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S-N曲線を求めるためには、疲労試験装置に試験片を取り付け、破断するまで繰り返し応力を加えて求められる。
 
鉄鋼系材料であれば、10<sup>6</sup>から10<sup>7</sup>回ほど繰り返したところで、S-N曲線がほぼ横ばいになり、それ以下の応力では何度回数を繰り返しても破断しない応力振幅の限界点が存在する。この時の応力振幅を'''疲労限度'''と呼び、長期間振動に晒されるものの材料を決定する際の目安になる<ref>{{refnest|group="注釈"|対象となる部材の表面処理や傷・切欠き等の有無、温度環境、繰り返し応力の加わり方などによって疲労限度は大きく異なるため、S-N曲線によって得られる実験値をそのまま設計に適用することはまずあり得ない。</ref>}}
 
しかしまた、[[アルミニウム]]や[[黄銅]]、あるいは[[プラスチック]]などは、鉄鋼系材料のような明確な疲労限度を持たず、繰り返し回数を多くするほど破断応力は低下する。このような材料はおおむね10<sup>7</sup>回程度時の破断繰り返し数に対する応力振幅を'''疲労強度'''と呼び、疲労限度と同じような指標としている取り扱う<ref name = "機械工学辞典_1110"/>
 
ただしS-N曲線であらわされる耐久性は、装置上で試験片に、ごく単純な正弦波状の繰り返し応力を加え続けたものであり、材料の形状や温度変化、[[腐食]]など性質の変化、時間的に非連続的な応力がかかることなどは考慮されていない。そのため実際に材料が使われている状況とは違うことを考慮することが必要である<ref>曽山義朗・渡部正気・古市博 『 name = "金属疲労の盲点』 株式会社アイピーシー 1998年1月20日<"/ref>。このような不規則に変動する荷重を評価する方法として、[[レインフロー法]](雨だれ法:[[w:rainflow-counting algorithm]])などのアルゴリズムが提案されている<ref>遠藤達雄・松石正典・光永公一・小林角市 name = "「Rain Flow Method」の提案とその応用』 九州工業大学研究報告 1974年<"/ref>。
 
== 歴史 ==
材料の疲労現象は古くから一部の技術者の間で経験的に知られていたが、19世紀中頃、当時普及しつつあった[[蒸気機関車]]の[[クランク (機械要素)|クランク]]や車軸が突然破損する事故が多発して以降、機械設計技術者に共通の問題としてとらえられるようになり、19世紀後半から20世紀前半にかけて理論と試験方法が整備された。
 
材料に対する「疲労」という用語を最初に用いたのはフランスの[[ジーン・ポンスレー]]である。ジーンは1825年頃から[[メス (フランス)|メス]]の兵学校で、材料の疲労についての講義をしていたといわれる<ref>佐藤建吉 『 name = "絵とき「金属疲労基礎のきそ』 日刊工業新聞社 2008年7月30日<"/ref>。
 
文献記述としては1837年、ドイツのウィルヘルム・アルバートが、[[鉱山]]の鉄製チェーンの疲労に関する実験結果を報告したものが最初である。
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references />
 
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
 
=== 出典 ===
{{Reflist|2|refs=
<ref name = "「Rain Flow Method」の提案とその応用">[[#「Rain Flow Method」の提案とその応用|「「Rain Flow Method」の提案とその応用」]]</ref>
<ref name = "機械工学辞典_1110">[[#機械工学辞典|「機械工学辞典」p.1110]]</ref>
<ref name = "絵とき「金属疲労」基礎のきそ">[[#絵とき「金属疲労」基礎のきそ|「絵とき「金属疲労」基礎のきそ」]]</ref>
<ref name = "金属疲労の盲点">[[#金属疲労の盲点|「金属疲労の盲点」]]</ref>
}}
 
== 参考文献 ==
* {{cite book|和書
|editor=日本機械学会
|title=機械工学辞典
|publisher=丸善
|date=2007-01-20
|edition=2版
|ISBN=978-4-88898-083-8
|ref=機械工学辞典
}}
* {{cite book|和書
|author=佐藤建吉
|title=絵とき「金属疲労」基礎のきそ
|publisher=日刊工業新聞社
|date=2008-07-30
|ISBN=978-4526061035
|ref=絵とき「金属疲労」基礎のきそ
}}
* {{cite book|和書
|author=曽山義朗
|coauthpr=渡部正気、古市博
|title=金属疲労の盲点
|publisher=株式会社アイピーシー
|date=1998-01-20
|ref=金属疲労の盲点
}}
* {{Cite journal | 和書
| author = 遠藤達雄
| coauthor = 松石正典、光永公一、小林角市
| title = 「Rain Flow Method」の提案とその応用
| journal = 九州工業大学研究報告
| year = 1974
| publisher = 九州工業大学
| url = https://ds.lib.kyutech.ac.jp/dspace/bitstream/10228/3927/1/tech28_p33_62.pdf
| format = PDF
| ref = 「Rain Flow Method」の提案とその応用
}}
 
== 外部リンク ==