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Tondenh (会話 | 投稿記録)
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{{出典の明記|date=2012年1月}}
'''品質工学'''(ひんしつこうがく、Quality[[英語]]:quality Engineering)engineering)とは、技術開発・新製品開発を効率的に行う開発技法。考案者の[[田口玄一]]の名を冠して'''タグチメソッド'''とも呼ばれる(TMと略される)。特に海外ではこちらの呼び方が一般的である。
 
== 狙い ==
20世紀は肉体労働の生産性を向上させた時代であるが、21世紀は頭脳労働の生産性向上が求められる時代である。
 
事業経営の中で技術戦略の重要性はますます高まるばかりであるが、モノ造りの世界が相変わらず従来の科学的思考や統計的な考え方のパラダイムに浸かっていて、開発の効率化は停滞しており、その上、社会的トラブルが頻発して後手管理の再発防止型の生産活動(もぐら叩き)が行われているのが現状である。 
 
品質工学は欧米ではタグチメソッド(Taguchi MethodsmethodsとかTaguchi Qualityquality Engineering)engineering)と呼ばれ、創始者は田口玄一である。
 
品質工学の本質的な考え方は「社会的損失の最小化」「個人の自由の和の拡大」など頭脳労働の生産性の改革を考えることが狙いである。このことを「技術戦略」と考えている。モノ造りは企業側の理屈ではなく、顧客側の理屈で考えて企業の利益と顧客側の損失とがバランスするような経営をすることを狙っている。
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田口玄一は「品質工学の目的は社会的な生産性を上げること。しかも頭脳労働の生産性が大切だということだ。企業でもR&Dで新産業を作る研究をすれば、失業者は吸収できるし、開発段階で機能性の評価をやって無駄な労働時間を短縮すれば、2日の休みを3日か4日にすることだってできる。その休みを旅行やスポーツなどの趣味やレジャーに使えば国全体が潤うことになる」と言っている。
 
== 構成する分野 ==
==概要==
主に3つの分野で構成される。
 
# 開発設計段階、つまり生産に入る前のオフラインでの品質工学(パラメータ設計→損失関数)
# 生産段階、つまり生産のオンラインでの品質工学(損失関数)
# MT法(マハラノビス・タグチ)法
 
== オフライン(開発・設計)における品質工学 ==
=== パラメータ設計 ===
パラメータ設計に入る前に重要なことは、時代の潮流を考えて、技術テーマを選択するのは技術責任者の役割であり責任である。技術開発テーマが決まったら、技術者が顧客の立場に立って「システム選択」することになるが、顧客が欲しい機能を考えて、理想機能を満足するシステムをたくさん考案することが大切である。考案したシステムの良し悪しを判断するのが「機能性評価」である。機能性評価はシステムとは関係なく、顧客が使う立場で信号とノイズを考えて[[SN比]]で評価することが大切である。
 
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==MT法(MTシステム)==
[[MT]](Mahalanobis(Mahalanobis Taguchi)Taguchi)法という新しい多次元情報データによる予測、診断、分析法が提案され、実用例が多数の企業から報告されている。第一次産業革命は、加工運搬などの肉体労働を機械化することで、重労働作業から人間を解放したのみでなく、生産性の向上で生活水準を豊かにした(現在はMahalanobisの距離を使っていない手法も普及し、その中でT法が主力となると思われるが、MTシステムの名前はそのまま使われている)
 
米国では、農業の生産性が向上し、現在では2%以下の農業人口で、米国の全人口の2倍の人々に対して十分な農産物が供給できるようになったという。
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パターン認識は、広くは言語の理解能力であるが、品質工学のMT法では蓄積されたデータベースからの判断問題(診断や予測)のみを取り上げる。
 
当初提案されたのはMT(Mahalanobis Taguchi)Taguchi)法であったがその後各種提案されている。MT法というとこの最初に提案されたMT法を指したり、この提案された全ての手法を指す場合の2通りがある。MTシステムと言った場合は手法全体のことを指すことが多い(ただし、MTSという略号はTS法の初期の呼び名であることもあり、古い文献を参照する場合は注意すること)
 
戦略としての品質工学は欧米ではタグチメソッド(Taguchi MethodsmethodsとかTaguchi Qualityquality Engineering)engineering)と呼ばれている。
 
タグチメソッドは、予測の精度を機能性評価によるSN比(信号対雑音比)を用いる方法である。SN比は判断の誤りの大きさを結果で評価する方法で、関数空間の関係のみならず、多次元空間の関係にも応用できるのである。
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MTシステムのMは[[マハラノビス]]MahalanobisのMで、Tは田口の頭文字を表し、マハラノビスの考案した[[マハラノビスの距離]]を、田口の手によって拡張された概念である。
 
=== MT法 ===
MT法はマハラノビスの距離を用いて[[逆行列]]を利用した方法で単位空間で求めた観測の対象の平均値が1になることが特徴である。逆行列の計算精度が維持できる程度の項目間の多重共線性がなく(逆行列の計算精度に影響する)、<math> \sigma = 0</math>でない場合に使用できる。
 
=== MTA法 ===
MTシステムの1つであるが、逆行列を利用した場合、相関係数が1の場合や相関が強くなって精度が下がる場合には、解析ができないなど不具合が発生する。これは多重共線性と呼ばれる問題である。これを逆行列の代わりに余因子行列を用いて一部解決したのがMTA法である。この方法で求めた距離の値もMT法と異なるが、多重共線性が発生していなければ、MT法と完全な相関を持ち距離は定数倍されるだけである。またMTAの拡張方法が永田(早稲田大学)より提案されている。
 
=== TS法 ===
シュミットの直交展開を利用した方法であるが、この方法は単位空間が中央にある場合、予測の対象に正・負の符号を付与することが可能である。解析に当たっては信号の真の値の確からしさが重要で、計測対象の距離とは計測対象の真値を直接推定予測することができる。したがって信号の真値の信頼度のよって結果が変わる可能性があることが指摘されている。
 
=== T法 ===
TS法と同じように予測の対象が正・負の符号が考えられる場合、下記の3つの方法が用意されている。
 
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 標準SN比は、目的機能でも基本機能でも用いられるが、ベンチマークと品質の比較をする場合には再現性は必要ないので、従来SN比を用いることになる。
 
=== エネルギー比型SN比(新SN比) ===
 機能性評価では,実験データの出力のエネルギー(ST)(ST)は,有効エネルギー(Sβ)と有害エネルギー(SN)(SN)の和でピタコラスの定理で表されるから,ST=Sβ+SNとなる。顧客の満足度を表すSN比は,有効エネルギーと有害エネルギーの比で考えることができるから,
 SN比(η)=(Sβ/nr)/(SN/nr)=Sβ/SN デシベルでは10log(Sβ/SN)
 感度(S)=10log(Sβ/nr)
で表される。新SN比は,信号の水準数やデータ数に関係ないことが特徴である。MT法でSN比を求める場合,従来SN比ではSβ<Veの場合はη=0として考えるが,新SN比では総べてのデータを採用できることが特徴である。SN比は相対比較であるから,利得の改善に意味があって,SN比の絶対値は問題にしないという考えが従来SN比であるが,絶対値も変わらない新SN比の方が損失関数を求める場合には便利である。
 
{{techTech-stub}}
==リンク==
 
{{DEFAULTSORT:ひんしつこうかく}}
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[[Category:設計]]
[[Category:品質]]
{{tech-stub}}
 
[[de:Taguchi-Methode]]