「わたしが・棄てた・女」の版間の差分

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この作品は吉岡努の視線から描いた「ぼくの手記」と森田ミツの視線から描いた「手首のあざ」の二つの視点で描かれている。遠藤周作の作品のうち、純文学作品に対して軽小説に位置づけられる作品の中で、広く読まれている小説である。
 
作者によれば、[[ジョルジュ・ベルナノス|ベルナノス]]の『田舎司祭の日記』や[[フランソワ・モーリヤック|モーリヤック]]の『仔羊』といった作品の主人公を一般的に描こうとしたのが、先のユーモア小説『[[おバカさん]]』であるという。この作品で失敗した点を、『わたしが・棄てた・女』で克服しようとしている。純粋に人を愛し続けるミツは[[イエス・キリスト|イエス]]像に結びついており、その主題はのちに『[[沈黙 (遠藤周作)|沈黙]]』に結晶する。
 
なお、このヒロイン森田ミツは、実際にハンセン病と診断されながらも誤診で、のちに看護婦になった経歴を持つ[[井深八重]]がモデルとなっている。遠藤自身が最も好きな登場人物であると語り、のちの作品にも同じ名前の人物がしばしば登場する。