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{{酸と塩基}}
'''超酸'''(ちょうさん、superacid)は、100% [[硫酸]]よりも[[酸性]]が強い[[酸]]を表す呼び名である<ref>["Superacid". IUPAC. Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book"). Compiled by A. D. McNaught and A. Wilkinson. Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997). XML on-line corrected version: http://goldbook.iupac.org/S06135 (2006-) created by M.html IUPACNic, GoldJ. BookJirat, B. Kosata; updates compiled by A. Jenkins. ISBN 0-9678550-9-8. superacid]{{DOI|10.1351/goldbook.S06135}}.</ref>。'''超強酸'''(ちょうきょうさん、superstrong acid)とも呼ばれる。例えば、[[トリフルオロメタンスルホン酸]] (CF<sub>3</sub>SO<sub>3</sub>H、triflic acid とも) や[[フルオロスルホン酸]] (FSO<sub>3</sub>H) は、いずれも硫酸の1000倍以上の酸性度を持ち、超酸と呼ばれる。多くの場合では、超酸は 2種類以上の化合物の組み合わせにより高い酸性を実現している。
 
(注:本項目における酸性の強弱は、[[酸解離定数]] (''K''a) やハメットの[[酸度関数]] (''H''<sub>0</sub>) の大小に対応している。硫酸に比べ酸性度が 1000倍以上高い、ということは、硫酸に比べ p''K''a か ''H''<sub>0</sub> の値が 3以上小さい、ということを示す。)
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「超酸」という用語は、[[ジェームス・コナント|ジェームス・B・コナント]]が[[過塩素酸]]系の酸性を研究する中で 1927年に用いた造語である。元々は従来の[[鉱酸]]よりも強い酸を指す用語であった。硫酸よりも強い酸としての定義は、R. K. Gillespie による。
 
[[ジョージ・オラー]]は、超酸を用いて、それまで不安定な化学種とされてきたさまざまな[[カルボカチオン]]種を直接観測する手法を確立させ、それらの性質を明らかにした。その業績などから、オラーは 1994年の[[ノーベル化学賞]]を受賞した<ref>{{cite journal|ACS|author=Olah, G. A. ''|journal=[[J. Org. Chem.'', ''']]|year=2005''', ''|volume=70'',|pages= 2413. DOI: [http://dx.|doi.org/=10.1021/jo040285o|title=Crossing 10.1021/jo040285o]Conventional Boundaries in Half a Century of Research}}</ref>。
 
オラーが開発した[[マジック酸]] (magic acid) は、[[ルイス酸]]のひとつである[[五フッ化アンチモン]] (SbF<sub>5</sub>) と、フルオロ硫酸との混合物である。その名称は、クリスマスパーティーで使った[[ろうそく]]の[[蝋]]を魔法のように溶かしたことに由来する。
 
現在までに最も強い超酸として知られる系は、[[フッ化水素]] (HF) と五フッ化アンチモンとの混合物で、[[フルオロアンチモン酸|フルオロアンチモン(V) 酸 (fluoroantimonic acid) ]]と呼ばれる。この系では、まずフッ化水素が[[水素イオン|プロトン]] (H<sup>+</sup>) と[[フッ化物イオン]] (F<sup>&minus;</sup>) に分かれ、そのフッ化物イオンが五フッ化アンチモンと強く結合して八面体型アニオン (SbF<sub>6</sub><sup>-</sup>) を作る。このアニオンは塩基性、求核性が非常に弱いため、遊離したプロトンは非常に反応性の高い "free proton" の状態に近づいている。そのような理由で、このフルオロアンチモン(V)酸の系は際だって高い酸性を示すのである。その酸性は、100% 硫酸と比較して約 10<sup>16<!--訳者修正。原文は 2 x 10^19。オラーのref を参考に修正。--></sup> 倍の強さに達する(H<sub>0</sub> ≒ &minus;28、硫酸の H<sub>0</sub> ≒ &minus;12)。この系に、さらに三酸化硫黄 (SO<sub>3</sub>) を加えれば、アンチモン上の配位子の組成を変えることができる。
 
また[[カリフォルニア大学]]の[[クリストファー・リード]]は、[[2004年]]に「単一分子として最強の酸」である[[カルボラン酸]]を報告した<ref>{{cite journal|ACS|author=Juhasz, M.; Hoffmann, S.; Stoyanov, E.; Kim, K.-C.; Reed, C. A. ''|journal=[[アンゲヴァンテ・ケミー|Angew. Chem., Int. Ed.'' ''']]|year=2004''', ''|volume=43'',|pages= 5352-5355. DOI: [http://dx.|doi.org/=10.1002/anie.200460005|title= 10.1002/anie.200460005]The Strongest Isolable Acid}}</ref>。[[炭素]]1個と[[ホウ素]]11個が[[正二十面体]]型の[[クラスター (物質科学)|クラスター]]を成した構造を持つ。マジック酸などと異なり、フッ化物イオンを出さないために[[腐食]]性がなく、様々な用途が期待されている。
 
== 参考文献 ==
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<div class="references-small"><references /></div>
 
[[Category:酸|ちようさん]]