「オブジェクト指向」の版間の差分

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==== 1989年頃 ====
1989年に上梓されたUser Interface A Personal Viewという記事の中でアラン・ケイは、Smalltalkのオブジェクト指向性は大変示唆的であると前置きした上でこう述べている<ref>{{Cite web|url=http://worrydream.com/refs/Kay%20-%20User%20Interface,%20a%20Personal%20View.pdf|title=User Interface A Personal View|accessdate=2020-1|publisher=}}</ref>。{{Quotation|''object-oriented means that the object knows what it can do.''<br/>(オブジェクト指向とは、オブジェクトがなにかをできるのかを知っていることなんだ)|Alan Kay}}オブジェクトを指向=重視することの意味について、ケイは抽象的シンボル視点のプロセスと、具体的ユーザーインターフェース視点のプロセスを対照させながら説明している。前者では我々はまずオブジェクトの名前を示し、次にそのオブジェクトが行なうなにかを理解させるメッセージを続かせることになる。後者では我々はまず対象を選択し、次にその対象が提供するなにかの一覧を表示させることになる。この双方を踏まえた上でケイはこう結論している。{{Quotation|''In both case we have the object first and the desire second. this unifies the concrete with the abstract in highly satisfying way.''<br/>(双方の視点において僕たちはオブジェクト(対象)を第一とし、欲求を第二とする。これは高い満足度で具象と抽象を一体化する)|Alan Kay}}オブジェクト(対象)の重視と並行して、ケイはあらゆる物事からモード(''mode'')を取り除くべきだとするモードレス(''modeless'')の考え方も提唱している。モードとは決められた方法や作業手順や形態を指し、モーダルはタスクの指向=重視を意味することになる。オブジェクトとモードレスを融合させたユーザーインターフェースのデザインについて、ケイはテキストエディタの操作を例にした興味深い説明を加えている。テキストエディタの「挿入」「削除」「置換」といった操作はモーダルに当たる。それらは余りに基本的であるがゆえに対象と欲求に分解してのモードレスに再解釈できる余地がないように見える。ケイはこの命題から''Thus, there could be a zero-width selection, and thus every operation could be a replace.(もしゼロ幅選択枠というものがあるならば、全ての操作は置換になるだろう)といった解答を示している。「''ゼロ幅選択枠」という抽象的対象を導入することで「挿入」は始めに任意の文字間にあるゼロ幅選択枠を指定して次に置換→任意の文字列という欲求を伝えることになる。「削除」は始めに任意の選択文字列を指定して次に置換→ゼロ幅選択枠という欲求を伝えることになる。「置換」は選択文字列→置換→文字列である。文字実体のない抽象的なオブジェクトであるゼロ幅選択枠が、具体的なモーダル操作をモードレスに再解釈する役目を果たしてる。始めに対象を選択しても自由に他の対象または他の表示中の操作にも移れることがモードレスと言われる所以である。これが具象と抽象の一体化であると説明されている。
 
==== 1993年頃 ====