「プロテスタント」の版間の差分

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=== 他教派との相違 ===
当項の冒頭にもあるように「プロテスタント」は諸教派の総体であって、プロテスタント全体の代表者や指導者のような存在([[カトリック教会]]における[[教皇]]や[[正教会]]における[[総主教]])や、プロテスタント全体を統括するような教団連合組織はない<ref>各教派、教団ごとの代表者、代表理事などは、ほとんどの場合存在する</ref>。また、各教派の成立自体も初代統一プロテスタントからの分離・離脱から生じ、複数に別れたといったものではなく、最初期のプロテスタントである[[アナバプテスト]]、[[ルーテル教会|ルター派]]、[[カルヴァン派]]、[[ツヴィングリ派]]などは互いの影響は受けつつも、それぞれ全く別個に成立したもので、最初から統一されたプロテスタントは存在しなかった。それぞれの成立については本項の系統の節参照。
 
対して、カトリック教会はそれに属するすべての教会が中央である[[ローマ教皇庁]]([[バチカン]])に結び付いている。[[正教会]]は基本的には国や地域ごとに教団は複数に分かれているものの、同じ教義・[[奉神礼]]を共有し、相互に[[フル・コミュニオン]]関係を維持する連合体として存在しており、[[イスタンブル]]の[[コンスタンディヌーポリ総主教庁]]を全地総主教庁と呼ぶなど、名誉的にではあるが全正教会の筆頭・総本山的扱いとしている<ref>ローマ教皇庁のような、全教会政治の最高権限を有しているわけではない。</ref>。そういった意味では、カトリックや正教会と同じような意味・用法での「プロテスタント」という名の教派は存在しないのである。
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「プロテスタント」の語は66巻の[[聖書]]を共有するキリスト教について使われており、同じ正典を用いる人々の分派を教派(ディノミネーション)とし、違う正典<ref>この場合の違いは、[[旧約聖書]]に関して、カトリック側が[[七十人訳聖書]]に準拠した[[ラテン語]]訳聖書に依るのに対して、プロテスタント側が[[ユダヤ戦争]]後に正典化された[[ヘブライ語聖書]]を底本とするだけの違いで、前者に含まれる一部の文書が正典化されたヘブライ語聖書から外された[[第二正典]]を旧約聖書に含むか含まないかの違いである。</ref>を用いる分派は[[宗派]]<ref>ただし、日本語の[[宗派]]の語は元来仏教用語であって、キリスト教系で使用する機会は滅多にない。</ref>(セクト)として区別されることがある<ref>[[尾山令仁]]『聖書の教理』[[羊群社]]</ref>。
 
プロテスタントは同じ教派でも[[宗教法人|統括宗教法人#単位宗教法人と包括宗教法人]]としての教団は更に分かれていることも多い。例えば、同じ[[ルーテル教会]]としての教派と自己規定していても、「○○ルーテル教団」「△△ルーテル〜教会」「○○ルター派××教団」といった法人が分かれているケースもあり、さらに法人が別なだけでなく交流すらないケースもある。これは移民や宣教によって成立母体が異なる場合や、教義の解釈によって分裂が起こることに起因する。逆のパターンとしては[[日本基督教団]]などのように、異なる教派同士が一つの超教派教団<ref>日本基督教団は日本の政治的事情により結成された超教派ではあるが、戦後の再編で[[福音派]]とされる系統の教会は所属していない[[メインライン・プロテスタント]]の教団であると認識されている。</ref>に所属している場合もある。
 
また、[[ルーテル教会]]には[[修道院]]制度が僅かながら存在するが、他のプロテスタント諸派には修道院制度が存在しないなど、プロテスタント諸派の間には小さくない差異がある。