「地球時」の版間の差分

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v→{{E|−10}}(誤記ではなかったらすみません)など。
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1991年、[http://www.iers.org/MainDisp.csl?pid=98-134 第21回総会の勧告4]において、IAUはTDTを再定義し、「地球時」と改称した。TTは、同時にIAUによって定義された{{仮リンク|地心座標時|en|Geocentric Coordinate Time}} (Geocentric Coordinate Time: TCG) によって形式的に定義された。 TTは、TCGの線形尺度であると定義され、TTの単位は[[ジオイド]](平均海面の地表)上におけるSI秒であると定義された。これは、TTとTCGとの間の正確な時間の比率は、実験によって決定されるものとして残された。ジオイド表面における[[重力ポテンシャル]]の実験的決定は、{{仮リンク|物理測地学|en|physical geodesy}}における課題である。
 
2000年にIAUは、TTとTCGの時間の比を正確に 1 − {{val|6.969290134}}v{{E|−10}} とすることにより、TTの定義をほとんどごくわずかに変更した<ref>[http://chiron.mtk.nao.ac.jp/~toshio/iaudiv1/IAU_resolutions/Resol-UAI.htm Resolution B1.9 of the IAU XXIV General Assembly, 2000]</ref>(ジオイド表面で測定した場合、TCGの速度はTTの速度よりもわずかに速い。[[#相対論的関係|相対論的関係]]の節を参照)。
 
== 現在の定義 ==
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* ミリ秒の精度でよい場合、TTは国際原子時(TAI)と同じ時間間隔で進行するとみなせる。TTはTAIよりも早く、TT≒TAI + 32.184秒と近似することができる<ref>IAU conference 1991, Resolution A4, recommendation IV, note 9.</ref>(オフセットの32.184秒は歴史的なものである<ref>原子時間尺度A1(TAIの前身)は、1958年1月1日の従来の開始日にUT2と等しく設定された(L Essen, [http://www.leapsecond.com/history/1968-Metrologia-v4-n4-Essen.pdf "Time Scales"], Metrologia, vol.4 (1968), 161-165, at 163を参照)。そのときの[[ΔT]] (ET-UT)は約32秒であった。オフセットの32.184秒は、「現在の値に連続性を与え、暦表時の使用を実践する」ための、1976年の[[暦表時]](ET)とTAIとの差の推定値である(IAU Commission 4 (Ephemerides), Recommendations to IAU General Assembly 1976, Notes on Recommendation 5, note 2を参照)</ref>)。
*TTはまた、[[GPS]]時間尺度とも同じ時間間隔で進行するとみなせる。GPS時間尺度は国際原子時との一定の差(TAI-GPS時間= +19秒)を有する<ref>{{cite web |url=http://www.ucolick.org/~sla/leapsecs/timescales.html |author=Steve Allen |title=Time Scales |publisher=[[Lick Observatory]] |access-date=2017-08-13}}</ref>。よって、TT ≅ GPS時間 + 51.184秒 と近似できる。
*TTは実質的に以前の[[暦表時]](ET)の続き(ただし均一性がより正確には均一)である。TTはETとの連続性のために設計されており<ref>P K Seidelmann (ed.) (1992), [https://books.google.com/books?id=uJ4JhGJANb4C&pg=PA42 'Explanatory Supplement to the Astronomical Almanac', at p.42]; also IAU Commission 4 (Ephemerides), Recommendations to IAU General Assembly 1976, Notes on Recommendation 5, note 2.</ref>、それ自体がETの秒を使った較正から得られるSI秒の速度で動作する。
*TTは、[[ΔT]] = TT-UT1と呼ばれる量だけ、UT1(グリニッジ平均太陽時を補正したもの)より少し先行している。ΔTは、2015年1月1日の0時(UTC)で+67.6439秒と測定された<ref>[[US Naval Observatory]] ([[USNO]]) data file online at [ftp://maia.usno.navy.mil/ser7/deltat.data ftp://maia.usno.navy.mil/ser7/deltat.data (accessed 27 October 2015)].</ref>。遡及計算では、ΔTは1900年ごろにゼロに近づいていた。差異ΔTは、詳細までは予測不可能だが、増加し続けることが予想され、UT1とTTとのずれは大きくなってゆく。
 
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相対的に動いていて高度が異なる、異なる場所にいる観察者は、[[相対性理論]]によって記述された効果のために、お互いの時間の進み方が違って見える。その結果、TTは(理論上の理想としても)、全ての観察者の[[固有時]]に一致しない。
 
相対論的に言えば、TTは[[ジオイド]](本質的に平均海面)に位置する時計の[[固有時]]として記述される<ref>For example, IAU Commission 4 (Ephemerides), Recommendations to IAU General Assembly 1976, Notes on Recommendation 5, note 1, as well as other sources, indicate the time scale for apparent geocentric ephemerides as a proper time.</ref>。しかし<ref name=guin86>B Guinot (1986), [http://adsabs.harvard.edu/abs/1986CeMec..38..155G "Is the International Atomic Time a Coordinate Time or a Proper Time?"], Celestial Mechanics, 38 (1986), pp.155-161.</ref>、TTは実際には{{仮リンク|座標時|en|Coordinate time}}として定義されるようになった<ref>IAU General Assembly 1991, Resolution A4, Recommendations III and IV, define TCB and TCG as coordinate time scales, and TT as a linear scaling of TCG, hence also a coordinate time.</ref>。再定義はTTを定量的に変更するのではなく、既存の定義をより正確にした。 事実上、それは、無限に高い高度に位置する概念的な観察者と比較して、特定の高さの{{仮リンク|重力による時間の遅れ|en|gravitational time dilation}}に関してジオイド(平均海面水準)を定義した。
 
TTの現在の定義は、地球から無限に離れていて(故に重力による時間の遅れの影響を受けない)、地球に対して静止している概念上の観察者の固有時である、{{仮リンク|地心座標時|en|Geocentric Coordinate Time}}(TCG)の線形尺度である。TCGは主に天文学における理論的目的のために使用されている。地球表面上の観察者の視点から見ると、TCGの秒は、観察者のSI秒よりもわずかに小さい。TTに対する観察者の時計の比較は、観察者の高度に依存する。それらはジオイドで一致し、より高い標高での時計がやや速くなる。