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'''吃音症'''(きつおんしょう、{{lang-en-short|Stammering symptom}})は、発語時に言葉が連続して発せられたり、瞬間あるいは一時的に無音状態が続くなどの言葉が円滑に話せない疾病。[[言語障害]]<!--[[発達障害]](一部の吃音を除いた吃音、或いは吃音が発達障害に含まれるのか疑問)-->の一種である。'''どもり'''、'''吃音'''ともいわれる。[[世界保健機関|WHO]]の疾病分類「[[ICD-10]]」<!--([[国連]][[世界保健機関]])の[[疾病及び関連保健問題の国際統計分類]](ICD-10)-->では、吃音は、「会話の流暢性とリズムの障害」、「吃音症」<ref>[http://www.googlesyndicatedsearch.com/u/byomei?q=%8Bh%89%B9&domains=dis.h.u-tokyo.ac.jp&sitesearch=dis.h.u-tokyo.ac.jp&hl=ja&ie=Shift_JIS 「ICD-10分類F00-F99精神及び行動の障害>F90-F98 小児(児童)期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害>F98小児(児童)期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害>F98.5吃音症]</ref>とされ、[[アメリカ合衆国|米国]]精神医学会のDSM-4-TR([[精神障害の診断と統計の手引き]])でも吃音症とされている。日本においてもICD-10やDSMに準じた[[厚生労働省]]の「疾病、傷害及び死因分類」<ref>[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0118-7f.html
== 概要 ==
『どもりは必ずなおせる 〜子どものどもり おとなのどもり〜』(婦人生活社 1983年)の著者である[[花沢忠一郎]]は、幼少の頃から吃音で苦しみ続け、独自の呼吸法や発声法などを取り入れた大人の吃音の矯正法を日本で最初に考え出し、吃音を自覚し始めたものを「大人のどもり」、吃音に無自覚なものを「子供のどもり」と定義した。子供の吃音や本人が吃音を気にする前だと治る確率も高いとされる。近年、吃音はICD-10分類の情緒障害としての吃音症だけではなく、それ以外にも色々な吃症状があり、[[症候群]]<ref>「吃音は”吃音様言語障害症候群”というのが適切であろう」(内須川洸「医学辞典」講談社)及び、「DSM-4」</ref>であるとする見解も出てきている。
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== 分類 ==
大きく分けると以下の3型があり、これらは吃音の核となる症状と考えられている(Van Riper, 1971、Conture, 1990)。近年は更に細かく専門化した分類が行われてきている。
; 連声型(連続型、連発)
: たとえば「おはようございます」という文章の場合、発声が「お、お、おは、おはようございます」などと、ある言葉を連続して発生する状態。
; 伸発
: 「おーーーはようございます」と、語頭の音が引き伸ばされる状態。
; 無声型(無音型、難発)
: 「ぉ、……(無音)」となり、最初の言葉から後ろが続かない状態。
=== 吃音の種類・分類一覧 ===
<ref>[http://ha4.seikyou.ne.jp/home/student/sorttable.htm 「吃音の種類・分類一覧」(NPO法人吃音協会)]</ref>
<small>*種類(A,B,C)
* 神経因性吃音(種類A)
**
*** 1.ことばの生成
*** 2.ことば(音)の組立て
*** 3.発語運動のプログラミング不全
*** 3.発語運動のプログラミング不全
*** 4.言語優位側の未確立
*** 4言語優位側の未確立
**
*** 1語器官の麻痺
*** 1語器官の麻痺
*** 1語器官の麻痺
*** 2.構音要領の不全
*** 3.呼吸法の不全
*** 3.呼吸法の不全
*** 3.呼吸法の不全
*** 3.呼吸法の不全
*** 4運動失行などによる発語運動不全
*** 4運動失行などによる発語運動不全
**
*** 聴覚性(種類C)
**** 1.気導音の優位性(観察目的)
**** 2.骨導音の優位性
**** 2.骨導音の優位性
**** 3.フィードバック効果
**** 3.フィードバック効果
**** 4.聴覚神経経路の問題の確認
**** 4.聴覚神経経路の問題の確認
*** 体性感覚性(種類C)
*** 情動性(種類C)
**** 話声の情動情報と吃音の関連
**** 話声の情動情報と吃音の関連
**** 話声の情動情報と吃音の関連
**** 話声の情動情報と吃音の関連
* 心因性(種類A)
** 外因性(B種類)
** 内因性(種類B)
** 内因性(種類B)
* 脳内調節系(種類A)
** 脳機能の左右交差(種類B)
*** 運動機能の優位側
*** 平衡感覚の優位側
*** 平衡感覚の優位側
** ホルモンの機能変調(種類B)
*** セロトニン不足
*** ドーパミン優位
*** 交感神経優位
== 吃音の段階 ==
一般的に吃音には、次の四つの段階がある。
: 第1段階 - 連発。本人にあまり吃音の自覚のない時期。
: 第2段階 - 連発・伸発。本人が吃音を気にし始める時期。次第に語頭の音を引き伸ばすようになる。
: 第3段階 - 難発。吃音を強く自覚するようになる時期。伸発の時間が長くなり、最初の語頭が出にくい難発になる。時に[[吃音症#吃音に伴う症状|随伴運動]]が現われる。
: 第4段階 - 吃音のことが頭から離れず、どもりそうな言葉や場面をできるだけ避けたり、話すこと自体や人付き合いを避けたりする。
なお、『連発 → 伸発 → 難発』へと順番に移行していくものではなく、『連発 → 連発+伸発 → 連発+伸発+難発』と新たな要素が加わりながら移行して行くものとされる。
== 吃音に伴う症状 ==
* 随伴運動 - 吃音による不自然な身体の動き(瞬き、体を叩く、手足を振る、足踏みする、目を擦るなど)。
* 吃音回避 - どもる言葉を避けようとする。
* 転換反応
* 波状現象(変動) - 流暢に話せていたと思うと、急に吃音が出る。
* 吃音予期不安 - どもったことで、またどもるのではないかと恐怖を感じる。
* 吃音不安 - どもったことで、相手にどう思われるか恐怖を感じる。
* [[条件反射|吸息反射]] - 緊張し、吸息したままの状態になる。
* 呼吸の乱れ
* 早口
* 全身(口唇、舌、声帯、直腸筋、腹筋、横隔膜筋、胸筋、肛門など)や一部の筋肉の過緊張 - バルサルバ反射など。
* 吃音に意識が集中し、話がまとまらない。
* 頭が真っ白になり、言葉が頭に浮かばない。
* どもったことで自己嫌悪になる。
* 吃音を気にし、話すことや人付き合いを避けるようになる。
など。
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緊張するからどもるのではない。どもるから緊張するのであるが、戦後一時期まで、吃音は、精神的な緊張に起因すると一面的に理解されてきた歴史がある。ただし、緊張や不安や鬱に依って(ドパミン、セロトニンなどの伝達・分泌異常)で吃音が悪化することは分っている。
ある種の吃音の原因は「[[てんかん]]」や右脳が正常に機能しない聴覚機能不全、痙攣性発声障害(米国では吃音者の1/3が痙攣性発声障害が原因といわれている<ref>[http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/ NPO法人吃音協会公式サイト]</ref>)などであることが分かってきており、日本以外の医療機関では治療(「てんかん」や「セロトニン療法」など)が行われている。また、近年は吃音は[[条件反射]]付けられたものであるとする説も有力である。しかし、多くの吃音の原因や病態はよく分からないのが現状である<ref>「吃音の病態解明と医学的評価及び検査法の確立のための研究」(平成14年度 主任研究者 森浩一(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)</ref>。不安や緊張、ストレスなどの心理的影響、家庭環境、好ましくない言語環境などが挙げられるが、これらは、吃音になる「きっかけ」の一つである可能性はあるが、原因といえるかは定かではない。父親や母親が厳格で言葉に関する躾が厳しいとその子供は吃音になり易いといわれている。また、いじめなども関係している。3:1で男子に多いとされる。女子に少ないのは、胸式呼吸に早く移行する為と考えられている<ref>女性に吃音が少ない理由:赤ん坊は最初、全員が腹式で呼吸しているが、幼児期から学童期に胸式呼吸に変わる。この際、女児は身体的発達が早いのと、将来の妊娠出産のために腹筋の発達が抑えられるという理由により、男児より早く腹式呼吸から胸式呼吸に移行する。その為、どもる ような緊張場面に遭遇しても、呼吸が乱れる事が少なく、結果的に吃音になり難いと考えられている。[http://kitsuon-kaizen.en.que.jp/hori/
ただし、正確に言うなら「わかっている部分と分かっていない部分」があり、吃音者全体の約1/3に効果があるといわれている音声のフィードバック経路(情動経路を含む)が関連する感覚性吃音は、日本以外では既に検証済みであり、装置を使った治療が普及している<ref> 正確には、「わかっている部分と分かっていない部分」があり、吃音者全体の約1/3に効果があるといわれている音声のフィードバック経路(情動経路を含む)が関連する感覚性吃音は、日本以外では既に検証済みであり、装置を使った治療が普及している[http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/book/source.html
=== 脳科学的アプローチ ===
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* 耐え難いストレス(いじめ・叱られた・過度に厳格な躾)
* 好ましくない言語環境
: <!--(親が非吃音者でも幼児は吃音は出易いといわれています。)親が吃音者の場合-->幼少期の子供は左右の言語脳野の機能分化が進んでいないため、どもりは出やすいといわれているが、それに敏感になって、自分の子供に『どもらないように話せ』などと叱ってしまう。叱られた子供はどもりを悪い事だと思い込み、隠そうとする。それが、いつしか話すことへの恐怖へと変わり、条件反射付けられ、吃音が定着してしまうと考えられる。また、電話で言葉が出ず、いたずらと思われたり、友人からおかしな話し方をするという目で見られたり、授業で指名されてどもったことを注意されたり、いじめや嘲笑の対象にされるなど、辛い体験の蓄積や、周囲の人の吃症状に対する否定的反応からも吃音は条件反射付けられる。
* 吃音者をからかうなどして発声を何度も真似た経験がある。
* 家系に吃音者がいる。
: これは、一部を除いては遺伝ではない<ref>家系に吃音者がいる場合、子に遺伝する可能性が指摘されている。詳しくはを外部リンク[http://www.glico.co.jp/boshi/futaba/no68/con05_18.htm]を参照</ref>。
* [[左利き]]の者が利き腕を矯正した。
など。
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日本では、ある時期まで、吃音は、精神的な緊張など[[心因]]性のものと偏って理解されてきたため、吃音治療は心理療法が重視され、それ故「吃音は中々治らない」と思われてきた。また、一部の重度吃音者が、数十年かけた発声訓練や[[講談]]による超人的な努力で、自らの吃音を治すことに成功し、また、その人たちは民間矯正所を開いて「発声訓練や講談で治る」と声高に主張したため、更に間違った方向に吃音治療は進んだ(講談で軽快する人も中にはいるが全ての吃音に該当するわけではない)。それらの歴史をまず、踏まえて治療を考える必要がある。
[[言語障害]]などを治療する[[言語聴覚士]](ST)が基本的には治療を行う。診断は、吃音の治療を手がけているSTがいる[[耳鼻咽喉科学|耳鼻咽喉科]]<ref>[http://www10.plala.or.jp/JA5CK/page033.html
* [[言語療法]]:丹田部に力を入れ、第一語を引き伸ばしてゆっくり話す[[抑制法]]や、楽にどもりながら話すバウンズ法([[修正法]])などがある。
* [[呼吸法]]
* [[系統的脱感作]]療法的訓練:軽くどもりながらスピーチして馴化させたり、どもって緊張した場面や、訥言(どもり易い苦手な言葉)や嫌な場面を想像し、難易度や不安感の低い順に、抑制法や修正法などを交えながら発声訓練する矯正法。6 - 8名での訓練が効率的で効果的とされる。行動療法の一つ。
* [[言語聴覚療法]]:FAF、AAF、DSAなどの聴覚フィードバック装置<ref>
; 用語解説
: DAF(遅延聴覚フィードバック)装置。AAF(Altered Auditory Feedback:聴覚変換フィードバックの略)ともいう。
: FAF(周波数遷移フィードバック)装置。ASF(Altered Speech Feedback:話声変換フィードバックの略)ともいう。
: DSA(Digital Stuttering-suppress Aid:吃音抑制訓練器)装置、などがある。
</ref>などを利用した治療法。ただ、アメリカの一部の研究者は聴覚言語療法は一部の吃音に効果があるだけで、多くは効果が消滅してしまうと言っている<ref>[http://saito-therapy.org/new_finding/stuttering_brain.htm 吃音治療薬を求めて]</ref>。また最初は良くても効果が薄れ再発するという説がある[http://www.webspace.ne.jp/rental/tree_bbs/search.php]。だが、一般的には吃音者の1/3に効果があり、「発話運動の再学習」が完全に成立しないうちに使用を止めて再発する人も確認されている[http://space.geocities.jp/jprosamyst/stut/qanda/qandaindex.htm]。また、いくつかの種類の装置を組み合わせて訓練すると効果的であるとされている。国立身体障害者リハビリテーションセンター([[#治療を行っている医療機関|後述]])はFAFを設置している。
* [[薬物療法]]
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=== 花沢研究所の矯正法 ===
以下に、1932年に早稲田大学の心理学教室に早大吃音矯正会を発足させ、「吃音の父」[[グリーン博士]]に師事し、国内外の吃音研究に接し、その後、[[口腔外科]]医で、千葉大学名誉教授の[[佐藤伊吉]]らとの共同研究で、日本で最初に大人の吃音の言語訓練法を考案し、1956年に花沢研究所を設立して、本格的に吃音の言語療法に取り組まれた花沢忠一郎の矯正法(吃音者の間では営利目的ではない、良心的な民間相談機関として知られていた)のエッセンスを掻い摘んで紹介する。これらのゆっくり発声したり、母音を長く発生する練習に加え、近年の会話に先立つ恐怖と不安を取り除く訓練で大人の吃音者の多くは上手く話せるようになるとされる<ref>[http://saito-therapy.org/new_finding/stuttering_brain.htm
; 心構え - 人をのむ(少し位のことで動じないほど強く図々しくなる)。
: 吃音の人には恥ずかしがり屋で見栄っ張りな人が多いとされる。身体が恐れていると、前かがみになり、腹部の力は抜けてしまう。胸を張り、下を向かず前を見て、相手の目を見るようにする。目を見ることに抵抗がある人は、目と目の間の眉間を見るようにするといい。劣等感を振り払い自己評価を高められるようにする(近年、このような一種の心理療法的な治療は、一部の吃音を除いては無効との見解も出てきている)。多勢の前で話すときは、一人一人のネクタイを見て気持ちが落ち着いてから話し始めるといい。そして、勇気のいることだが、心許せる友人に吃音で上がってしまったり、電話に出るのが怖いなどの悩みを打ち明けてみよう。悩んでいるのは独り相撲だと気がつくであろう。
; 1.呼吸練習 - [[胸式呼吸]]から[[腹式呼吸]]([[丹田呼吸]])に切り替える。
: 吃音者は呼吸が浅いといわれる。下腹部には、常に、無自覚な時や、睡眠時でも力が入っているようにする。(近年、丹田呼吸法そのものは交感神経系の緊張を解し副交感神経系を優位にさせ、全身および精神の緊張の緩和が起こり吃音寛解に効果的であるとして見直す声がある。一方、下腹部に力を入れたままの複式呼吸をしながらの矯正訓練はある種の吃音の様態にのみ効果があり、胸式呼吸を基本とし、吃音の、ある場面で部分的に複式呼吸を取り入れた治療がある種の吃音には有効との見解も出てきている)。
:* 第一呼吸:姿勢を正しくし、鼻から息を吸い
:* 第二呼吸:鼻から息を吸い、「えーい!」と大きな声で気合をかけながら、下腹に力を入れて息を止める。最初は5秒(息を止める時間)を10回、10秒を10回、15秒を2回くらいやる。いつでも暇があったらやり、意識しなくても下腹に力が入るまでやる。
:* 第三呼吸(人に呑まれない呼吸法):肩の力を抜き下腹に力を入れ正面を見る。鼻から息を吸い、下腹に軽く力を入れながら鼻から息を吐き、悠然と構える。5分くらいやったら目を閉じ、次のような事を言って自己暗示にかける。「例:必ず吃音を治す。吃音は恥ずかしいものではない。相手は何とも思っていない。どんな時も落ち着いてゆっくり話す……など」。この他、自分の願い、望みを何でも言ってみる。
; 2.ストレッチなど柔軟体操をおこなう。
: 吃音者は身体や筋肉が一般的に硬いといわれているので、柔軟体操を行う。
; 3.発音・朗読練習 - ゆっくり話す。
: 息を吸い、下腹部に力を入れ続け(その際、大声で「えいっ!」とかけ声をかえるといい)、ゆっくり息を吐きながら第一語を長く引き伸ばし(第二語まで伸ばせばもっと良い)て話す。
: 第三語以降も長く伸ばし、全体的にゆっくり過ぎるほどゆっくり話す。
:* 例:「私は、音楽が好きです。私の母も音楽が好きです。」 → 「(息を吸い、えいっ!と下腹部に力を入れ、息をフ〜っとゆっくり吐きながら)フ→ わ〜〜た〜〜し〜は(ブレス。リピート)お〜〜ん〜〜が〜く〜が(ブレス。リピート)す〜〜き〜〜で〜す(ブレス。リピート)わ〜〜た〜〜し〜の(ブレス。リピート)は〜〜は〜〜も(ブレス。リピート)お〜〜ん〜〜が〜く〜が(ブレス。リピート)す〜〜き〜〜で〜す」
:** 上記の様な発音・声練習を、50音や本をテキストに毎日数十分繰り返す(句読点などをブレスの目安にするといい)。
; 4.息継ぎを忘れない。また、息を吐き、気流を流すことも忘れない。
: 吃音者は息継ぎせず、一気に話すことが多い。早く話を終わらせたいからだが、合間、合間に息継ぎをすることを忘れてはいけない。また、人は酷く驚いたり緊張すると[[反射 (生物学)|吸息反射]]という反射が起こり、吸い込んだ息を溜めこんだままになってしまう。吃音者にも似たことが起こる。そうなったら一旦話を中断し、フィードバックして自分の身体や精神の状態を客観視して、精神を落ち着かせ、息を吐き出しやすい環境にしてから再び話すようにする。
; 5.早口を改める。
: 吃音者はどもるのが嫌だから、話を早く終わらせようと早口になる傾向がある。それは吃音の矯正にとってマイナスだ。一度、自分の喋りを音響機器に録音し、確かめてみることは大事だ(近年はビデオ撮影も有効とされている。身体の状態なども客観視できるからだ)。いかに早口か、逆に、上記の第一語を伸ばしたゆっくりした喋り方が、そんなにゆっくりではないことに気が付く。(聴覚フィードバック系の機能不全の[[言語障害|早口言語症]]は原因や治療法が分っており、吃音症とは異なる)。
; 6.それらを踏まえた発声練習を欠かさない。
; 7.カミングアウト
: 最終的には、勇気のいる事だが、第一番で触れた、職場や学校の友人に自分が吃音で深刻に悩んでいることを打ち明けてみる。悩んでいるのは、本人の一人相撲だと気づくことが多く、心理的な安定を得られるであろう。
; 8.研究者は日本以外の最新の研究成果を知る事は大事である。が、当事者は学者にならなくても必ずしも良い。
: 呼吸法や発声法など、吃音矯正の基本を踏まえ治療を受けることは大事でも、ただ知識を増やし学者にならなくても必ずしもよい。戦後間もなく吃音を治そうと日本以外に留学までして治せなかった人もいる。インターネットで日本以外の最新の情報を比較的容易に入手できるようになり、それらを取り入れるのは非常に大事である。が、机上の通り一遍の知識だけでは、中々吃音は改善しにくい。<ref>参考文献:*『どもりは必ずなおせる』 - (花沢研究所所長、花沢忠一郎著、婦人生活社 1983年)</ref>。<small>(出典:『どもりは必ずなおせる』(花沢研究所所長、花沢忠一郎著、婦人生活社 1983年)。上記の箇条書きは、花沢研究所の治療・矯正方法のほんの一部の紹介であり(詳しくは著書参照)、参考程度に留め、吃音の矯正は専門の医療機関、自治体の[[保健所]]の健康相談センターや、心の相談センターへ相談をすること。</small>
=== 治療の問題点 ===
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Einer BobergとDeborah Kullyは、吃音治療プログラム終了後に吃音が再発する理由として、以下のことが考えうるとしている。
# 成人吃音者は新しい話し方の心構えや行動に合わせることが難しい。
# 自己評価が低下している。
# 吃音は周期的に起こる(注:ドーパミン過多症状を示唆している)。
# 生活で時々、ストレスの多いことがある。
# 習得した流暢性技法を絶えず心がけ、注意を向けることは、始めの数週間から数か月間は可能だが、流暢性技法が自動的で習慣的にならなくなると、流暢性技法の監視を投げ出してしまう。
# ある種の吃音者は、まだ解っていない神経学的な原因がある可能性があり、このような吃音者は従来の治療プログラムでは吃音を克服することはできない。
ただ、日本以外では、古典的な言語療法だけに依らない、最高レベルのコンプリヘンシブ治療を受けた場合の1 - 2年後の治癒率は、克服した人と満足できる状態にあった人を合わせて75%(自己回答だと80%)とされ、追跡調査でも再発は殆どしていないとするレポートがあることは上節の[[#日本以外の治療研究事例|日本以外の治療研究事例]]で既に触れた通りである。
==== 健康保険適用と診療報酬 ====
日本では、吃音症は、[[標準病名マスター作業班]]<ref>[http://www.googlesyndicatedsearch.com/u/byomei?q=%8Bh%89%B9&domains=dis.h.u-tokyo.ac.jp&sitesearch=dis.h.u-tokyo.ac.jp&hl=ja&ie=Shift_JIS 標準病名マスター作業班
精神科、神経科、心療内科などでは、[[通院・在宅精神療法]]<ref>2008年度から通院精神療法が通院・在宅精神療法に変更された</ref>の適応疾病や[[薬剤処方]]の適応書に吃音症は含まれていないのが現状である。したがって、かかる治療を受けるのなら健康保険を使って受診できない。しかし、通院・在宅精神療法を点数として取らず、薬剤処方もしなければ吃音症のみで受診することは[[可能]]であり、[[初診料]]と[[再診料]]のみの診療報酬を請求することになる(精神科は検査などを多くしないので、診療報酬が低く、初診料・再診料以外に通院・在宅精神療法などが加算される仕組みになっている)。その場合、審査支払い機関への病態の保証・説得が大事になり、治療法としては、[[認知行動療法]]、精神力動的治療([[精神分析]]など)、[[交流分析]]、[[カウンセリング]]、[[ロールプレイ]]、[[ゲシュタルト療法]]、[[家族療法]]などが挙げられるが、医師の判断や医療機関の治療資源、得意分野などによって違ってくる。医療機関によっては、受診拒否されることがあるが、その医療機関や医師に吃音症の知識や治療資源がなかった場合は、[[医師法]]19条が禁止する診療拒否には当たらない。
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吃音症の治療を専門的に行っている医療機関や医師、言語聴覚士は非常に少数である。
その原因は、
* 吃音は日本では医療体系に含まれていなかった。
* 吃音者が吃音を命がけで隠そうとし、吃音治療で受診することが少なく、吃音が認知されていない。
* 吃音症は”治さない””治らない””治せない”と宣言した一部団体があり(今は変わって来ている)、そう信じられてしまった時代があった。
* ST養成課程におけるカリキュラムに吃音関係が2%しかない。
* 吃音の一部は原因が分かってきているが、その他の吃音ははっきりせず、全吃音者を完治させる統一的な治療法が確立されていない。
* それゆえ、一部の吃音を除き原因のよく分からない病気(障害)を研究するのは浪費と考え、医師が吃音研究に関心を持たない。
* 病院の外来は午後3時頃には受付を終えてしまい、土日は休診の所が多いため、社会人の吃音者は受診しにくい。
* 医療機関で吃音治療が受けられることや、どの診療科を受診すればいいか、吃音者にも、医療関係者にも知られておらず、吃音は”忘れられている”。
* 吃音は治りにくいと思われているので、言語聴覚士が敬遠している。
* 吃音は言語訓練が主なため診療報酬点数が低く、医療機関はSTの業務でも高い診療報酬点数が得られる脳卒中などの患者を優先する傾向がある。
ことなどが考えられる。近年、STへの吃音の講演会が行われてきているものの、まだまだ不十分である。言語聴覚士の治療を受けて完治するとは限らないが、吃音が改善されたという報告例はある。吃音の矯正方法が確立されにくいのは、上記で触れたように吃音者にとっては、吃音は死ぬほど恥ずかしいことであり、命がけで隠すからであるといわれる。それゆえ、社会、医学的認知度が高まらず、治療に向けての研究が遅々として進まない面は否定できない。
==== 治療のあり方と今後の方向性 ====
吃音治療による治癒率は、日本以外の文献によると吃音者の約1/3はほぼ満足できる程度に吃音の抑制できており、1/3は日常生活に支障のない程度に改善し、1/3は改善は困難であったというデータが大半である(NPO法人吃音協会HPより)。これらの治療期間は短い場合で6か月、長い場合で2年という例がある。尚、これらの治療法は大部分が言語療法、聴覚療法(DAF、FAFなど)、心理療法などの単一の治療法を用いた場合の結果であって、その治療法が治療を受けた吃音者の吃音の種類や性質に合っていない場合も考えられるので、2000年前後から提唱され始めた「complihensive(包括的)治療」や「holistic(全身的)療法」の場合ではもっと治癒率が向上するものと考えられる。今までの吃音治療に関する研究は治療法の有効性に焦点が当てられ、吃音者一人一人の実態合った治療法は何であるか、何が有効かという視点からの研究は皆無である。このような研究はcomprehensive治療やHolistic治療による研究で、今後明らかになることだと考えられている。耳鼻咽喉科などでしか健康保険治療が認められていないことが、各科が連携し複数の治療法を取り入れた総合的吃音治療の展望を難しくさせている。なお、統合的治療の中にはまだ、近年の脳科学的知見は取り入れられていないが、21世紀は[[バイオテクノロジー]]と脳科学の時代であり脳科学的成果を取り入れた新しい治療法がきっと確立されるであろう。
また、吃音を極度に恥ずかしいと思う「もの言わぬ吃音者」と、吃音を比較的恥ずかしいと思わない吃音者がおり、後者は吃音自助グループなどに参加したりするが、前者の「もの言わぬ吃音者」は鬱(うつ)や神経症などの傾向が強く、積極的になれない傾向があり、自助グループなどには参加しないか、できないようである。「もの言わぬ吃音者」にとっては、人前でのスピーチ訓練などは過酷なことであり、彼らへの治療方法が大きな課題となっている。
===== 吃音者が具体的にできること =====
この状況で吃音者にまずできることは、
; 1.吃音の原因(きっかけ)が思い当たる場合は、その疾病や外傷に関係する診療科目に相談する。
: 例、頭部打撲、意識喪失で倒れた、てんかん発作を起こした時は神経内科。また、事件や事故にあい心理的に強いショックを受けた時、精神神経科または心の健康(相談)センターなどに相談する。
; 2.吃音の原因が分からない場合は、吃音に伴った症状に関係する診療科目に相談する。
: どもっている時、強度の不安や緊張がある場合、または呼吸が苦しくなる場合などは精神神経科、また話す時に頭が真っ白になったり、話す言葉が消えてしまう、または話す言葉が頭に浮かんでこないなどは神経内科などに相談する。
日本以外の研究などでは、吃音は症候群であり、この症状を起こす原因(要因は)色々あって、治療法も色々あると考えられて来ている。したがって「吃音」も包括的(comprehensive)または、全身的(または全人的:holistic)な治療法が必要であると考えられる。
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例えば、[[筑波大学附属病院]]の精神神経科、筑波記念病院(総合病院)の内科は、健康保険を使って吃音の診療を受けることができる。吃音者自身が地元の役所が行っている、医療福祉に関する相談窓口や健康相談センター、心の健康相談センターなどに出向き、「健康保険を使って吃音の治療を受けたいが、どこの病院がいいか紹介してほしい」と尋ねて見ることは、医療関係事務担当者に、吃音が健康保険適用の疾病であるにも拘わらず、健康保険適用で受診可能な診療科や病院が限られていることなど、問題を提起することになり、その矛盾に気付いてもらう良い機会になる。なお、このような機関は全国的な連絡協議会を持っており、吃音の問題が各地で話題になっていることが知れ渡れば、行政機関としてもその対策を検討するようになって来るであろうと考えられる。
また、日本での吃音治療の歴史のなかで、医療による治療が長期間否定されて来たことは吃音者に不利益を与える結果になった。疾病名としての吃音(ICD10F98.5)は情緒障害の一種であり、精神神経科の対象として、狭い意味の吃音を対象にしているが、最近、[[アメリカ合衆国|米国]]での吃音治療理論として提唱されている「Comprehensive Stuttering Therapy(包括的な吃音治療)」では、複数の治療原理(言語療法、心理療法、感覚療法など)を総合的に行う必要があるとされている。こう考えると、今の日本の健康保険診療の対象が疾病に限っており、症状(例えば「めまい」「痺れ」「頭痛」など)での診療を受けることができない問題に行き当たる。これらを打開するためにも、吃音者が自分の吃音のタイプを知り、医療関係機関に出向き、吃音に関する問題を提起し、多くの人に知ってもらうことは、医者に吃音の治療法を研究してもらい、上記の矛盾をどうしたらいいか考えてもらう機会にもなる。そして、吃音の新しい診療体系(症状別による総合的な治療)のあり方を作っていくきっかけになるであろう。
279行目:
=== 日本の吃音政策の遅れ ===
1966年2月24日の[[衆議院]][[社会労働委員会]]において、戦後日本の国会では初めて「吃音」が正式に取り上げられた([[帝国議会]]時代にも取り上げられた事がある)。「吃音とは、これは人類の永遠の悲劇」[http://kokkai.ndl.go.jp/]であるとし、国家として吃音政策に取り組むように議論された。しかし、その後吃音について国会で取り上げられたのはたった数回だけである。
吃音は医療体系に充分に含まれていないばかりか、国公私立の研究所や医療機関、大学[[医学部]]では本格的に研究されておらず、吃音研究者も極めて少ない。厚生労働科学研究の対象に数年前に漸く指定されたものの、吃音関係の研究は、[[国立身体障害者リハビリテーションセンター]]研究所感覚機能系障害研究部、[[北里大学]]医療衛生学部リバビリテーション学科、[[京都大学]]大学院医学研究科(現在,主任研究者退官、研究チーム解散)、[[理化学研究所]]脳科学総合研究センター言語発達研究チーム、[[新潟大学]]脳研究所統合脳機能研究センター、NPO法人吃音協会などで少数の研究員により細々と研究されているのみというのが現状である。
国のまとまった吃音政策や吃音福祉政策のガイドラインなども存在しない。吃音者は、国から黙殺されているのも同然の状況である。そこで、
# 病院の診療科目への症状別の総合的な治療が受けられる「吃音科」の新設
# 医療機関の診療各科が連携した吃音治療体制の確立
# 保健所や病院への吃音相談窓口の設置
# 吃音専門の医師とSTの育成及び、病院への配置
# 医師や医療機関に対する吃音症への関心の喚起
# 耳鼻咽喉科などでも吃音寛解に一部有効とされる薬物処方を可能にする
# 吃音の厚生労働科学研究など、医学的研究の充実
# [[難病性疾患克服研究事業]](特定疾患調査研究分野)への指定及び[[難治性疾患克服研究班]]の設置
# [[身体障害者手帳]]の交付などの障害認定
# 吃音者の病態や生活上の不利益などの実態調査
# 日本以外の吃音治療・研究の調査と公表
など、早急な[[国]]や[[厚生労働省]]の治療に向けての研究支援体制の改善及び、吃音福祉体制の確立が求められている。
=== 医療機関を受診している患者数 ===
厚生労働の2005年の患者調査「3閲覧第
* [http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/150/2005/toukeihyou/0005647/t0125240/E0036_041.html H17年「3閲覧第
* [http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/150/2005/toukeihyou/0005647/t0125269/E0065_041.html H17年「3閲覧第
* [http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/150/2005/toukeihyou/0005647/t0125297/E0094_041.html H17年「3閲覧第
この調査は、成人と小児の区別がされておらず、多くは小児吃音だと思われる。全国に100万人の吃音者がいるにもかかわらず、極めて少ない数字といえる。
<!-- 議論中に付きコメントアウト
=== 治療を行っている医療機関 ===
吃音症を専門としている言語聴覚士や医師がいる耳鼻咽喉科や音声外来のある医療機関が少なく、吃音症での受診は窓口で断られてしまう場合がほとんどである。以下の機関でもSTが退職や転勤でいなくなっている可能性がある。尚、この節では、吃音症を専門とし、[[健康保険]]治療を行っている医療機関のみを取り上げる。特筆しない限り成人吃音を対象としている。
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** [[佐賀県立病院好生館]](小児吃音)
** [[市立砺波総合病院]] (小児吃音)
** こやま耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック(小児吃音)
** [[高槻病院]](小児吃音)
** [[静岡県立こども病院]](小児吃音)
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* 精神神経科・心療内科(薬物療法など)
** たかはしクリニック(京都市)
** [[筑波大学附属病院]]
** [[北海道大学病院]]
** [[札幌医科大学附属病院]]
* 内科
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日本福祉教育専門学校系列の敬心クリニックでも言語聴覚士により、主に子供の吃音の矯正を行っている。健康保険適用対象外だが、1時間の訓練費は約2千円で矯正の水準や効果の程は兎も角、国立身体障害者リハビリテーションセンター(20分単位で750円、1時間で2,250円、3割負担。初診料除く)と医療費が免除される子供の場合を除いては余り変わらない。[[NPO法人吃音協会]](水戸市)や[[吃音改善研究会]](東京都豊島区)でもSTには依らないが、非営利目的の良心的で効果的な吃音矯正訓練を行っている。
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==== その他 ====
* [[ことばの教室]]、[[きこえとことばの教室]](言語障害の指導を行う「[[通級]]」指導教室)
** [[文部科学省]]の[[特別支援教育]]の一環として、全国の主に小学校に吃音児などを対象にしたことばの教室が設けられている。そこで行われているのは環境調整が主である。学齢期前前後(5歳頃まで)は、環境調整で治ることが多いが、小学校中・高学年以上になると吃音は既に固着化しているケースが多いので、環境調整や教育論では無力であり、言語療法が必要とされる。ことばの教室のあり方についての見直しは急務である。近年、発達障害という括りで、吃音だけではなく、[[注意欠陥・多動性障害|ADHD]]や[[学習障害|LD]]、[[自閉症]]も受け入れ対象になったため、一部の教室では学級崩壊の様相を呈し、吃音児への充分なケアが行えなくなってしまっている。ここでも見直しが急務である。
** また、吃音児童は5%いるといわれているにもかかわらず、多くの自治体ではその約百分の一から数十分の一しか、ことばの教室に通っていないという現実がある。更には、一部中学校にはことばの教室が置かれているが、殆どの[[中学]]、[[高等学校|高校]]、[[大学]]には設置されていない。社会人をサポートするシステムも未確立である。小学校のことばの教室を卒業したら、吃音者は放逐されているのが現状である。
* 倉敷リハビリテーション病院(ST在籍だが吃音専門外。医師判断で治療可能か決めるとのこと)
* 倉敷市総合福祉事業団(市民のみ小児吃音無料相談。環境調整などが主)
== 薬への期待と副作用 ==
<!--出典は示されているので独自研究テンプレ外しました-->
* [[ジプレキサ]]はアメリカの実験で一部吃音者の吃音を軽減させる効果が認められた[http://saito-therapy.org/new_finding/stuttering_brain.htm]。
* [[β遮断薬]](ミケラン、アルマール、インデラルなど)は、結婚式の挨拶など特定の場面で、動悸や震えなどの身体症状や強い緊張を伴う一部の吃音症には、ベンゾジアゼピン系抗不安薬との併用で、緩和することがある。
<!--*[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬|SSRI]]やベンゾジアゼピン系の抗不安薬も一部の吃音を緩解させる効果があるとされる<ref>[http://homepage2.nifty.com/mmm23232/829.html 「fluvoxamine(商品名ルボックス、デプロメール)長期服用にて吃音症が寛解した2症例」]</ref>。
** SSRIは吃音による過去の不快な情動を消す効果があるとされ、半年以上の長期服用で効果が表れるとされる。ベンゾジアゼピン系抗不安薬も交感神経過緊張を寛解し、吃音を軽症化させる効果があるとされる。また、特定の場面で強い緊張が表れる吃音者に処方する「β遮断薬
** ただし、筋弛緩作用の強いベンゾジアゼピン系抗不安薬では効果が上げられているとされているものの、抗不安作用は強いが筋弛緩作用の弱いベンゾジアゼピン系抗不安薬は却って吃音症を一時的にせよ重症化させる傾向性が見られるとする報告例がある。また、筋弛緩作用が強いflunitrazepam、筋弛緩作用が弱いflutoprazepamも一時的ながら吃音症を重症化させることが多いとされる。更に、ベンゾジアゼピン系抗不安薬に慣れていない吃音者では作用の弱いベンゾジアゼピン系薬物に依っても却って吃音の重症化が起こり得るとされ、ベンゾジアゼピン系薬物の服用に慣れていない吃音者(とくに女性の吃音者)には作用が弱いベンゾジアゼピン系薬物から始めるべきとする報告例もある。
** この様に吃音症の薬物治療については試行錯誤の段階であり、分かっていないことも多く、効果も未知数である。吃音者の多くがどのような薬種を服用しているのかのデータすらない。今後の研究が待れる所である。抗不安薬等の服用で不安感や吃音[[予期不安]]が軽減されれば、多勢の前の演説などで吃音が出る頻度が減る人はいる。だが、根本的な治療とは異なり、言語療法、認知療法などの心理療法、聴覚療法など単一療法の一つである。心理療法は吃音そのものを矯正するものではなく、心理的不安を軽減することによって吃音予期不安を緩和したり、吃音を受容し吃音と上手く付き合えるようにしていこう等とするものである。これからは吃音者一人一人の実態に即し、複数の治療法を組み合わせるなどした包括的治療や総合的治療、全身的治療が重要になってくる。
== 吃音者間の治療観の相違 ==
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大きく分けて、
* 「吃音を治したい」とする考えと、「吃音は治さないで受け入れるべきだ」という考えがあり、両者に相違がある。
* 「吃音を恥ずかしいと思う吃音者」と、「吃音を比較的恥ずかしいと思わない吃音者」がいる。後者は吃音自助グループなどに参加したりする。前者の「もの言わぬ吃音者」は鬱(うつ)や神経症の傾向が強く、積極的になれない傾向があり、自助グループなどには参加しない、できない傾向がある。「もの言わぬ吃音者」は人前でスピーチしたりするのを酷なことと感じる。
* 「吃音は[[努力]]すれば良くなる」とする主張と、「努力では良くならない」とする主張ある。前者の中には吃音を[[克服]]するために、あえて言葉を話す職業に就く人もいる。後者の中には、なるべく話さない職業に就く人がいる。これは努力をするかしないかではなく、その人の性格や考え方の違いである。しかし、時として前者には[[努力万能主義]]を信じて他人に努力を[[強要]]する[[根性論]]が見受けられる場合がある。因みに、喋る仕事に就いている[[小倉智昭]]や[[西部邁]]らは、まだ、吃音は治っていないとカミングアウトしている。
* 吃音が治った人がいても、それはその人が治っただけで万人に有効な手段とはいえない。[[成功]]者は自分が成功したからと、他人に自分の考えを押し付けて[[説教]]をする傾向が見受けられる。また、吃音矯正所を開設してしまったり、[[カウンセリング]]の知識がないのにカウンセリングをしてしまう者もいる。
* 「症状が軽い者」と、「症状が重い者」の間で対立が起こることがある。症状が軽い者の中には、大して気にしていない者もいる。症状が重い方は重大に感じる。これは症状が軽度の者が、重度の者の症状が分からず、自分の症状だけで吃音について判断してしまうことなどに起因する対立である。
* [[プラス思考]]者と[[マイナス思考]]者間での対立がある。プラス思考者は吃音でも気にしないでやっていこうと考える。マイナス思考者は吃音があるから出来ないと考える。ここでもプラス思考者がマイナス思考者に考えを押し付ける(説教する)傾向があるが、マイナス思考に陥ったのはそれなりの理由がある。その理由を分ろうとはせず、考えを一方的に押し付けることで対立が生じる。
吃音者によって、吃音の症状の軽重・これまでの経験・本人の性格・周囲の理解度・住んでいる地域・就いている職業や取り巻く状況が、人それぞれなので悩みの深刻さも様々である。
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== 文献・図書 ==
* 「吃音の基礎と臨床」(学苑社 バリー・ギター著 長澤泰子監訳 2007年10月刊)
* [http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/generalinfo.pdf 「吃音抑制訓練を受けるに当って」(NPO法人吃音協会)]
* [http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/motorstut.pdf 「運動性吃音の抑制訓練」(NPO法人吃音協会)]
* [http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/psychotherapy.pdf 「心理療法による吃音抑制訓練」(NPO法人吃音協会)]
* [http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/valsalva.pdf 「バルサルバ反射(吃音)の抑制」(NPO法人吃音協会)]
* [http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/syoukai.html
* [http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/d-book/bookindex.htm
* [http://www.ed.kanazawa-u.ac.jp/~kobah/_userdata/kenkyudoko2002_2003.pdf
* [https://nzn.jim.nanzan-u.ac.jp/rd/search/researcher/100102/all_research-j.html 「研究業績」(1998年 - 2007年、非吃音含)渡辺義和 南山大学准教授 教育・研究支援事務室]
* [http://mhlw-grants.niph.go.jp/ 厚生労働科学研究成果データベース]を「吃音」で検索。4テーマの以下の研究論文閲覧可。
** 「吃音の病態解明と医学的評価及び検査法の確立のための研究」(平成14年度 主任研究者 森浩一(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
** 「吃音の病態解明と検査法の確立及び受療機会に関する研究」平成15年度主任研究者 森浩一(国立身体障害者リハビリテーションセンター)
** 「福祉用具の心理的効果測定手法の開発」平成16、17年、17年'度
** 「言語の認知・表出障害に対するリハビリテーションの体系化に関する研究」(平成10年、11年、12年度主任研究者
** 「無侵襲脳局所酸素モニタによる聴覚障害の機能診断と治療への応用に関する研究」(平成10年度 主任研究者 森浩一(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
== 関連項目 ==
* [[不安障害]]
* [[発達障害]]
* [[不随意運動]]
* [[てんかん]]
* [[精神科医]]
* [[小児科医]]
* [[臨床心理士]]
* [[養護教諭]]
* [[スクールカウンセラー]]
* [[スキャットマン・ジョン]] - アメリカの吃音症のミュージシャン。吃音症への福祉活動にも活躍した。
* [[小倉智昭]] - 日本の吃音症のフリーアナウンサー・司会者([[テレビ東京|旧東京12チャンネル]]出身)。アナウンサーの道を志したきっかけが吃音症の克服であるが、彼の吃音がまだ矯正したわけではない。
* [[三遊亭円歌]] - 日本の落語家。二代目と三代目が共に吃音者。三代目は、駅員だったが吃音でアナウンスが上手く出来なかった為、矯正しようとの思いで二代目に入門した。
* [[青い鳥_(2008年の映画)]]
== 外部リンク ==
* [http://stutterisa.org/ International Stuttering Association](国際吃音者連盟)
* [http://www.mnsu.edu/comdis/kuster/stutter.html The Stuttering Homepage
* [http://www.theifa.org/ International Fluency Association 国際流暢性学会]
* [http://www.kitsuon-portal.jp/ 吃音ポータルサイト 金沢大学人間社会研究域学校教育系 小林宏明のホームページ]
* [http://www008.upp.so-net.ne.jp./osp/ NPO法人 大阪吃音教室
* [http://mito.cool.ne.jp/stutstudent/ NPO法人 吃音協会のホームページ]
* [http://kitsuon-kaizen.en.que.jp/hori/ 吃音改善研究会のホームページ]
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