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'''縦深防御'''(じゅうしんぼうぎょ、{{lang-en|'''defence in depth''', '''elastic defence'''}})は、[[戦闘教義]]の1つである。縦深防御は、攻撃側の前進を防ぐのではなく、前進を遅らそうとすることを目的とする。それにより、時間を稼ぎつつ、攻撃側の前進による占領地域の増加と引き換えに敵の犠牲者を増加させる戦略である。日本語では、'''深層防御'''(しんそうぼうぎょ)と呼ばれることもある。対義語に'''[[水際作戦]]'''がある。
 
この縦深防御の考え方は、非軍事的な[[戦略]]の記述においても広く使われている。この場合、日本語では、階層的防御、[[多層防御]]、多重防御の名前で呼ばれる(英語での表記は同一である)。
 
== 軍事的な意味での縦深防御 ==
従来の防御戦略では、全ての軍事的なリソースを[[前線]]に配置していた。この場合、その前線が攻撃側に破られた場合、残りの防御側の部隊は側面を晒し、包囲され、弱い[[後方連絡線|補給線]]を敵にさらすという危険が存在していた。これに対し、縦深防御では防御側がそのリソースを広く展開する必要がある。例えば、[[要塞]]や[[防御拠点]]、[[部隊]]は、前線とその後方に配置される。攻撃側は、防御が強固でない前線を容易に突破することができるが、前進するたびに抵抗に遭遇する。より奥まで進軍するにつれ攻撃側の側面は弱体化し、その結果、前進は停止し攻撃側は防御側に包囲される危険が生じる。
 
撤退先が既に準備されている防御側は、[[蹂躙攻撃|蹂躙されたり]]側面をさらす危険を避けつつ、前進してくる敵軍に高い犠牲を払わせることが可能である。攻撃側の前進を遅らせることで、攻撃側の奇襲効果を軽減し、防御部隊が防御の準備を行い、更に[[反撃]]を行なう時間を稼ぐことができる。縦深防御は特に、広がった防御線において、攻撃のために局所的に兵力を集中している様な攻撃側に対して効果的である。
 
よく計画された縦深防御では、お互いに支援を行い、適切な役割を果たせるように戦力を展開する。例えば、十分に訓練されていない部隊は、前線における固定防衛戦力として配置され、一方、訓練されており装備が十分な部隊は[[機動予備]]として配置される。連続した防衛線では、異なるテクノロジーや戦術を併用する場合がある。例えば、[[ドラゴン・トゥース]](道路障害物の一種)は[[戦車]]にとって障害となるが、[[歩兵]]にとっては障害とならない。一方、[[有刺鉄線|鉄条網]]はその逆の効果がある。縦深防御は、自然の地形と他の利点を防御側の可能性として最大限に活用することが可能である。