「電波吸収体」の版間の差分

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'''電波吸収体または電波吸収材料(Radar absorbent material、RAM)'''とは、[[電波]]を[[吸収]]し反射波を減らす[[物質]]である。主に[[ステルス機]]などで、形状制御技術ではコントロールしきれなかった[[鋭角]]などに使用される。
 
== 性質別分類 ==
RAMはその性質から、大きく3つに分かれる。
=== 導電性電波吸収材料 ===
材料内部の抵抗によって電波によって発生する電流を吸収するものである。導電性繊維の織物によって優れた電波吸収体が実用化されている。
 
=== 誘電性電波吸収材料===
分子の分極反応に起因する[[誘電損失]]を利用するが、[[誘電体]]単体では大きな損失は望めないので、カーボン粉などをゴム、発泡ウレタン、発泡ポリスチロールなどの誘電体に混合して見かけ上の誘電損失を大きくしたものが開発されている。
 
=== 磁性電波吸収材料 ===
[[磁性材料]]の磁気損失によって電波を吸収するものである。鉄、ニッケル、フェライトを使用して電波を吸収できるが、重くなるのが欠点である。
 
== 使用形態別分類 ==
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電波吸収体は、電波特性、角度特性、偏波特性、付加特性(重量、耐熱性、耐候性、施工性、価格など)の特性が考慮される。カーボンマイクロコイル(CMC)を使用することで幅広い帯域に対する電波吸収が実現出来る。コイル径が1-10μm、長さは0.2-10mm程度で、ポリウレタンのような支持基材中に添加量が1wt%-1.5wt%が-15dB以上の最も効率的な吸収を示す。
 
また、[[EMファイバー]]と呼ばれる、ガラス繊維や合繊繊維中に吸収する波長の2倍の長さのステンレス繊維を分散させた電波吸収材がある。電波吸収体は、インピーダンスの異なるいくつかの層を重ねることで、入射電波を逃がさないようにできる。入射側は低インピーダンスとして、内部深くに電波が進むにつれて[[インピーダンス]]を高くし、電波の反射を抑えながら効果的に吸収・消滅させることが図れる。
 
誘電性の吸収材料を使用して<math>\frac{\lambda}{4}</math>の厚みを持たせると、誘電率<math>\boldsymbol{\epsilon}_\gamma</math>に対して<math>\frac{\lambda}{\sqrt{4\boldsymbol{\epsilon}_\gamma}}</math>に減らすことが出来る<ref group="出典" name="ex1">橋本修監修『電波吸収体の技術と応用II』シーメムシー出版、2008年1月25日発行 ISBN 9784882319610</ref>。
 
== 問題点 ==
今のところRAMの塗装型は高価であるという点やメンテナンスに手間がかかるという点で問題がある。一部には、[[赤外線]]放射率が異なる塗装で各部を塗りわけ、赤外線映像として見た際に、航空機の形状として認識されづらいように配慮した機種もある。
 
現時点で実用化されたステルス航空機の機体色は、たいていがマットブラックかダークグレー系であるが、これは夜間運用時に効果的であると同時に、極端に高度を下げない限り日中でも比較的に目立たない色だから、そのように色を調合されただけであり、レーダー反射塗料そのものがダーク系カラーというわけではない。