「滑腔砲」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
編集の要約なし
5行目:
[[16世紀|16世紀頃]]から戦争で火砲が普及し始めるが、これらは滑腔砲に球弾であった。やがて投射重量を増やすために弾が細長い円筒状になり、[[弾道]]を安定させるためには弾を回転させる事が有効である事が知られると、火砲は[[ライフル砲|施条砲]]に切り替わっていった。
 
[[第二次世界大戦]]後、[[装甲]]が増した[[戦車]]を撃破するために高威力の砲が求められ、高腔圧を実現するために[[砲弾]]の回転に使用される発射ガスのエネルギーと施条(ライフリング)と砲弾の隙間から漏れる発射ガスが問題になった。このため砲身内部を平滑にし、弾に羽を付けて空力的に安定させる方式が開発された。これを用いた砲が[[ソビエト連邦|ソ連]]の[[T-62]]に採用搭載された55口径115mm滑腔砲 U-5 である。イギリスのロイヤルオードナンス製の[[ロイヤル・オードナンス L7|105mm ライフル砲 L7]]に対抗するために採用された U-5 は、同時に制式化された世界最初の対戦車滑腔砲でもある。
 
貫通力に優れる [[APFSDS]](装弾筒付翼安定徹甲弾)や、回転させると貫通力が下がる [[成形炸薬弾|HEAT]](対戦車榴弾)はこの砲を用いて発射される。滑腔砲の砲弾は弾の後部に小型の安定翼を付けて弾道を安定させる必要があるため横風の影響を受けやすく、西側の戦車で最初の滑腔砲となった[[ラインメタル]]社の 120mm 滑腔砲搭載戦車には風向センサーを搭載した物が多かった。風向を計測して照準精度を向上させるための物だが、戦闘距離が長くなればなるほど風向や風速が一定せず、そのため現在では搭載しない事が多い。また砲弾ひとつひとつに安定翼の加工誤差による弾道の差が生じるという問題もあるなど、命中精度に関してはライフル砲に劣る部分があると言われ、実際[[陸上自衛隊]]の射撃競技会においても、天候によっては[[74式戦車]]が[[90式戦車]]に勝利する場合がある。