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'''脱離反応'''(だつりはんのう,英:Elimination、{{lang-en-short|elimination reaction)reaction}})、[[化合物]][[原子団]]を放出してより原子数の少ない[[分子]]となる反応形式のことを言う。[[硫酸]]によって[[アルコール]]が[[脱水]]し、[[オレフィン]]となる反応は脱離反応の好例である。[[反応機構]]別に'''E1反応'''と'''E2反応'''に分けられる。また反応機構的には全く異なるが[[カルボン酸]]の[[脱水縮合]]も脱離反応に含める場合があり、[[硫酸]]により[[フタル酸]]が[[無水フタル酸]]になるのがこの例である。
 
脱離反応あるいは脱水縮合において放出される原子団は'''[[脱離基]]'''と呼ばれる。
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脱水縮合については、記事 [[脱水縮合]]に詳しい。
 
==E1反応(1(1分子脱離反応)==
'''E1反応'''は[[イオン]]を経由して起こる脱離反応で、分子から1原子が脱離して生成したイオンから別のイオンが脱離し、新たな化合物ができる反応である。
[[画像ファイル:E1 reaction.PNG|center|500px]]
[[アルケン]]の生成における経験則として以下のようなものがある。
*''';ザイツェフ則''':
:ハロゲン化アルキルのハロゲン脱離、アルコールの酸性条件化の脱離反応により生成する場合
;ホフマン則
*'''ホフマン則'''::四級アンモニウムの脱離反応([[ホフマン分解]])やスルホニウム塩の分解により生成する場合
 
いずれの反応も複数の脱離過程(反応過程)が存在し、[[カルボカチオン転位]]が起こる場合もあるために複数のアルケン異性体を生成する。
 
=== ザイツェフ(ザイチェフ)則 ===
'''ザイツェフ則'''(~(~そく、[[w:en:Zaitsev's_rule|Zaitsev's rule]] (Saytzeff's rule);〕、'''セイチェフ則'''とも表記)は、第3級[[カルボカチオン]]の隣にある[[炭素]]からの[[水素イオン|プロトン]][[脱離]]によって生じる炭素間の[[二重結合]]は、カルボカチオンに結合している最も炭素の数が多い[[アルキル基]]にできやすいという規則である。
 
ザイツェフ則ではハロゲンまたは水の脱離が律速段階であり、生成するカルボカチオンの安定性により生成する異性体(アルケン)の生成比率が決定づけられる。アルケンの置換基が第3級化合物、第2級化合物、第1級化合物と置換基の少ない異性体ほど生成しやすい。これはアルキル基が多いほど[[超共役]]によりカルボカチオンが安定化するためと説明付けられている。例えば、[[1-ブタノール]]において分子内脱水をすると[[1-ブテン]]ではなく[[2-ブテン]]が主生成物となる([[ワグナー・メーヤワイン転位]])また、[[ネオペンチルアルコール]](2,2-ジメチル-1-プロパノール)を分子内脱水すると[[2-メチル-2-ブテン]]が得られる([[ネオペンチル転位]])
 
=== ホフマン則 ===
{{See|ホフマン脱離}}
'''ホフマン則 '''(~そく、Hofmann rule)[[ホフマン脱離]]とは、[[第四級アンモニウムカチオン|第4級アンモニウム塩]][[塩基]]で処理することにおいて、生成物の[[アルケン]]が、より少ない置換基をもつようになる方の生成が優先されるという規則である。これはメチル水素の方がメチレン水素より[[酸性]]度が高く、塩基によるプロトンの引き抜きが起きやすいためである。
 
ホフマン則では塩基によるプロトンの引き抜きが律速段階であり、置換基の少ない異性体(アルケン)ほど生成しやすい。これはβ位に脱離基を持つ炭素のうち置換水素の酸性度に低いものから引き抜かれてβ脱離が進行するためで、アルキル基の[[超共役]]は電子供与性であり置換アルキル基が多いものほど水素置換基の酸性度が低下するためと説明付けられている。
 
==E2反応(2(2分子脱離反応)==
'''E2反応'''は2つの分子が反応して片方は付加あるいは置換反応、もう一方が脱離反応を起こす反応機構(協奏的脱離反応)である。この反応は2分子が同時に反応にかかわるために化合物の立体配置が重要となる。また、2分子が同時にかかわるため、速度式は2次となる。
 
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<!--従って、第3級化合物、第2級化合物、第1級化合物の順に起こりやすい。-->
<!--繋がりがおかしい気がするので一応コメントアウト-->
[[画像ファイル:E2 reaction mechanism.PNG|700px]]
 
==関連項目==