表現」されていれば著作物として認められ、著作権法で保護される。その表現や創作性に、高い芸術性や斬新さといった価値は要求されない{{R|BunkaQA}}。
=== アイディアとは何か ===
ここでの「アイディア」という法的な言葉は、一般的な意味とは少々異なることに注意が必要である。例えば、
* フィクション作品のかなり詳細で具体的な設定を考え出すことも日常的には「アイディアを思いついた」などと言うが、一定以上に詳細で具体的な設定はアイディア・表現二分論における「アイディア」ではなく「表現」に該当する{{R|松澤}}。
* 論文に記された「事実」や「発見」それ自体はアイディアに含まれる{{Sfn|山本|2008|pp=45–46}}。したがって、論文内のアイディア (事実や発見) を他者が利用したとしても、著作権侵害には当たらない{{Sfn|作花 第4版|2010|p=82}}。
* [[コンピュータ・プログラム]]の一つであるインターネットの検索エンジンを例にとると、プログラムの[[アルゴリズム]]や基本設計、つまり検索キーワードに基づき、どのサイトを検索結果に含める・含めないかや、検索表示順を決めるロジックは、新たに発見するものであることから「アイディア」である{{Sfn|山本|2008|pp=47}}{{Efn2|欧州連合 (EU) の著作権関連指令の一つである通称ソフトウェア指令 (91/250) や、世界貿易機関 (WTO) 加盟国に適用される[[TRIPS協定]]においても、コンピュータ・プログラムの一部は著作権保護が認められている。そのうえで、EUのソフトウェア指令ではロジックやアルゴリズムは著作権保護の対象外と明記している{{R|Synodinou}}。}}。しかし、その検索エンジンの使い方を示したフローチャートなどの説明文書は、アイディアに基づく「表現」である{{Sfn|山本|2008|pp=47}}。
* 収集にどれだけ労苦と資金を要しようが、データそのものはアイディアであり、著作権保護されない。しかし個々のデータを取捨選択し、何らかの知的なロジックで並べているデータベース (つまりデータの集合体) はアイディアの表現であり、[[データベース権]]として著作権保護されることがある{{R|SoB2014}}。
=== 独占とアイディア自由の原則 ===
アイディア・表現二分論が適用される根拠の一つに、著作権の保護が著作者に与える「独占」的な支配の特性がある。つまり、アイディアのような抽象的なものまで特定の人物あるいは法人に独占させると、第三者の表現活動を阻害することになり得るためである{{R|松澤}}{{Sfn|駒田・潮海・山根|2016|p=20}}。アイディアは表現に先立ち、表現を生み出す元である。そのため、アイディアを万人が利用可能な状態に置くことが、多様な表現の創出が社会全体で活性化することに繋がる{{Sfn|島並・上野・横山|2009|p=22}}。これを「アイディア自由の原則」とも呼ぶ{{Sfn|山本|2008|p=45}}。
では著作権と同じ[[知的財産権]]の一種である[[特許権]]や[[商標権]]はどうであろうか。特許権や商標権がアイディアそれ自体を法的に保護しているにもかかわらず、著作権による保護では強力すぎる{{Sfn|島並・上野・横山|2009|pp=22–23}}とみなされるのはなぜか。その違いは、手続・審査の厳格さにある{{Sfn|山本|2008|p=45}}。世界の多くの国々の著作権法では、著作物が創作された時点で、自動的に著作権が発生する「[[著作権#方式主義と無方式主義|無方式主義]]」を採用している{{Efn2|著作権の基本条約である[[ベルヌ条約]]で無方式主義を採用しており、ベルヌ条約の締結国は2019年6月時点で世界180ヶ国以上に上る{{R|BerneConv-WIPO-2}}。}}。一方、特許や商標などの[[産業財産権]]は、権利者の独占が著作権より強い分、政府当局に申請して許可されなければ、その権利が認められない「方式主義」である。仮にアイディアと表現を明確に切り分けず、容易に権利が認められる著作権を笠にして、アイディアそのものまで広く独占保護を求める者が出てくると、アイディア自由の原則がないがしろにされたり、特許などの手続・審査の抜け道として著作権保護が悪用されるおそれがある。したがって、アイディア・表現二分論には、著作権で保護される範囲を制限するという側面がある{{Sfn|山本|2008|p=45}}。裏を返せば、特定の具体的表現を独占させたとしても、通常は一つのアイディアから無数の具体的表現が可能なので、著作権法が表現活動を不当に妨げることにはならないと考えられる{{Sfn|島並・上野・横山|2009|p=22}}。
さらに、アイディアは「抽象的」なアイディアと「具体的」なアイディアに分類され、特許権や商標権であっても前者を独占することはできない。例えば化学の基礎知識は「抽象的なアイディア」であり、独占は許されない。しかし、この万人が共有する基礎知識に基づいて科学者が新薬を開発すれば、それは「具体的なアイディア」であり、特許申請手続ののちに開発者に特許 (独占) が認められる。この結果、特許保有者以外は一定の期間、その新薬を製造・販売できなくなる。さらにその新薬に関する科学論文や、新薬を飲んだ患者の体験本は、アイディアの「表現」であることから、その執筆者には著作権が認められる。このように、アイディアと表現は階層化している{{Sfn|山本|2008|pp=12, 46}}。
== 額の汗の法理と創作性 ==
アイディア・表現二分論と相反するのが「{{仮リンク|額の汗の法理|en|Sweat of the brow}}」{{Efn2|name=SoB}}である。額の汗の法理に基づくと、額に汗したその労力の賜物を保護するのが著作権法の目的であると考えられ、たとえそこに個人の視座やスキルが欠如し、創作性の要件が満たされていなくとも、著作者は利益保護されるべきだとの結論に達する{{R|SoB-Sreenivasulu}}。実際の判例を具体例として挙げると、電話帳の作成には多数の電話番号を収集する労力を要する。額の汗の法理をとれば、この電話帳は著作権保護されるため、第三者が複製して再出版すれば著作権侵害に当たる。しかしアイディア・表現二分論に立脚すれば、電話番号は単なるデータ (アイディア) であり、番号の並べ方も表現の工夫は限られていることから、いくらコピーしようが著作権で保護されない (詳細は後述の「ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判」1991年米国最高裁判決を参照){{R|Telephone-Cornell|SfB-Ito}}。
額の汗の法理は、英国においては1900年の「{{仮リンク|ウォルター対レーン裁判|en|Walter v Lane}}」(Walter v Lane; AC 539) が初出とされている{{R|Originality-India}}。そしてアイディア・表現二分論や創作性の要件を否定する傾向は、同じく[[英米法]]系のカナダ、オーストラリアやインドにまで波及した{{R|Originality-India}}。米国においても、上述の電話帳をめぐる1991年最高裁判決で額の汗の法理が否定され、アイディア・表現二分論が再支持されるまでの間、実に約90年も額の汗の法理が用いられ、著作権法上の混乱をもたらしたと言われている{{Sfnm|Leaffer|2008|1p=94|山本|2008|2p=30}}。
== マージ理論 ==
アイディアと表現を切り分けるのが理想である。しかし、ある表現を使用しなければ、その大元にあるアイディアも使用できないほどに結合 (マージ、merge) が強い場合、アイディア自由の原則と表現の保護という二つの考え方は両立できなくなる。この際、アイディア自由の原則を優先し、著作権による保護は制限されるという考え方がマージ理論 ({{Lang-en|Merger doctrine}}){{
== ありふれた情景の理論 ==
(狭義の) マージ理論を発展させたものとして、「ありふれた情景の理論」(フランス語でScènes à faire、英語圏でもフランス語がそのまま使用される) がある。マージ理論はアイディアと表現が1対1 (ないしごく限られた数) で結合しているのに対し、ありふれた情景の理論は1対Nであり、かつNの中でもお決まりの表現が一つに定まるケースである。このような場合、お決まり、つまり平凡な表現は著作権保護されないという考え方である{{Sfn|山本
ここで注意すべきは、単に平凡な表現だからと言って、それだけを理由に法的に保護されないわけではないことである。アイディア自由の原則がまず優先的にあり、表現の保護によって大元となるアイディアまで利用を制限されてはならないからこそ、(狭義の) マージ理論もありふれた情景の理論も導き出されている{{Sfn|山本
なお、ありふれた情景の理論は、文学や映像などの芸術性や物語性を主に対象とし、
== 各国の適用状況 ==
上述の諸理論が国際条約や各国の著作権法条文としてどのように表記され、実際の司法判断がなされているかを見ていく。
=== 国際条約 ===
{{Quote box
|title = TRIPS協定 第9条第2項
|quote = Copyright protection shall extend to expressions and not to ideas, procedures, methods of operation or mathematical concepts as such.{{R|TRIPS9-2}}<br>著作権の保護は、表現されたものに及ぶものとし、思想、手続、運用方法又は数学的概念自体には及んではならない (日本国外務省訳){{R|MOFA-TRIPS}}。
|width = 40%
|align = right
|quoted = 1
}}
{{Quote box
|title = WIPO著作権条約 第2条: 著作権の保護の範囲
|quote = Copyright protection extends to expressions and not to ideas, procedures, methods of operation or mathematical concepts as such.{{R|OriText-WCT}}<br>著作権の保護は、表現されたものに及ぶものとし、思想、手続、運用方法又は数学的概念自体に及ぶものではない (著作権情報センター訳){{R|CRIC-WCT}}。
|width = 40%
|align = right
|quoted = 1
}}
著作権に関する主な国際条約には、基本条約たる[[ベルヌ条約]] (1887年発効)、[[世界貿易機関]] (WTO) 加盟国に適用される[[TRIPS協定]] (1995年発効)、およびベルヌ条約を発展させた[[WIPO著作権条約]] (2002年発効) がある{{R|Bunka2007}}。このうち、ベルヌ条約の[[s: 1971年ベルヌ条約パリ改正#2条|第2条]]には言及がないものの、TRIPS協定とWIPO著作権条約の条文内にはアイディア・表現二分論に関する規定が、ほぼ同一の文章表現で盛り込まれている。
2020年6月現在、TRIPS協定には164か国<ref name=TRIPS-WTO-1>{{Cite web |title=Overview: the TRIPS Agreement |trans-title=TRIPS協定の概要 |url=https://www.wto.org/english/tratop_e/trips_e/intel2_e.htm |publisher=[[WTO]] |accessdate=2020-06-28 |language=en}}</ref>、WIPO著作権条約には107か国が加盟しており<ref name=WCT-WIPO-2>{{Cite web |title=Contracting Parties > WIPO Copyright Treaty (Total Contracting Parties : 107) |trans-title=WIPO著作権条約の加盟国 (閲覧時点で107か国加盟済) |url=https://www.wipo.int/treaties/en/ShowResults.jsp?lang=en&treaty_id=16 |publisher=[[WIPO]] |accessdate=2020-06-20 |language=en}}</ref>、アイディア・表現二分論は、国際的にも広く受け入れられている原則と言える{{Sfnm|髙部|2012|1pp=102–103|島並・上野・横山|2009|2p=21}}。
{{Main2|国際条約の各国加盟状況|ベルヌ条約#加盟国と施行時期の一覧}}
=== 各国の相違点まとめ ===
後述する各国の判例を概観すると、アイディア・表現二分論は大きく以下のいずれかの文脈で争点となる。
* 著作「物」の法的保護範囲 -- 著作物の盗用が問われる際、真似たのはアイディア (着想) だけなのか、その表現性まで含むのかを切り分ける裁判。
* 著作「者」の認定範囲 -- 著作物を複数人で共作した際、(アイディア出しや素材提供を超えて) どこまで寄与すれば[[共同著作者]]として認められるかを問う裁判。
前者の著作「物」に関する争点であるが、アイディアと表現の線引きは実際には簡単ではない{{Sfnm|Weinstein|1990|1p=44|髙部|2012|2p=105|白鳥|2004|3pp=96–98|中山|2014|4p=123, 158}}。ある著作物の著作権侵害が問題となったとき、「アイディアの表現」が複製されたのか、それとも「アイディア」のみが複製されたに過ぎないのか、といったことが議論になる{{Sfn|Weinstein|1990|p=44}}。抽象的アイディアと具体的表現の間には、表現の抽象度の高低に応じてさまざまな段階があると考えられる{{Sfn|島並・上野・横山|2009|p=31}}。アイディアと表現を線引きできる一般的基準を確立することは困難である{{Sfn|髙部|2012|p=105}}。実情としては、それぞれの事案ごとに、その創作物におけるアイディアと表現とは何かを個別に検討しなければならない{{Sfnm|髙部|2012|1p=105|白鳥|2004|2p=98}}。
また、各国の著作権法では著作物と認めて保護される種類を条文上に列記しているが、一部はアイディアか表現かを問わず、著作権保護を拒否する場合がある。
:; 応用美術・実用品デザイン
: イアリングやおもちゃ、椅子やランプなどの応用美術・実用品デザインについては、以下のとおり各国で法的保護のアプローチが異なる{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=215}}。
:* 実用品も他の著作物と同様に保護対象に含める -- フランスなど
:* 実用品も一部保護に含めるものの、ほかの著作物よりも保護要件の水準を高く設定する -- ドイツなど
:* 実用品は意匠法など別の法律で保護する、あるいは著作権法と二重で保護する -- 米国、過去のイタリアなど{{Efn2|E.C. Design Protection Directive (1993年のデザイン保護指令) に基づき、イタリアは著作権法を改正しており、第2条 (4) を廃止している{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=215}}。}}{{Efn2|イギリスについては米国に類似点もあるものの、ハイブリッド型のアプローチをとっている。デザインと機能性が物理的に分離可能であれば、米国同様に著作権保護の対象内としているが、米国と異なり、イギリスでは概念的に分離可能な場合は保護対象外としている{{Sfn|Goldstein & Hugenholtz|2013|p=217}}。}}
:; 題号 (タイトル)
: 小説などの言語著作物は著作権法で保護されるのが一般的であるが、小説の中身だけでなくその題号も著作権法で保護されるのかは国によって差がある。
:* 創作性が認められれば、題号も著作権法で保護されるほか、商標権との二重保護も可能 -- フランス (L112条-4{{R|LF-CPI-L112}}){{Efn2|フランスの場合、その題名が汎用的で一般的な用語の場合、判例では著作権保護の対象外と判示されており、題名における創作性の具体的な線引きは司法判断に任されている。たとえば、小説『[[アンジェリク (小説)|アンジェリク]]』は主人公女性の名前から付けられた題名だが、著作権保護の対象となっている{{Sfn|井奈波|2006|p=9}}。また、題名は商標登録できる場合があり、このようなケースでは商標権と著作権で二重保護される{{Sfn|井奈波|2006|p=9}}。なおEUでは、加盟国すべてに通用する商標登録制度である{{仮リンク|欧州連合商標|en|European Union trade mark}} (略称: EUTM、旧称: 欧州共同体商標 (CTM)) がある。登録先はスペインにある[[欧州連合知的財産庁]] (略称: EUIPO、旧称: 共同体商標意匠庁 (OHIM)) である。したがって、フランスのみで通用する国内商標登録以外に、EU全域での一括商標登録の方法も選択できる{{R|Okuda}}。}}
:* 題号は著作権法の範疇外であり{{Sfn|山本|2008|p=23}}、不正競争防止法など、別の法的根拠を求める必要がある{{Sfn|Leaffer|2008|p=143}} -- 米国
:; ファッション
: ファッションには手に届かない憧れの奢侈品の側面があり、そのブランド価値は希少性から生み出される{{Sfn|高林・三村・竹中|2012|p=18|loc=第1章 ファッションの法についての基礎的考察 |ps=-- 小島立 執筆パート}}。したがって知的財産権ないし不正競争防止 (模倣品対策) の観点で各国の法的保護体制は以下のとおり異なる。しかしながらファッション業界固有の問題として、ブランド品のように定番もあれば、流行に合わせて次々と商品サイクルを急回転させる[[ファスト・ファッション]]もあり、著作権法ないし商標法などの知的財産法で保護するのは「割に合わない」ケースも出てくる{{Sfn|高林・三村・竹中|2012|pp=22–23|loc=第1章 ファッションの法についての基礎的考察 |ps=-- 小島立 執筆パート}}。
:* 著作権法上でファッションの保護を明記 -- フランス (L112条-2に婦人服、下着、刺繍、帽子、靴、革製品など列記{{R|LF-CPI-L112}})
:* 商標法ないし[[不正競争防止法]]で一部保護 -- 日本{{Sfn|高林・三村・竹中|2012|p=22|loc=第1章 ファッションの法についての基礎的考察 |ps=-- 小島立 執筆パート}}
:* 伝統的に欧州・日本と比べてファッション全般の法的保護水準が低いものの、2010年代に入ってから保護強化の検討議論に動きがあり、流動的 -- 米国{{Sfn|高林・三村・竹中|2012|pp=23–24|loc=第1章 ファッションの法についての基礎的考察 |ps=-- 小島立 執筆パート}}
=== アメリカ合衆国 ===
[[File:Copyright IdeaExpDivide Ja.png|米国著作権法におけるアイディア・表現二分論の解説例{{Sfn|山本|2008|pp=11–12}}。|thumb|350px]]
アイディア・表現二分論は、[[合衆国法典]]第17編 (17 U.S.C.) に収録された[[米国著作権法|米国連邦著作権法]]の[http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section102&num=0&edition=prelim 第102条(b)項]で明文化されている。当条文ではアイディアに並んで、「手続」「過程」「方式」「操作方法」「概念」「原理」「発見」について著作権による保護を否定している{{Sfn|Weinstein|1990|p=43}}。
米国においてアイディア・表現二分論は「公共性」の高低によって整理されている。米国では「産業政策理論」と呼ばれる考え方が著作権法の基盤となっており、これが公共性の概念とリンクする。産業政策理論とは、モノの発明者や創作者に対し、政府が法律によって独占的な権利を無制限に与えたり、私的な恩恵を与えるのではなく、発明者や創作者を一定の期間に限って動機付け、期限が切れた後はその天才たちの成果物を社会が利用できるようにすることで、公共の利益を達成しようという発想である。さらにその背景には、競争の自由を阻害する市場の独占は悪であり、これに対する警戒心が強いという思想がある{{Sfn|山本|2008|pp=9–11}}。
; {{仮リンク|ベーカー対セルデン裁判|en|Baker v. Selden}} (Baker v. Selden, {{Ussc|101|99|1879}})
: 会計の[[簿記]]に関する書籍を巡って争われた裁判であり、1879年の[[合衆国最高裁判所|最高裁]]判決文は多くに引用されている。セルデンは自著数冊の中で、簿記の改良手法について解説している。しかし、著作は商業的なヒットには至らなかった。セルデンの書から数年後、ベーカーが類似の簿記手法について記し、こちらは全米広域にわたって好調な売れ行きを記録した。セルデンの死後、相続人である妻がベーカーを相手取って著作権侵害で提訴したのが本件である。一審のオハイオ地方裁は、二者の著作物が酷似していることから、著作権侵害を認めて[[著作権法 (アメリカ合衆国)#著作権侵害と救済手段|終局的差止命令]]を出した。しかし最高裁では、セルデンの簿記手法そのものに著作性はなく、簿記手法を表現した書籍にのみ著作性を認めた。また、簿記手法に独占的権利を主張するには、著作権法ではなく特許法の範疇で議論すべきと判示した
: 同裁判ではまた、「薬の組成や使用方法について書かれた論文や、耕作用具の作成と使用方法について書かれた論文などは、著作権法の対象となる。しかしその論文に書かれた内容の新規性 (誰が最初に発見したか) と、著作権はまったくの無関係である。そして新規性は特許庁によって審査された上で、独占性が認めなければならない。このような審査手続を経ずに独占性が認められると、他者にとって不意打ちとなってしまう」との主旨を述べている{{Sfn|山本|2008|pp=12–13}}{{Sfn|Leaffer|2008|pp=107–111}}。
; {{仮リンク|ファイスト出版対ルーラル電話サービス裁判|en|Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co.}} (Feist Publications, Inc. v. Rural Telephone Service Co., {{Ussc|499|340|1991}})
: 額の汗の法理を米国最高裁で初めて否定した判決として知られる。ルーラル社は[[カンザス州]]北西の一部地域で独占営業を認められた電話サービス事業者で、加入者の電話番号を電話帳として編纂して無料配布する法令義務を負っていた。一方のファイスト社は、カンザス州広域で電話帳の発行を専業とする出版社である。ファイストがルーラルの無料電話帳から自社の発行する電話帳に電話番号を転載したことから、著作権侵害が問われた。一審と二審は侵害を認めたが、最高裁では一転し、著作権保護には単なるデータ配列 (額に汗をかいてデータ収集すること) だけでなく独自の創作性 (オリジナリティを持つ表現性) が必要だと合衆国憲法の{{仮リンク|特許・著作権条項|en|Copyright Clause}}が解釈された結果、電話帳に著作権は認められずファイストの行為は合法と判示された{{R|Telephone-Cornell|SfB-Ito}}。
; [[ハーバート・ローゼンタール・ジュエリー対カルパキアン裁判]] (Herbert Rosenthal Jewelry Corporation v. Kalpakian, 446 F.2d 738 (9th Cir. 1971))
: 1971年の第9巡回区控訴裁判決である。原告・被告ともに宝飾メーカーであり、原告ハーバート・ローゼンタールは、宝石に金をあしらったミツバチ型の宝飾ピンを著作権登録済みであった。被告カルパキアンが類似デザインのピンを商品化したことから、ハーバート・ローゼンタールが著作権侵害で提訴した。裁判所は、カルパキアンは自然界のミツバチを研究してデザインしており、両社とも実物のミツバチに似てはいるものの、カルパキアンがハーバート・ローゼンタールを真似たわけではないとして、類似性の訴えを棄却した
: この判決では、特許権と著作権の違いについても言及されている。被告には、原告の商品の「アイディア」から学ぶ自由があるものの、アイディアの「表現」を盗むことはできないと指摘した。その上で、このケースではアイディア (ミツバチ型のピンを作る発想) とその表現 (出来上がったピンのデザイン) が不可分であることから、表現を模倣しても著作権侵害に当たらないと判示した
; {{仮リンク|データイースト対エピックス裁判|en|Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc.}} (Data East USA, Inc. v. Epyx, Inc., 862 F.2d 204 (9th Cir. 1988))
: ありふれた情景の理論のなかでも[[ルック・アンド・フィール]]に関連する、1988年の第9巡回区控訴裁判決である。日本の[[データイースト]]社はゲームセンターの[[アーケードゲーム]]や家庭用ゲームに作品を提供するゲームメーカーである。1984年に日本で「[[空手道 (ゲーム)|空手道]]」をリリースし、米国を含む日本国外では「カラテチャンプ」(Karate Champ) の名称で流通していた。翌年1985年には、イギリスのシステムⅢソフトウェア社が「International Karate」をリリースし、米国市場向けの開発および販売は、ライセンス契約に基づいて[[カリフォルニア州]]企業のエピックス社が担っていた。1986年、海軍バージョンの「World Karate Champion」を発売した。白と赤の空手着を身にまとった対戦相手、主審による勝者宣言、対戦ごとに異なる背景シーン、ボーナス・フェーズなどの設定が似ているとして、データイーストがエピックスを提訴した。一審では著作権侵害を認め、終局的差止命令を出したが、二審の控訴裁ではこれを覆している。その理由として、与えられたアイディアから必然的に発生する標準的な表現にまで、著作権の保護を与えられないとしている
; [[ハーパー & ロー対Nation誌裁判]] (Harper & Row v. Nation Enterprises, {{Ussc|471|539|1985}})
: 出版大手[[ハーパーコリンズ|ハーパー & ロー]] (現ハーパーコリンズ) が[[ジェラルド・R・フォード|フォード元大統領]]の未発表回想録の出版権を獲得したものの、雑誌『Nation』が引用して先行報道した争いである{{Sfn|山本
; {{仮リンク|メイザー対スタイン裁判|en|Mazer v. Stein}} (Mazer v. Stein, {{Ussc|347|201|1954}})
: 実用品デザインの著作権保護を巡るリーディング・ケースとして知られる。本件以前は、実用品デザインを著作権法で保護できるのか、それとも意匠特許法でしか保護されないのか、判然としなかった。本件では、卓上ランプを模倣したとして著作権侵害が問われた。原告の卓上ランプの台には、[[バリ島]]のダンサー男女の像が用いられていたことから、実用品の機能面としてのランプには著作権性はないが、ダンサー像には著作権性があるとして、最高裁は1954年、著作権侵害を認めた。「特許とは異なり、著作権は公開された技術に対して排他的権利を与えるものではない。保護が与えられるのは思想の表現に対してのみであって、思想そのものに対してではない」と判示している{{Sfn|Leaffer|2008|pp=164–166}}。さらに最高裁は、美しい流線型のチェアは著作権保護が認められないと例示している。その違いであるが、実用性の表現と芸術性の表現が分離できるか否かである。本件における卓上ランプの場合は、ランプの柄の部分にダンサーの像がついており、そのダンサー像だけ取り出して純粋美術としての立像を創作できることから、著作権保護されると判示された{{Sfn|山本
: 本件以降も、旧式電話機型の鉛筆削り、犬形の貯金箱といった量産型の商材や、繊維製品のグラフィックデザインにまで著作権性が認められる判決が続いている
; {{仮リンク|スター・アスレティカ対ヴァーシティ・ブランズ裁判|en|Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc.}} (Star Athletica, LLC v. Varsity Brands, Inc., {{Ussc|580|15-866|2017}})
: スポーツ・アパレル企業同士の訴訟である。メイザー判決が物理的な分離性について言及したのに対し、本件では概念的な分離性が問われた。[[チアリーディング]]のユニフォームデザイン (縞・ジグザグ・逆さV字模様など) が似ているとして大手ヴァ―シティ社がスター社を提訴した。これに対しスターは、実用品向けのデザインのため著作権は発生しないとして、マージ理論と[[フェアユース]] (公正利用) で抗弁したものの、最高裁はヴァーシティのデザイン独創性を認め、抗弁を棄却した。
: この判決では、ユニフォームの装飾デザインと、衣類繊維は物理的に分離できないものの、概念的に分離可能であるとし、その具体的な判断基準を5点示した。(1) 著作権法第102条が定めるところの「絵画・図形・彫刻の著作物」に該当するか、(2) 第101条の定義で定められた、実用的デザイン (useful article) か、(3) その実用的側面とは何か、(4) デザインを見る者が (1) の特徴と (3) の側面を分離して識別できるか、(5) さらに分離識別できるだけでなく、独立して存在できる特徴を有しているか、の5点である
; [[モリシー対P&G裁判]] (Morrissey v. Procter & Gamble Co., 379 F.2d 675 (1st Cir. 1967))
: 第1巡回区控訴裁が1967年に下したこの判決は、「混同法理」(マージ理論) のリーディング・ケースである。
: モリシーは販売促進用の宝くじの企画を運営していたが、その運用方法がP&G主催の宝くじと類似しているとして提訴した裁判である。その運用方法とは、応募者が氏名、住所、[[社会保障番号]]などを記入する必要があるというものである
; [[ウォーカー対タイム・ライフ・フィルムズ裁判]] (Walker v. Time Life Films Inc., 784 F.2d 44 (2d Cir. 1986))
: ありふれた情景の理論の判例である。1976年出版・ウォーカー著『''Fort Apache''』が、1981年映画『[[アパッチ砦・ブロンクス]]』 (原題: ''Fort Apache, The Bronx'') に盗用されたとして提訴した。両作とも、黒人と白人警官の死亡事件で始まり、闘鶏、飲酒、部品を盗まれた車、売春、ネズミが登場する。第2巡回区控訴裁は1986年、これらのシーンはニューヨーク州[[サウス・ブロンクス]]でたびたび報道されている事実であり、その設定に著作物性はないとした
; {{仮リンク|ゲイツ・ラバー対バンドー化学裁判|en|Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al}} (Gates Rubber Company v. Bando Chemical Industries, Ltd., et al, 9 F.3d 823 (10th Cir. 1993))
: 機械用ベルト製造の競合同士の争いである。同業界では全米で主力のゲイツ社は、個々の機械に合ったベルト製品を適切に選んで効率的に販売するため、さまざまな変数を考慮して計算できるソフトウェアを開発し、合衆国著作権局に著作権登録を済ませていた。ところが、このソフトウェアに関する詳細設計やソースコードなどを元ゲイツ従業員が持ち出し、転職先のバンドー (日系企業の米国支部) で類似ソフトウェアを開発した。これを受け、不正競争防止法違反、企業秘密の不正流用および著作権侵害でゲイツがバンドーを提訴した
: 第10巡回区控訴裁は1993年、ハードウェアの規格と機械的仕様、ソフトウェアの規格と互換性要件、コンピュータメーカーの設計規格、ターゲット業界の慣行や需要、コンピュータ産業におけるプログラミングの慣行は、コンピュータプログラムにおいては保護されない「ありふれた情景の理論」に該当すると判示した
; {{仮リンク|Oracle対Google裁判|en|Oracle America, Inc. v. Google, Inc.}} (Oracle America, Inc. v. Google, Inc.,
: 企業買収によって[[Java]] [[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]の権利を獲得した[[オラクル (企業)|Oracle]]が、同技術をモバイル用OSの[[Android]]に利用されたとして、[[Google]]を特許権および著作権侵害で提訴し、約1兆円相当の損害賠償を求めた裁判である{{R|OracleGoogle-Case|OracleGoogle-Diamond|OracleGoogle-Patest|OracleGoogle-Harvard2019}}。GoogleがAndroid用に使用したのは、11,500行にわたるソースコード、そして37個のJava API (アプリケーション・プログラミング・インターフェース) であり、完全な形での複製である{{R|OshaLiang}}。APIとは、外部の既成プログラムから汎用的な機能を呼び出して内部利用するための「手続」であり、インターフェース (外部と内部プログラムのつなぎ) は、単に「外部からの呼び出し方を規定した決まりごと」にすぎない{{R|eWord-API}}。そして米国著作権法 [http://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title17-section102&num=0&edition=prelim 第102条(b)項]で手続 (プロセス) や操作方法はアイディアに分類されて著作権保護の対象外と記されている。インターフェースの一種であるJava APIはアイディア・表現二分論に従うとアイディアなのか、また仮に表現だとみなされても、自由な利用を許可する[[フェアユース]] (公正利用) の範囲を超えた著作権侵害に該当するのかが問われた{{R|OshaLiang}}。
: 一審では陪審と裁判所で著作権性を認めるかで意見が分かれたが、最終的にアイディアのみを使用したとしてGoogle支持の判決となった。しかし二審では逆転し、著作権侵害を認めている。2019年1月、Googleは連邦最高裁に事件移送命令 ({{Lang|en|certiorari}}) を請求し{{R|OshaLiang|OracleGoogle-Case|OracleGoogle-Diamond|OracleGoogle-Patest|OracleGoogle-Harvard2019}}、2019年11月に事件移送命令が受理された{{R|OracleGoogle-Harvard2019b}}。
; [[ウィリアムス対ブリッジポート・ミュージック裁判]] (Williams v. Bridgeport Music, Inc.)
: ルック・アンド・フィールに関する判例である。2013年8月、 [[ロビン・シック]]、[[ファレル・ウィリアムス]]、[[T.I.]]は、彼らの曲である「[[ブラード・ラインズ (曲)|ブラード・ラインズ]]」に関して[[マーヴィン・ゲイ]]の家族及び相続財産から訴訟を起こされた。ゲイの家族は、「ブラード・ラインズ」がマービン・ゲイの曲である "[[Got to Give It Up]]"の「フィーリング」と「音」とをまねたものだと主張していた(シックは、この曲を「ブラード・ラインズ」に影響を与えた作品をして名前を挙げていた)
: 2015年3月、裁判所は、同じコード、歌詞など著作物性のある要素を共有していないにもかかわらず、「ブラード・ラインズ」はそのフィーリングと音とをまねることで "Got to Give It" の著作権を侵害したと判定した
=== 欧州連合 ===
[[欧州連合]] (EU) では、加盟各国の著作権法の保護水準を揃える目的から、[[著作権法 (欧州連合)|著作権に関する数々のEU指令]]が出されている。EU指令が出されてから一定期間以内に、国内著作権法を必要に応じて改正するなどの[[国内法化]]義務をEU加盟国は負っている。著作権関連のEU指令の中で、{{仮リンク|コンピュータ・プログラムの法的保護に関する指令|en|Computer Programs Directive}} (91/250/EEC、通称: ソフトウェア指令{{R|Synodinou}}) の第1.2条では、コンピュータ・プログラムの何らかの要素の基礎となる思想及び原理(操作系の基礎となるものを含む)を著作権から明示的に除外している
; {{仮リンク|SAS Institute対ワールド・プログラミング裁判|en|SAS Institute Inc v World Programming Ltd}} (SAS Institute Inc v. World Programming Ltd)
: ワールド・プログラミング社のソフトウェア製品{{仮リンク|World Programming System|label=WPS|en|World Programming System}}が[[SAS Institute|SAS]]社のデータ分析・処理製品群に類似しているとして、SASは製品およびマニュアル類の著作権侵害で提訴した。[[リバース・エンジニアリング]]によってSAS製品
: そこで本件
=== フランス ===
「著作権先進国」{{Sfn|Colombet|1990|loc=裏表紙}}とも評されるフランスは、[[フランス革命]]期の1791年および1793年に近代的な著作権法を成立させ{{Sfn|Colombet|1990|pp=6–7}}、文化・芸術の発信地として他国の著作権法に多大なる影響を与えながら{{R|Kidana}}、以降多くの判例を積み重ねてきた。
フランスにおいてアイディア・表現二分論の適用が困難となりやすい領域として、翻案、インタビュー、学術著作物、広告などが挙げられる。たとえば学術的な発見を記した論文の場合、通常はその表現性よりも、発見 (アイディア) そのものに価値があるためである。また広告であれば、そのアイディアのみを提供した者が、完成した広告作品の共同著作者として権利を主張したケースなどが複数存在する。判例全体の傾向として、このような主張はアイディア・表現二分論の観点から否定されているものの、一部には肯定する判決も下されている{{Sfn|Colombet|1990|p=23}}。
アイディアとみなされた創作物の一部は、不正競争法、特許法、意匠法、商標法のいずれかで保護されることがある{{Sfn|Colombet|1990|pp=21, 23–24}}。不正競争法については、自身のアイディアを他者が使用しただけでは不正競争防止訴訟を起こすことはできない原則があるものの、以下に合致する場合は不正競争防止が認められる{{Sfn|Colombet|1990|p=23}}。
* 消費者が類似アイディアの商品どうしを混同して購入するおそれのある場合 (すなわち消費者保護の観点)
* アイディア料を支払った者と、そのアイディアをタダ乗り状態で使用した者との間で不公平な競争環境に陥った場合 (すなわち寄生虫的競争)
特に広告のアイディア使用においては、多くのケースで不正競争法による保護が認められ、民事訴訟によって損害賠償請求の対象となる。その際、アイディアが芸術的な価値なのか、工業的・商業的な価値なのかは問われない。したがって、いわゆる「ノウハウ」の保護の延長線上で、アイディアも不正競争法で保護されうる{{Sfn|Colombet|1990|pp=23–24}}。
以下、アイディア・表現二分論に関連するリーディング・ケースを紹介する。
; ブーブーロッシュ事件
: 劇作家{{仮リンク|ジョルジュ・クルトリーヌ|en|Georges Courteline|fr|Georges Courteline}}の代表的な喜劇『ブーブーロッシュ』(''{{Lang|fr|Boubouroche}}''{{Efn2|『ブブロッシュ』の表記もある{{Sfn|Colombet|1990|p=36}}。}}、1893年初演) で描かれたテーマ性などが、映画『{{仮リンク|不貞な妻|it|Ta femme nous trompe}}』(''{{Lang|fr|Ta femme nous trompe}}''、1907年配給) に盗用されたとする事件である。クルトリーヌ作品の内容であるが、愛人の男がクローゼットに身を隠していたところ、不貞妻の夫がそのクローゼットを開けてしまう。その不作法に不倫をされた側であるはずの夫が許しを乞う滑稽なストーリーである{{Sfn|Colombet|1990|p=36}}。被告はクローゼットに隠れた愛人という設定はクルトリーヌ固有のものではなく、一般的なアイディアだと主張した{{R|Boubouroche-Persee}}。しかし映画はこのテーマ性だけでなく、さらに構成や筋書き (すなわち場面の展開や結末) までもが極端に酷似していた{{Sfn|Colombet|1990|p=36}}。
: セーヌ裁判所は盗用を認めて有罪としたものの、パリ控訴院は映画ではセリフの重要度が低いことを理由に、一審セーヌ裁判所の判決を覆した。最高裁にあたる[[破毀院]]においても、酷似度の事実評価は行われなかったことから、のちに「やや軽率にも、クルトリーヌの請求を棄却」したと法学者{{仮リンク|ルネ・サヴァティエ|fr|René Savatier}} (1892 - 1984年) などから非難された。ただし破毀院は事実評価を投げ出したものの、作品の構成は一般的なアイディアの「展開」であるとして、著作権法下の保護対象であると認めている{{Sfn|Colombet|1990|p=36}}。
; マルコス・セスシオスの航海日誌事件 <!-- フランス語のスペル不明のため、判決年と裁判所名が調査できず。 -->
: 学術雑誌に掲載された考古学者の仮説 (つまり「アイディア」) に基づき、別の小説家がフィクション性を持たせた作品を創作したことから、考古学者が提訴した。原告たる考古学者の勝訴判決に激しい非難が寄せられたことから、現在では当判決は「過去の話」となっている{{Sfn|Colombet|1990|p=22}}。
; 児童向け音階発声練習の挿絵入り教則法に関する判決 (1960年11月29日、破毀院判決)
: アイディアおよび教育法自体は、排他的権利による保護対象ではないことを明確に断定した{{Sfn|Colombet|1990|p=22}}。
; 円形劇場の設計図に関する判例 (破毀院判決) <!-- 「最近の判例」とのみ書かれ、判決年不明。 -->
: 円形劇場の設計図を作成するために、舞台装置のアイディアと知識を使用したとして、被告は著作権侵害ではないと主張した。上述の教則法の判例で示された原則を間接的に再確認した判例と言える。被告は元となった舞台装置のアイディアを提供したほか、略図を用いて示唆する形で原著作物である設計図の創作に参加した共同著作者であると破毀院は認めている{{Sfn|Colombet|1990|p=22}}。
=== イギリス ===
ありふれた情景の理論が想定するシチュエーションにおいて、イギリス及びほとんどの[[イギリス連邦|コモンウェルス諸国]]では、表現であっても保護されないか、保護されるのは文字通りの丸写しのみに非常に限定されている<ref>{{Cite book|last=Lai, Stanley|year=1999|chapter=Chapter V: The Position of ''Scenes a Faire'' in English Law|title=The Copyright Protection of Computer Software in the United Kingdom|location=Oxford, England|publisher=Hart Publishing|pages=54–56|isbn=978-1-84113-087-3}}</ref>。
; {{仮リンク|ウォルター対レーン裁判|en|Walter v Lane}} (Walter v Lane; AC 539, 1900)
{{ external media
| align=right
| width = 310px
| image1 = [https://www.cipil.law.cam.ac.uk/virtual-museum/walter-v-lane-1900-ac-539 ウォルター対レーン裁判で盗作が問われた書籍の画像] (英国議会文書館所蔵)
}}
: アイディア・表現二分論に反し、額の汗の法理を支持した英国初期の判例である{{R|Originality-India}}。日刊紙[[タイムズ]]のオーナー陣が{{仮リンク|ボッドリー・ヘッド|en|The Bodley Head}} (現[[ペンギン・ランダムハウス]]子会社) の創業者として知られる{{仮リンク|ジョン・レーン (出版業界)|label=ジョン・レーン|en|John Lane (publisher)}}を告訴した。レーンが1899年に出版した書籍 "''Appreciations and Addresses delivered by Lord Rosebery''" の内容が、タイムズ紙に掲載された報道内容のほぼ丸写しだとして、著作権侵害が問われた。その内容は、[[アーチボルド・プリムローズ (第5代ローズベリー伯爵)|ローズベリー伯爵]] (1847 - 1929年) の演説 (事実報道) である{{R|WalterLane-Cambridge}}。
; ドノヒュー対アライド新聞社裁判 (Donoghue v. Allied Newspapers Limited)
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=== 日本 ===
{{Quote box
|title = 日本国著作権法{{R|eGov}}
|quote = 第1条 (目的) この法律は、著作物並びに...(中略)...、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。<br>第2条第1項 (定義) 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
|width = 40%
|align = right
|quoted = 1
}}
アイディアを万人が共有することを意図するアイディア・表現二分論は、[[日本国著作権法]]が目的とする「文化の発展」と適合する{{Sfn|髙部|2012|p=103}}。
日本においてマージ理論は、アイディア・表現二分論からの帰結ではなく、もう一つの著作物要件である[[創作性]]を根拠において理解することもある{{Sfnm|金井|2015|1p=36|中山|2014|2p=72}}。すなわち、あるアイディアを表現する場合に同一または類似の表現とならざる得ないのならば、そこに著者の創作性が発揮される余地はなく、創作性が欠如していることから著作物ではないとする{{Sfnm|金井|2015|1p=36|中山|2014|2p=72}}。しかしいずれにせよ、マージ理論を創作性の延長上で捉える考え方でも、米国著作権法に由来する元来の考え方でも、実際の著作権保護の範囲に大差はないといえる{{R|Merger-Yamamoto}}。
日本の判例において、アイディア・表現二分論やマージ理論が判旨に現れたものには、以下のようなものがある。
122 ⟶ 235行目:
:脳波に関する数理モデルについての研究成果がある研究者(原告)ともう一人の研究者(被告)を含む共同研究の形で発表された後、そこから派生した研究成果の論文を被告が原告の了解を得ないまま投稿し、原告を著者として含まない形で学術雑誌に掲載され、原告が著作権侵害を訴えた事件である<ref name="上野2009">{{Cite book|和書|title=別冊ジュリスト 198号 著作権判例百選 |chapter=1 アイディアと表現 |pages=4–5 |edition=第4版 |author=上野達弘 |editor=中山信弘・大渕哲也・小泉直樹・田村善之 |publisher=有斐閣 |year=2009 |isbn=978-4-641-11498-2 }}</ref>。原告の主張は明瞭でない点もあるが、その主張において「数理科学の世界では、専門著作物性が、形式的異同ではなく、数理科学における学問的意義により決定されている以上、そこでの著作権侵害は、その学問的実質により判断されなければならない。そこでの学術論文は、表現形式や表現方法には格別の意味もなく、一般に、そこに盛られた科学的思考が、著作権による保護を受ける。」などと述べ、学術論文におけるアイディアの重要性と著作権保護の必要性を主張した<ref name="上野2009"/><ref name="平成2(ネ)2615">{{Cite 判例検索システム |法廷名=大阪高等裁判所 |事件番号=平成2(ネ)2615 |裁判年月日= 平成6年2月25日 |url = http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/889/013889_hanrei.pdf }}</ref>。
:判決では、この主張に応える形で、「ところで、数学に関する著作物の著作権者は、そこで提示した命題の解明過程及びこれを説明するために使用した方程式については、著作権法上の保護を受けることができないものと解するのが相当である。一般に、科学についての出版の目的は、それに含まれる実用的知見を一般に伝達し、他の学者等をして、これを更に展開する機会を与えるところにあるが、この展開が著作権侵害となるとすれば、右の目的は達せられないことになり、科学に属する学問分野である数学に関しても、その著作物に表現された、方程式の展開を含む命題の解明過程などを前提にして、更にそれを発展させることができないことになる。このような解明過程は、その著作物の思想(アイデア)そのものであると考えられ、命題の解明過程の表現形式に創作性が認められる場合に、そこに著作権法上の権利を主張することは別としても、解明過程そのものは著作権法上の著作物に該当しないものと解される。」と述べ、アイディアは著作物ではないことを判示した<ref name="上野2009"/><ref name="平成2(ネ)2615"/>。
:本判例は、技術的思想ないし学術的知見がアイディアに属することを示した一種であり、著作権法の基本原則に関する判決として意義を持つ{{Sfnm|髙部
;城の定義事件(東京地裁平成6・4・25判)
:日本の城に関する書籍を出版した著者と会社(原告)が、その書籍の模倣を含む書籍を出版した会社を著作権侵害で訴えた事件である。判決では、一部は著作権侵害が認められ、一部では認められなかった。著作権侵害が認められなかった記述が、「城とは人によって住居、軍事、政治目的をもって選ばれた一区画の土地と、そこに設けられた防御的構築物をいう」という、原告の著者が考案した城を定義する一文である<ref name="清水2009">{{Cite book|和書|title=別冊ジュリスト 198号 著作権判例百選 |chapter=2 定義の著作物性 |pages=6–7 |edition=第4版 |author=清水節 |editor=中山信弘・大渕哲也・小泉直樹・田村善之 |publisher=有斐閣 |year=2009 |isbn=978-4-641-11498-2 }}</ref>。
:判決は、定義文について「原告が長年の調査研究によって到達した、城の学問的研究のための基礎としての城の概念の不可欠の特性を簡潔に言語で記述したもの」であり、同時に「原告の学問的思想そのもの」とした。そして、「本件定義のような簡潔な学問的定義では、城の概念の不可欠の特性を表す文言は、思想に対応するものとして厳密に選択採用されており、原告の学問的思想と同じ思想に立つ限り同一又は類似の文言を採用して記述する外はなく、全く別の文言を採用すれば、別の学問的思想による定義になってしまう」と述べ、件の定義文を著作物として認めることはできないと判示した<ref name="清水2009"/>。
:本判例は、学術定義をマージ理論の観点から著作物保護を否定した判例といえる<ref name="清水2009"/>{{Sfn|中山
;会社パンフ事件(東京高裁平成7・1・31判)
:[[編集著作物]]の著作権侵害が争われた事件である。会社案内パンフレットを作り変える予定だったある会社(被告)に、広告企画・制作の会社(原告)がラフ案を示したが、被告は金額が高いことを理由に採用しなかった。その後、被告は別の会社に依頼してパンフレットを完成させたところ、そのパンフレットは原告のラフ案に似た物であった。これに対して、原告が被告を複製権の侵害で訴えた<ref name="茶園2009">{{Cite book|和書|title=別冊ジュリスト 198号 著作権判例百選 |chapter=23 編集著作物(3)―会社案内 |pages=48–49 |edition=第4版 |author=茶園成樹 |editor=中山信弘・大渕哲也・小泉直樹・田村善之 |publisher=有斐閣 |year=2009 |isbn=978-4-641-11498-2 }}</ref><ref name="蘆立2019">{{Cite book|和書|title=別冊ジュリスト 198号 著作権判例百選 |chapter=47 アイディアと表現の区別(2)―選択と配列の相補性 |pages=96–97 |edition=第6版 |author=蘆立順美 |editor=小泉直樹・田村善之・駒田泰土・上野達弘 |publisher=有斐閣 |year=2019 |isbn=978-4-641-11542-2 }}</ref>。原告のラフ案と被告のパンフレットには、具体的な文章や写真は異なるものの、同じ計23ページから成り、各ページの内容のテーマは共通し、各ページのレイアウト、各写真・イラストから受ける印象はよく似た印象を与えるものだった<ref name="田村2013">{{Cite journal |和書|author=田村善之 |title=著作権の保護範囲に関し著作物の「本質的な特徴の直接感得性」基準に独自の意義を認めた裁判例(2・完) : 釣りゲータウン 2 事件 |date= 2013-03 |publisher=北海道大学情報法政策学研究センター |journal=知的財産法政策学研究 |volume=42 |pages=112-118 |url=http://hdl.handle.net/2115/52393 }}</ref>。
137 ⟶ 250行目:
* [[著作権法の判例一覧 (アメリカ合衆国)]]
==
{{notelist2}}
== 出典 ==
{{
{{Reflist|2|refs=
<ref name=Stanford-ConcpArt>{{Cite web |title=May I Copyright My Shovel? Intellectual Property Incentives and Conceptiual Art |trans-title=私のショベルは著作権保護の対象か? 知的財産権とコンセプチュアル・アートの関係性 |last=Hinks |first=Sarah Fenton |url=https://scholarship.shu.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1236&context=student_scholarship |publisher=[[スタンフォード大学]]ロースクール |date=2013 |accessdate=2019-08-04 |language=en}}</ref>
<ref name=BunkaRep>{{Cite report|url=https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoki/h30_02/pdf/r1407928_03.pdf |title=インターネット情報検索サービスの法的責任に関する我が国及び諸外国の状況 |publisher=[[文化庁]] |page=4}}</ref>
<ref name=YamamotoRep>{{Cite journal|url=http://www.itlaw.jp/USCCLIV.pdf |journal=米国著作権法の判例法理 |title=マージ理論 |author=山本隆司 (弁護士) |year=1997 |publisher=インフォテック法律事務所 |page=1}}</ref>
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* {{Cite book |和書 |trans_title=著作権と隣接権 |title=著作権と隣接権 |last=Colombet |first=Claude |translator=宮澤溥明 |date=1990-05-25 |publisher=[[第一書房]] |origyear=1988 |year=1990 |url=https://www.daiichishobo.co.jp/shinkan/shokai/1.shtml |isbn=978-4-8042-0001-9 |postscript=著者は[[ソルボンヌ大学]]法学部教授。日本語版本文中の条約および法律は、大山幸房 (西東京科学大学 (現: 帝京科学大学) 教授) の訳出に準拠 |ref={{SfnRef|Colombet|1990}}}} -- "''Propriété Littéraire et artistique et droits voisins''" の日本語訳 <!-- 書籍の裏表紙に書かれているISBNは下1桁が「0」と表記されていますが、誤り。Cite bookで表示しようとすると「存在しません」となりますのでご注意を。出版書誌DB https://www.books.or.jp/books/detail/335037 で検索しなおし、「9」に訂正しました。 -->
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== 関連文献 ==
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