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主に[[ウガリット文字]]と呼ばれるやや簡略化された[[楔形文字]]の一種で表記されるが、文書によってはメソポタミア楔形文字で表記されたものもある。ウガリット文字は基本的に母音を表記しない文字なので、このウガリット語が実際にどう発音されていたかははっきりしない部分が多い。
 
ただしメソポタミア楔形文字は[[音節文字]]なので、これで表記された文書に見られる単語は母音がわかっており、また[[アラビア語]]や[[アッカド語]]を参考にした[[再建]]も行われている。そこでウガリット語を音写する場合、実際の綴り(ほとんど子音文字のみである)の後に推定される発音、またはメソポタミア楔形文字での表記を[]で括って併記する事がよく行われている。例) ym [{{IPA2|yammu}}]「海」、ym [{{IPA2|yômuyômu}}]「日」、bṯn [{{IPA2|ba-ṯa-nu}}]「蛇」、など。この場合、{{IPA2|yammu}}、{{IPA2|yômuyômu}}は想定される発音、{{IPA2|ba-ṯa-nu}}はメソポタミア楔形文字で記されている発音である。
 
== 発音 ==
母音は短母音a、i、u、長母音{{IPA2|āāīīūū}}があったと考えられている。さらに、母音と母音または[[半母音]]がとなり合った場合に同化して生じた長母音{{IPA2|ââîîûûêêôô}}もある。
 
子音は{{IPA2|’ /ʔʔ/、b、g、ḫ /x/、d、h、w、z、ḥ}} (強勢音のh)、{{IPA2|ṭ}} (強勢音のt)、{{IPA2|y、k、šš /ʃʃ/、l、m、ḏ /ðð/、n、ẓ}} (強勢音のz)、{{IPA2|s、‘ /ʕʕ/、p、ṣ /ts/、q}} (強勢音のk)、{{IPA2|r、ṯ /θ/、ġġ /ɣɣ/、t、śś /s/}} があった。それぞれの推定音や原語での表記については[[ウガリット文字]]を参照されたい。
 
== 文法 ==
[[名詞]]には[[性 (文法)|性]](男性、女性)の区別があり、女性名詞には一般に女性語尾-t [-(a)t]が付く。 例)mlk [malku]「王」、mlkt [malkatu]「女王」。さらに[[数 (文法)|数]](単数、双数、複数)、[[格]]([[主格]]、[[属格]]、[[目的格]])の区別があり、それによって語尾変化する。ちなみに目的格には副詞的用法と呼ばれる用法があり、動詞の目的語だけでない幅広い使用が可能である。なお、ウガリット語に[[冠詞]]は無い。
 
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[[分詞]]は能動分詞と受動分詞があり、形容詞と同じく修飾する名詞に従って性、数、格の語尾変化をする。その動作者として名詞化されるのも同様である。語根に母音を挿入して作られるため、母音を表記しないウガリット文字文書では解読が難しい。
 
能動分詞は、mlkを例にとるなら[{{IPA2|mālikumāliku}}](統治する、ただし実際には単にmalk『王』が使用されたはず)となる。女神[[アーシラト]](aṯrtaṯrt[{{IPA2|’āṯiratu’āṯiratu}}])の名も、本来は「行進する(女性)」という能動分詞である。受動分詞は、mlk [{{IPA2|malīkumalīku}}](統治される)のようになる。この場合、綴りは能動分詞と同じになるので文脈によって判断する必要がある。
 
[[前置詞]]は、名詞の格変化だけでは表現できない格を示す為に用いられる。ウガリット語では、前置詞の付く名詞は必ず属格になる。前置詞の中で多用されるのはb [bi]やl [le]であるが、これらは動作の起点や終点、手段や位置など極めて幅の広い意味を持ち、解読の難しいものでもある。
例えばym [yamma]やb ym [bi yammi]は「海で」「海へ」「海から」いずれも表し得る。
 
[[副詞]]には、否定を表すl [{{IPA2|lā}}]など純粋な副詞もあるが、多くの場合名詞や形容詞の目的格を流用する。そのままでも用例があるが、-h [-h]やm [-am]などの接尾辞を付けて意味をはっきりさせる事が多い。
 
[[接続詞]]には様々なものがあるが、特に多用されるのは、アラビア語や[[ヘブライ語]]でも多用されるw[wa]である。これは順接にも逆説にも、また結果や目的にもわたる幅広い意味を持つ。
 
== 参考文献 ==
*古代語研究会編 谷川政美監修 『楔形表音文字 ウガリト語入門 - 詩篇に生き続ける古代の言語』 キリスト新聞社 2003年
 
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[[gl:Lingua ugarítica]]
[[he:אוגריתית]]
[[is:Úgarít]]
[[it:Lingua ugaritica]]
[[kk:Угарит тілі]]