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酸素非発生型光栄養で生育する細菌の科
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2005年8月13日 (土) 19:49時点における版

ヘリオバクテリア(へりおばくてりあ)は酸素非発生型光合成を行う真正細菌である。16S_rRNA系統解析に基づく原核生物の分類によるとグラム陽性菌に分類されるがグラム染色では陰性である。光合成細菌としては最も新しく発見されたグループであり、酸素存在下では生育できない絶対嫌気性細菌である。光合成色素としてバクテリオクロロフィル g を用いている点で他の光合成細菌と異なっている。

光化学系

光化学反応中心光化学系Iと類似している(鉄硫黄型反応中心である)が、コアタンパク質はホモダイマーであり、初発電子供与体は P798 である。 一般的に鉄硫黄型反応中心はそのコアタンパク質に鉄硫黄クラスターを二個結合したサブユニット(FA/FBサブユニット)を持つが、ヘリオバクテリアにおいては強固に結合したFA/FBサブユニットの存在に関して確たる証拠が得られていない。 また鉄硫黄型反応中心にはコアサブユニットあたり約40分子程度のクロロフィルが結合しているがヘリオバクテリアの反応中心も例外ではない。 光合成を行う生物は光量子を効率よく捕獲するためのアンテナ色素たんぱく複合体(光捕集系)を持つのが一般的であるが、このヘリオバクテリアにおいてはアンテナ色素たんぱく複合体は見つかっていない。

発見

このバクテリアの発見は1980年代に入ってからであり光合成細菌に分類される細菌群の中では最も新しく発見された。水田の土壌から発見されたにもかかわらず生育には絶対嫌気が要求される。酸素存在下では生育は出来ないが、酸素に抵抗性の有る耐性胞子を形成することにより酸素存在下でも耐え忍ぶことができる。

生態

生育には絶対的な嫌気条件と光が必要であり、光合成により生育が可能であるが、比較的低分子の有機物を元にして光合成を行う光従属栄養生物である。また、嫌気条件において高濃度のピルビン酸存在下では光合成に頼らずに生育することが知られている。

その他

ヘリオバクテリアが光合成色素として用いるクロロフィル g は光と酸素存在下でクロロフィル a 様物質に異性化される。