「経済物理学」の版間の差分

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m 文章のなかで、従来の、また今日でも現場て用いられている金融工学の理論がパレート分布を導けないことが伝わらないと感じられるため、若干つながりをわかりやすくした。
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{{出典の明記|date=2011年12月}}
'''経済物理学'''(けいざいぶつりがく、[[英語]]:econophysics)は、[[経済]]現象を[[物理学]]的な手法・観点から解明することを目指す学問である。現在のところ、扱う対象としては、[[株式]]、[[為替]]、[[先物]]などの市場、企業間ネットワーク(例えば株の持ち合いなど)、個人・法人の所得などのような例がある。これらの対象を扱う理由は、大量のデータを用意でき、その結果、後に述べるように[[べき乗則 |ベキ分布]]([[ファットテール]])が観察しやすくなるからである。
 
大量の市場データを扱う試みは[[マーケットマイクロストラクチャー]]などの分野で、すでに1980年代には始まっているが、物理学者が本格的に市場研究に乗り出したのは[[1990年代]]に入ってからである。経済物理学という用語は、[[ユージン・スタンレー]](H. Eugene Stanley)により提案され、[[1995年]]、[[コルカタ|カルカッタ]]の[[統計物理学]]の会議で最初に用いられた。さらに[[1997年]]には、ブダペストで世界初の経済物理学の会議が行われた。
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ここでは、特に経済物理学が市場をどのように扱うかについて述べる。
 
== 背景 ==
従来の経済学による市場理論としては、[[一般均衡]]理論がある。これは消費者の効用関数・生産者の生産関数を所与とし、多市場の価格・需給量を同時決定するモデルであり、数学的にエレガントな構造をしている。しかし、[[動学]]的な理論ではなく、市場がどのように均衡に到達するか、あるいは市場は本当に均衡しているのか、という問題は扱いにくい。
 
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では、ベキ分布は一般にどのような状況で出現するのだろうか。また、物理学的な手法によってベキ分布はどのように理解されているのだろうか。
 
== 手法 ==
経済物理学では、主に統計物理学的な手法を用いて経済を研究する。時には、[[流体力学]]・[[量子力学]]的な手法を用いることもある。
 
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さらに、経済物理学では、相転移だけでなく、複雑系を理解するためのキーワードである、[[フラクタル]]・[[自己組織化]]・[[ネットワーク]]・[[カオス]]などの概念を用いて、市場を理解しようとしている。
 
== 批判とそれに対する反応 ==
経済物理学は新しい学問領域であるが、その対象は決して新しくはない。さらに使われている手法も物理学では当然のものであり、新たな手法が登場するには至っていない。したがって、市場を伝統的な手法で研究している[[経済学者]]や、主流派の[[物理学者]]から様々な批判がなされている。例えば{{要出典|date=2007年8月}}、
 
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などといった反応がなされている。
 
== 関連項目 ==
* [[相転移]]
* [[複雑系]]
* [[フラクタル]]
* [[人工市場]]
* [[金融工学]]
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
<div class="references-small">
<references/>
</div>
 
==文献==
 
== 関連文献 ==
*ロザリオ・ヌンジオ・モンテグナ、H.ユジーン・スタンリー著、中嶋眞澄訳、『経済物理学入門 -ファイナンスにおける相関と複雑性』エコノミスト社、2000年 ISBN 9784873151014
*[[青山秀明]],[[家富洋]],池田裕一,相馬亘,藤原義久 著 『パレート・ファームズ -企業の興亡とつながりの科学』日本経済評論社、2007年 ISBN 4818819506
 
*[[青山秀明]],[[家富洋]],池田裕一,相馬亘,藤原義久 著 『パレート・ファームズ -企業の興亡とつながりの科学』日本経済評論社、2007年 ISBN 4818819506
:一般向け。
 
*[[高安秀樹]] 著 『経済物理学の発見』光文社、2004年 ISBN 4334032672
:一般向け。
 
*ディディエ ソネット著, 森谷 博之 訳『入門 経済物理学―暴落はなぜ起こるのか?』PHP研究所、2004年 ISBN 4569634141
:翻訳はややわかりにくく、索引がついていない。参考文献が豊富。統計物理・素粒子物理を知っていたほうが読みやすい。
 
* B K Chakrabarti, A Chakraborti,A Chatterjee, ''Econophysics and Sociophysics : Trends and Perspectives'', [http://www.wiley-vch.de/publish/en/books/bySubjectPH00/bySubSubjectPH95/3-527-40670-0/?sID=d05b Wiley-VCH, Berlin (2006)]
 
*Joseph McCauley, ''Dynamics of Markets, Econophysics and Finance'', [http://www.cambridge.org/catalogue/catalogue.asp?isbn=0521824478 Cambridge University Press (Cambridge, 2004)]
 
*Bertrand Roehner, ''Patterns of Speculation - A Study in Observational Econophysics'', [http://www.cambridge.org/catalogue/catalogue.asp?isbn=0521675731 Cambridge University Press (Cambridge, 2002)]
 
* A Chatterjee, S Yarlagadda, B K Chakrabarti, ''Econophysics of Wealth Distributions'', [http://www.springer.com/sgw/cda/frontpage/0,,5-165-72-52121089-0,00.html Springer-Verlag Italia (Milan, 2005)]
 
* Hagen Kleinert, ''Path Integrals in Quantum Mechanics, Statistics, Polymer Physics, and Financial Markets'', 3rd edition, [http://www.worldscibooks.com/physics/5057.html World Scientific (Singapore, 2004)](also available online [http://www.physik.fu-berlin.de/~kleinert/b5 here])
 
== 外部リンク ==
* [http://kstne.at.infoseek.co.jp/ecolink.html リンク集]
* [http://www.phys.uh.edu/econophysics.htm Ph.D. program in Econophysics at Univ. of Houston]
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[[Category:物理学]]