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→‎表示に関する登記: 「敷地権」の登記区分について。
→‎権利に関する登記: 不動産登記法の用例に合わせる。
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* 区分建物について[[建物の区分所有等に関する法律|区分所有法]]第22条の定めにより[[敷地利用権]]と専有部分の権利との分離処分が禁止される旨の登記については、「敷地権」として建物の表示に関する登記の一部事項としてなされる([[b:不動産登記法第44条|法44条]]9号)。
 
=== 権利に関する登記 ===
権利に関する登記は、不動産についての権利の保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅を公示するための登記である([[b:不動産登記法第2|法2条]]4号、[[b:不動産登記法第3条|法3条]])<ref name="ft-egov" />。
権利に関する登記は第三者[[対抗要件]]である([[b:民法第177条|民法177条]])。不動産についての権利の優先関係が問題となるときは、登記の有無、先後が基準となる。一般に登記といえば、権利に関する登記のことをいうことが多い。
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登記事項には、登記の目的、受付年月日・受付番号、登記原因及びその日付、権利者の住所・氏名等がある(法59条)。
 
==== 所有権に関する登記 ====
権利に関する登記のうち、所有権に関する登記は、権利部の甲区に記録される([[b:不動産登記規則第4条|規則4条]]4項)。所有権に関する登記には、次のようなものがある。
* [[所有権保存登記]]
: 新築などで、初めて甲区に記録される場合に、[[所有権保存登記]]がされる。
: 登記の目的に「所有権保存」と記録され、所有者の住所・氏名が記録される。登記原因及びその日付は登記されない([[b:不動産登記法第76条|法76条]]1項)。
: 所有権保存登記の申請をすることができる者は、以下の者に限定されている([[b:不動産登記法第74条|法74条]])。
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# 所有権を有することが確定判決によって確認された者。
# 収用により所有権を取得した者。
# 区分建物の場合で、表題部所有者から所有権を所得した者。なお、その建物が敷地権付き区分建物の場合、敷地権の登記名義人の承諾が必要である
* [[所有権移転登記]]
: 所有権保存登記又は前の[[所有権移転登記]]の名義人から所有権の移転を受ける場合にされる。
: 登記の目的には「所有権移転」と、登記原因及びその日付には「平成○年○月○日売買(又は贈与、相続等)」と記録され、権利者として新しい所有者の住所・氏名が記録される。
: 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈により所有権を取得した者も、同様の扱いとなる([[b:不動産登記法第76の2条|法76の2条]])。
* 処分の制限の登記
: [[差押え]]、[[仮差押え]]及び[[仮処分|処分禁止]]の登記が具体例である。これらの登記はすべて公署の嘱託によりなされ、当事者は申請をすることはできない([[b:民事執行法第48条|民事執行法48条]]1項、[[s:民事保全法#47|民事保全法47条]]3項・[[s:民事保全法#53|53条]]3項、[[b:不動産登記法第16条|法16条]]1項)。
 
登記されている所有権の登記事項に変更等があったときは、次のような登記がされる。
* [[変更登記 (権利に関する登記)#所有権の変更登記|変更登記]]
: 既存の登記の権利の内容が変更されたとき([[共有物分割]]禁止の定めなど)や、登記名義人の表示が変更されたとき(改姓、住所移転、行政区画の変更等)には、変更登記がされる([[b:不動産登記法第2条|法2条]]15号、[[b:不動産登記法第64条|法64条]]、[[b:不動産登記法第66条|法66条]])。
* [[更正登記]]
: 登記事項に誤りがあった場合には、[[:wikt:更正|更正]]の登記がされる(法2条16号、[[b:不動産登記法第67条|法67条]])。
* [[抹消登記|登記の抹消]]
: 既存の権利に関わる登記において、登記された権利が最初から存在しなかったか、事後的に消滅した場合には、抹消登記の抹消がされる([[b:不動産登記法第68条|法68条]]、[[b:不動産登記法第69条|法69条]])。
* [[回復登記の回復]]
: 誤って抹消された登記をした場合に利害関係のある第三者の承諾を経てもとの順位で復活させる登記である([[b:不動産登記法第72条|法72条]])。なお、不動産登記法附則3条1項の指定を受けていない登記所(コンピューター化未移行庁)において旧登記簿が火災等により滅失したため登記がない状態になった場合、旧不動産登記法19条・23条及び69条ないし75条に規定される滅失回復登記の回復される([[s:不動産登記規則#f6|規則附則6条]]1項)。
 
==== 所有権以外の権利に関する登記 ====
権利に関する登記のうち、所有権以外の権利に関する登記は、権利部の乙区に記録される([[b:不動産登記規則第4条|規則4条]]4項)。所有権以外の権利で登記されるのは、[[用益物権]]([[地上権]]、[[永小作権]]、[[地役権]])、[[担保物権]]([[先取特権]]、[[質権]]、[[抵当権]])、[[賃借権]]、[[採石権]]である([[b:不動産登記法第3条|法3条]])。不動産に関する権利であっても、同三条に列挙されていない占有権や留置権などは登記できない。また甲区のない登記簿に乙区のみを登記することはできない。なお[[敷地利用権|敷地権]]は建物の表示に関する登記事項である
* [[抵当権設定登記]]
: 甲区の所有者が[[抵当権]]を設定したときにされる。
: 登記の目的には「抵当権設定」、登記原因及びその日付には「平成○年○月○日金銭消費貸借同日設定」などと記録され、抵当権者の住所・氏名のほか、債権額、債務者の住所・氏名等が記録される([[b:不動産登記法第83条|法83条]]、[[b:不動産登記法第88条|法88条]])。
* [[登記名義人表示変更登記|登記名義人の氏名等の変更の登記等]]
: 名義人の氏名・名称・住所について変更があった場合になされる。なお更正についても同様である。
* [[抵当権変更登記]]
: 抵当権の登記事項に変更があった場合にする。
* [[抵当権移転登記|抵当権の移転の登記]]
: 抵当権者が抵当権を譲渡したときにされる。既に存在する抵当権設定登記に対する付記登記として登記される([[b:不動産登記法第4条|法4条]]2項)。
* [[抵当権の処分の登記]]
: 抵当権の処分([[b:民法第376条|民法376条]])があった場合にする。
* [[順位変更登記|抵当権の順位の変更の登記]]
: 登記された担保物権の順位を変更する場合にする。
* [[根抵当権設定登記|根抵当権の設定の登記]]
: 当事者が根抵当権を設定した場合にする。
* [[根抵当権変更登記|根抵当権の変更の登記]]
: 根抵当権の登記事項に変更があった場合にする。
* [[根抵当権の処分の登記]]
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* [[民法第398条の14第1項ただし書の定めの登記]]
: 根抵当権の準共有者が、弁済を受ける割合や、優先弁済を定めた場合にする。
* [[根抵当権移転登記|根抵当権の移転の登記]]
: 根抵当権の承継があった場合にする。
* [[買戻しに関する登記]]
: 売買契約と同時に買戻特約を設定したときにされる。買戻しの登記は、売買による所有権移転登記申請と「同時に」する必要がある(大判明33.10.5)。
* [[地上権設定登記|地上権の設定の登記]]
: 甲区の所有者が[[地上権]]を設定したときにされる。地上権者の住所・氏名のほか、地上権設定の目的、地代、支払時期、存続期間等が登記される([[b:不動産登記法第78条|法78条]])。
* [[地役権設定登記|地役権の設定の登記]]
: 当事者が[[地役権]]を設定した場合にする。
* [[賃借権設定登記|賃借権の設定の登記]]
: 甲区の所有者が[[賃借権]]を設定したときにされる。賃借権者(賃借人)の住所・氏名のほか、賃料、支払時期、存続期間等が登記される([[b:不動産登記法第81条|法81条]])。賃借権は[[債権]]であるが、登記したときは対抗力を持つ([[b:民法第605条|民法605条]])。
* [[民法第387条第1項の同意の登記]]
: 先順位の抵当権に賃借権を対抗させる場合にする。
 
これらの権利の変更、消滅等が生じたときは、所有権に関する登記と同様、変更登記、更正登記、抹消登記、ならびに回復登記がされる。
* [[変更登記 (権利に関する登記)|変更の登記]]
: 登記事項に変更があった場合にする。
* [[移転登記 (不動産登記)|移転の登記]]
: 権利の承継があった場合にする。
* [[抹消登記|登記の抹消]]
: 権利や登記事項が消滅したか不存在だった場合にする。