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連綿 (会話 | 投稿記録)
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=== 宇宙の膨張 ===
20世紀に入り行われた[[観測]]から、宇宙は[[膨張]]をしていると見なされている。だが過去には様々な考えがあった。[[アイザック・ニュートン]][[絶対時間]][[絶対空間]]の前提から導かれた[[ニュートン力学]]が支持され、人々は宇宙は[[静的]][[定常]]であると見なしていた<ref name=Ara8 />。
 
[[1915年]]に[[アルベルト・アインシュタイン]]が発表した[[一般相対性理論]]では、[[エネルギー]]と[[時空]]の[[曲率]]の間の関係を記述する[[重力場方程式]]([[アインシュタイン方程式]])があった。この方程式が導き出す宇宙の未来は、星々の[[重力]]によって宇宙は[[収縮]]に転じ、やがて一点に潰れるというものだった<ref name=Ara8 />。この解は、アインシュタイン自身や[[ウィレム・ド・ジッター]]、[[アレクサンドル・フリードマン]]、[[ジョルジュ・ルメートル]]らによって導かれた。当初アインシュタインは、宇宙は定常であると考えていたため自分が見つけた解に[[定数]]([[宇宙定数]])を加えることで宇宙が定常になるように式に手直しを加えた<ref name=Ara8 />。
 
[[1929年]]に[[エドウィン・ハッブル]]が、すべての銀河が遠ざかっている事を発見し、さらに[[距離]]が遠い銀河ほど遠ざかる速度が早いことを見出した([[ハッブルの法則]])。この[[観測]]結果から「膨張する宇宙」という概念が生じ、アインシュタインも「人生最大の誤り」と述べ重力場方程式から宇宙定数を外した<ref name=Ara8 />。
 
==== 膨張の中心 ====
無数の銀河がほぼ一様に分布していて、その距離に[[比例]]した[[速度]]で遠ざかっているように見えるが、これはわれわれ[[太陽系]]が宇宙の[[中心]]だからではなく、たとえいずれの銀河から見たとしても、これと同様に見える、という。それは、すべての天体を含む宇宙全体が膨張しているからである、と考えられている(膨張宇宙論)。「[[宇宙原理]]を採用すれば、宇宙には果てがない」と言う。よってこれを信じれば、宇宙膨張の中心は存在しない。銀河の後退速度が[[光速]]に等しくなる距離は、宇宙論的固有距離において地球から約150億光年のところとなる。宇宙年齢に光速をかけた距離とこの距離が近似するのは偶然である。ここまでの距離は[[ハッブル距離]]、あるいは[[ハッブル半径]]と呼ばれるが、これは宇宙の[[地平面]](宇宙の事象の地平面、あるいは粒子的地平面)ではない。[[光速]]を超えて遠ざかる天体は赤方偏移Z=1.6程度の天体と考えられるが、この値を超える天体はすでに1000個程度観測されている。
 
=== 宇宙の誕生 ===