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[[ファイルFile:Advanced Test Reactor.jpg|thumb|right|230px|アメリカ/アイダホ国立研究所内にある新型実験炉で観測されたチェレンコフ放射の例]]
 
'''チェレンコフ放射'''(チェレンコフほうしゃ、Čerenkov radiation、Cherenkov radiation)とは、[[荷電粒子]]が物質中を運動する時、荷電粒子の速度がその物質中の[[光速度]]よりも速い場合に光が出る現象。'''チェレンコフ効果'''ともいう。このとき出る光を'''チェレンコフ光'''、または、'''チェレンコフ放射光'''と言う。
 
この現象は、[[1934年]]に[[パーヴェル・チェレンコフ]]により発見され、チェレンコフ放射と名付けられた。その後、[[イリヤ・フランク]]と[[イゴール・タム]]により、その発生原理が解明された。これらの功績により、この3名は[[1958年]]の[[ノーベル物理学賞]]を受けた。
 
== 物理的原理 ==
[[相対性理論|相対論]]は[[真空]]中の[[光速]]がどんな場合にも一定(c)であることを仮定しているが、物質中を伝播する光の速度は、cよりもかなり遅くなることがある。たとえば、[[水]]中の伝播速度は0.75cにすぎない。粒子は、[[核反応]]や[[粒子加速器]]などによって加速され、この速度を超えることが可能である。チェレンコフ放射は、[[荷電粒子]]——たいていは[[電子]]である——が([[絶縁 (電気)|絶縁]]された)[[誘電体]]を、光よりも速い速度で通過するときに放射される。
 
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同じようにして、荷電粒子も絶縁体を通過するときに、光子の衝撃波を生成することができる。
 
[[ファイルFile:cherenkov.svg|thumb|250 pxright|240px|チェレンコフ放射の図解]]
図において、粒子(赤い矢印)は速度<math>v_p</math>で物質中を通過する。ここでは、粒子の速度と真空中の光速との比を<math>\beta=v_p/c</math>と定義する。<math>n</math>を物質の屈折率とすると、放射される電磁波(青い矢印)の伝播速度は<math>v_{em}=c/n</math>となる。
 
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となる。
 
== 応用 ==
=== 粒子物理学 ===
[[小柴昌俊]]による[[カミオカンデ]]や[[スーパーカミオカンデ]]などでは、円錐状に広がるチェレンコフ光を捕らえることによりさまざまな研究を行う。そのチェレンコフ光が[[ニュートリノ]]により[[散乱]]された[[電子]]により発生したのであれば、チェレンコフ光の観測結果から電子の運動方向や速度が分かり、それらからニュートリノの飛来方向などを計算することができ、ニュートリノが観測できる。
 
=== 臨界事故 ===
チェレンコフ光の例としては、原子力発電所の燃料が入ったプールの中で見える青白い光がある。[[東海村JCO臨界事故]]や[[チェルノブイリ原発事故]]で「青白い光を見た」と作業員が言ったので、臨界事故の確認がとれた。<!--しかし、実際には体外の発光現象に由来する光を見るわけではなく、目をつぶっていても青く見える。というのはその青い光は眼球の中で起こるチェレンコフ放射を網膜がとらえたものだからである。--> なお、東海村JCO臨界事故で見えた光がチェレンコフ光であったか別現象であったかについては、[[臨界事故]]の記事に考察がある。
 
== 関連項目 ==
* [[荷電粒子]]