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== 概要 ==
いしいにとって初めての(毎日掲載を前提とした)全国新聞連載作品である<ref>毎日掲載でないものとしては、1986年1月25日から朝日新聞の「ウイークエンド経済」欄(毎週土曜日)に連載した「経済外論」があった。また、地域限定の駅売り新聞として、1980年代の[[夕刊フジ]]には断続的に作品を発表し、一時期は土曜日を除く(日曜は発行なし)毎日連載していた。</ref>。しかし、それまでの雑誌などでの作風を大きく変えることなく作品を執筆しているため、全国紙の新聞連載4コママンガとしては珍しい特徴が見られる(特に『となりの山田くん』初期)。その一つとして、主要キャラクターに[[近畿方言|関西弁]]を話す人物を複数設定したことが挙げられる(後年は脇役に[[岡山弁]]が増えていった)。新聞連載4コママンガとしては、オチが難解なエピソードも散見されるが、それが独特の味を生んでいる。また、有名人に対するあからさまな揶揄や、隠語に近い言葉を登場人物にしゃべらせるといった点もある(例として、以下のようなものがあった)。
* [[内閣総理大臣]]退任からまもない時期の[[海部俊樹]]を「[[英語]]をしゃべらない[[宮澤喜一|宮沢]]さん」とあからさまな形で揶揄した<ref>1992年1月10日付、『となりの山田くん』1巻(東京創元社)、p92</ref>。
* [[角川春樹]]が麻薬取締法違反の容疑で逮捕された時、「クスリなしでも[[ラリる|ラリ]]っとった」というセリフを登場人物(しげ)に言わせた<ref>1993年8月30日付、『となりの山田くん』4巻、p149。なお漫画の中では「あの社長」と記しており、角川の名前は出ていない。</ref>。
* [[渡邉恒雄]]をモデルとするワンマンマンを登場させた。このエピソードの発表時は、[[読売新聞]]側が「特定個人(渡邉)を中傷するような漫画の掲載」を非難する事態になった<ref>[http://web.archive.org/web/20010709012840/http://www.zakzak.co.jp/top-xus/top2001012908.html 読売・渡辺社長にケンカ売った?漫画]、サンケイスポーツ、2001年1月29日。([[インターネットアーカイブ]]のミラー)。この事情のゆえかは不明であるが、「ワンマンマン」頃のエピソードは発表から1年以上経ってようやく単行本が発売された。その後特に表面化した抗議などはなく、ワンマンンマンは2010年代にも登場。近年はわがままなサンタクロース役が恒例化している</ref>。
 
登場人物の言動も、従来の朝日新聞的良識を大きく逸脱していた<ref>「ボケ、カス、アホンダラー」といったセリフを女性や子供も用い(1857回の3小3年3組、2457回、3395回のまつ子、5561回のしげなどなど)、主人公のの子も興が乗ると関西弁や岡山弁を口真似するだけでなく、時折兄を呼び捨てにしたり「どこに目えつけとんじゃい、このタコヤキ頭のスットコドッコイ」(1268回)「ションベンくさいガキがほざくんじゃないよ」(5781回)などと口にする。のの子の担任藤原先生が抜き打ちテストなどで生徒から浴びるブーイングには「何を言い出すんだひとみ」「さっさとヨメにいけー」といった声が混ざる。藤原先生自身も、自習を連発して読書や居眠りにふけり、隠れタバコや校内飲酒すら辞さず、毎夏のプール監視では生徒を一顧だにしていないが、特に2251回ではヘッドフォンを掛けて宇宙戦争の勃発と終焉に気づかないままで、もはや新聞読者の抗議とか苦情を受けるレベルを遥か超越してしまった。</ref>。日常漫画でありながら、SFやファンタジー的な要素も折り込まれており、山田家には何人かの妖怪が住み着いていて、ごくたまに当たり前のような顔をして出てくる。
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: 主人公。小学3年生。たまのの市立第3小学校の3年3組に在籍している。いつも多くの友人達と遊ぶ活発な一面がある一方で、母親譲りの怠け癖で、「やるべきこと」(勉強や部屋の掃除など)をやるのは大の苦手。
: そのため成績はクラスでビリ争いで、テストで3回に1回は0点を取るほど。特に算数が、超の付く苦手。
: それでいて、生来のグータラとお気楽な性格ゆえに「努力する」どころか「努力しようという意志」すら実質皆無<ref>連載開始以来、努力しようとしたのはたったの2度。第7076回と第7109回のみ。</ref>。ただしこのような態度は周辺のクラスメイトにもそのまま当てはまることであり、作中でとりわけ劣等生として描写されているわけではない。
: 食い意地が張っており、その小さな身体からは信じられないほどの大食い。しかもおいしいものばかり食べたがるので、まつ子によく止められてしまう。兄のぼるの夜食などを勝手に盗み食いすることも多い。
: 家族で大型スーパーに行った際に、大騒ぎでいたため、のの子を置いて帰ってしまったことがある。その際、のの子は店の中にあるベンチで寝ていた。
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: グータラ揃いの山田家でも一番の怠け者で、「やらねばならないことがあること」そのもの、「やらねばならないことが増えること」そのものが、重度の精神的苦痛らしい。逆に、「やらねばならなかったはずのことをやらずに済む」と大喜びする。
: のの子同様「努力する」どころか「努力しようという意志」すら実質皆無。たまに主婦・母親らしい気遣いをすることもあるが、大抵間が悪く無意味なものになってしまう。
: ただし見栄っ張りではなく、金銭に関してはだらしなくないので、家計が苦しくなることは無い。夫が風邪を引いた際には「たまには休みなはれ。会社が何してくれるわけじゃなし」と休むことに後ろめたさを感じる夫を優しく諭したり、近所の暴走族を注意しに行った夫を心配し、母親と共に鍋やおたまを持って踊って気を引くなど身を呈している。普段は怒鳴っているが子供たちが心配をかけると怒るのではなく、泣いてしまう。
: パートもしているが、潰れそうな工場の事務で、お菓子を食べたり、借金取り立てと長電話している。
: 趣味は模様替え(時には庭の模様替えまでする)と、のの子が所有するテレビゲーム。関西出身で、母・しげ同様[[近畿方言|関西弁]]が抜けない。名前の漢字表記は“松子”。
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; 山田のぼる
: となりのやまだ君時代の主人公で、のの子の兄。平凡な中学2年生(部活の後輩が登場するまでは1年生。『となりのやまだ君』時代は2年B組で、修学旅行にも行っている)。母親と妹のグータラと大食いのせいで、年中迷惑をこうむっている。
: 反抗期の年頃だが、特に反抗する様子はない。むしろ、おばあさんや両親(特に父)の言うことをきちんと聞き、妹とも仲がい。兄らしく、のの子のワガママな態度も嫌がりながらも付き合っている。家族の中で父と同じく常識人。一度、父と喧嘩したことがあるが、内容は「ねこまんまは味噌汁をかけるか、ご飯を入れるか」であり、怒鳴り合いではなく「お言葉ですが父上」と冷静口調だった(のぼるがねこまんまをしたため、まつ子が下品だと注意したが、父は食べ方が違うと注意したのが発端)。
: 人気者というわけではないが、友達は多い。女の子の友達もいる。口調は柔らかで、人の事は「お前」とは妹にですら呼んだりしない。好きな子がいるのか、自宅に電話がかかってきてデレデレしていた。キクチ食堂の娘は腐れ縁。
: 得意教科は社会だけで特に数学が苦手。妹と違って「努力しようという意志」はあるが、なかなか行動に結びつかず、当然ながら成果もあがらない。テストの成績はいつも平均点か平均以下であり(学年200人中165番、500人中250番など)、テストが終わると後悔して勉強するタイプ。また、『やまだ君』時代は概ね低成績ながらも好不調の差が激しい(成績推移が「マグニチュード7.5」と言われたり、年に一度社会科で最高点を取るなど)という設定もあった。落ちこぼれでもなく、不良でもなく、優等生でもないため、教師や親も褒めるべきか叱るべきか頭を抱えている。
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: 友人の山下・田中と同じく野球部所属。非常に弱く、サッカー部とコート争いをし、野球で対決して負けたほど。ポジションは外野手(ライト)で三振かホームランというタイプ。家族が試合の応援に来るのを嫌がる。
; 山野しげ
: 祖母(まつ子の母)。70歳(アニメ版では68歳)。活動的だがひねくれもののハードボイルド婆さん。さすがに娘や孫娘よりは勤勉だが、<!--『人並み以上の幸福を得ていた人間がそれを失う』のを見て心底喜ぶ、-->陰湿な一面も。怖いもの知らずで墓石の上に腰掛けたり、金属バットとスパナを持って暴走族を注意しに行くなどの行動をとる。「この桜もあと何年見られるやろな…あと30年くらいやろか」と言っていたことから、100歳までは生きるつもりである。のぼるにテキトーな発言をしてあきれられている。相撲は[[貴乃花光司|貴乃花]]、野球は巨人ファンで、シーズンにはアンチ巨人のたかしと言い争う。[[1998 FIFAワールドカップ|FIFAワールドカップ フランス大会]]では[[サッカーイタリア代表|イタリア代表]]を応援していた。山田家の土地(埋立地)の所有者。『となりのやまだ君』初期は現在より少し意地悪に描かれている。気紛れに[[ビーフストロガノフ]]の調理を試みることがあるが、これまで成功したためしはない(それ以前にこの単語をろくに言えない)。関西出身で関西弁を話す。いしいによると、キャラクターのモデルは、石炭ブローカーを営んだ母方の祖父<ref>『[総特集]いしいひさいち』p115</ref>。
; ポチ
: 山田家で飼われている犬(ポチ本人は自分を山田家の隣人と思っている)。好物は[[はんぺん]]、[[煮干]]。シッポは振らない、散歩は嫌い、呼んでも聞こえないフリをするなど非常に無愛想で飼い犬らしからぬ性格。「フン」という、人を見下した表情をするがこの性格はしげに似たといわれている。犬小屋には常に頭から入っていて、冬は勝手に家の中に入ってきてコタツの中にもぐりこむ。たかしがお手をしたら、隠していた骨を渡した。近所のノラ猫・ドスコイにエサを食われたり小屋を乗っ取られ、吠えることもない(見知らぬ人には普段どおり無愛想か挨拶をしだす)が、たまにのぼるに噛み付く。クーラーの外気孔で暑くなっても文句を言わなかったが、機嫌は悪かった。頻繁に放浪し、近所でも可愛かわいがられているが、飼い主との散歩は嫌がる。餌は山田家より両隣の家からもらうことが多く、食事を与えているまつ子と、ほぼ同じものを食べさせられているたかしを怒らせる。『となりのやまだ君』では子犬の頃に捨てられていたのを当時小学生ののぼるに拾われたという設定だったが、後に子犬の頃に山田家にもらわれた設定に変更された(『フン!』徳間書店)。なお、となりのやまだ君時代に一時的に名前が「光秀」になったことがある。
: モデルは作者自身が飼っていた「チョビ」という雑種犬および黒猫の「クロ」の合成である<ref>『[総特集]いしいひさいち』p124</ref>。チョビは19歳、クロは17歳といずれも長寿であった。
 
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: 酒好きで二日酔いで学校へ来ることも多く、その自堕落ぶりは、生徒たちから「馬鹿にされる」のを通り越して、「逆に心配されてしまう」ほどだが、本人は気にする様子も無い。『となりのやまだ君』では久保くんに男関係の乱れを指摘されることが多かった。
: 推理小説の執筆や読書が趣味。山田家の近所に住む。結婚はおろか恋人もいないため、よく母からお見合いを勧められている。『女(わたし)には向かない職業』では「7年後」の小説家に転身した姿や高校時代が書かれている(ただし、この種の漫画の常として『ののちゃん』の中では毎年のの子たちは3年生になり、毎年藤原先生が担任になるのを10年以上繰り返している)。
: 父親が鉱山技師だったので中学3年までアルゼンチンに住んでいた。高校時代はソフトボール部に所属。下着をつけずに登校したり、部活動日誌に推理小説を書くなど突拍子もない行動が多かったが、反省文を名文にしたりするなど文才は突出しており、成績もとても優秀であった。停学を経験したことがある。
: 基本的に生徒には敬語で話すが、「いーじゃん別に」などタメ口の場合もある。
: 同級生には、学生のころから「藤原先生」というあだ名で呼ばれていた。
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: のぼるのクラスの担任。社会科担当であだ名は熊。美術部顧問を務める傍ら野球部の顧問も兼任している。キャラクターは『バイトくん』の田辺留年の流用。
; 崇禅寺(そうぜんじ)キャプテン
: ポジションはキャッチャー。神徳山梵苦楽寺の住職の子。広島弁風の言葉をしゃべる。後輩には優しいが大雑把。<!-- 2年生(2008年の設定変更以降は3年生?)。 -->
; 柴島(クニジマ)センパイ
: のぼるの野球部の先輩。ポジションはショート。本来は2年生であるが、留年したためのぼるのクラスメートとなる(2008年の設定変更以降は、のぼる達と共に2年生として描かれる)。平気で盗みをしたり、煙草を吸うなど素行は悪いが、のぼるやのぼるの友人にはわりと慕われているようである。柴島工業社長の孫息子で跡取り。時折会社の手伝いをさせられている描写が見られる。キャラクターは[[元木大介]]を流用。野球部メンバーの多くの名前は作者が大学生活を送った阪急千里線、京都線の駅名から採られており、この特殊な読み方はそのためである。
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: 吉川ロカの友人で、のぼるの野球部の先輩である柴島センパイの姉。ロカの歌手活動を応援するため、マネージャーのような活動をしている。誰に対しても物怖じしない強気な性格。高校を二年ダブっている。名前の「美乃」は[[乃美宗勝]]からの「こじつけ」、容貌は[[畑中純]]の『[[まんだら屋の良太]]』のヒロイン・秋川月子の「パクリの失敗」とのこと<ref>『[総特集]いしいひさいち』p117</ref>。
; さっちゃん(さちこ)
: 義男の孫娘で、いつもしかめっ面をしている幼女(これまで2度、笑顔を見せた回がある)。ポチの尻尾を引っ張って遊ぶのが大好きで(ポチの尻尾を引っ張れなくて、泣いてしまった回がある)、当然ポチからは極度に嫌われている。周囲の者からはたびたび注意されているものの、一向にやめる気配は無い。<!--まつ子、義男、のの子から注意を受けている(『ののちゃん』#793、910、2519、2937、『フン!』P.102「かみます」)が、幼いさっちゃんはまだ判断能力が未熟であり、かつ義男、まつ子にとっても身内とはいえ「人様の子」であることには変わりないため厳しく注意することは立場上難しいと思われる。また、さっちゃんの両親が山田家をねることは少なく、娘の山田家での行動は把握していないと思われる。-->ポチから直接噛まれることは無いが、たまに間接的な報復を受けている。
: 両親は仕事(どんぐりパン)で家を空けるため、昼は同居している祖父(義雄)が面倒を見ている。『となりのやまだ君』ほか多くの作品では田淵コースケの娘として登場。
; ワンマンマン
: 町内会長のもう一つの顔。マントを翻して空を飛ぶが、行動パターンは町内会長の時とほとんど変わらず、あまり助けにならない。「バカヤロ!」が決め台詞ゼリフ
; もったいないオバケ
: 食事を残したりこぼしたり、ビールをティッシュで拭くと「もったいないもったいない」の台詞セリフと共に現れる。「も」の字の地紋の着物を着ている。主に山田家に出現。
; ゴキブリ
: [[ヘルメット (ドイツ軍)|フリッツヘルメット]]を着用したドイツ軍人風ゴキブリ。山田家の食材を狙っているが中々成功しない。大抵は3匹で行動し、名前が分かっているのは「ハンス」「フランツ」「フェリックス」「隊長」。害虫に敏感なしげとまつ子に比べ、たかしからは無視されることが多い。初期は『となりのやまだ君』と同じく普通のゴキブリとして登場していた。
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: 競輪場の北にある山。/第3小学校の裏山。よくのの子達や3バカの秘密基地を作って遊んでいる。山田家や近所の年寄りが墓参りに出かける霊園がある。たかしが会社のことで悩んだ時に車で出かける場所の1つ。名前通り昔、城があったらしい。
; 日の出海岸/石投海岸
: たかしが会社のことで悩むたび、まつ子を付き合わせて車で出かける海岸。あまり人がおらず石を投げるのに最適。
; でたとこ岬
: 石投海岸から東へ続く岬。
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* ののちゃん(コミックス) - [[双葉社]](元は[[チャンネルゼロ]])刊。全10巻完結。「ののちゃん」初の単行本。1997年4月から2001年3月まで朝日新聞に掲載された作品を中心に収録。一部書き下ろし作品が見られるが収録漏れになった作品も存在する。
* ののちゃん(文庫本) - 東京創元社刊。全12巻(以下続刊)。朝日新聞に掲載された「ののちゃん」全作品を半年分ごとに1冊にまとめたもの。各作品のページ下には掲載年月日を付記。巻末には4コマ漫画『シャーロック・ホームズの事件簿』を約10ページ程度収録。
* ののちゃん全集 - 徳間書店刊。既刊10巻(以下続刊)。朝日新聞に掲載された「ののちゃん」全作品を約22か月(7巻のみ休載の都合で20か月弱、8巻以降は24か月)ごとに一冊にまとめた作品集。巻末には1ページから24ページの漫画(『ののちゃん番外地』『ゲームセット』『34の瞳・女には向かない職業』他)を収録。それまでチャンネル・ゼロ、双葉社や東京創元社から刊行されていた収録分も吸収した完全収録シリーズである。いしいはこの連載まで、連載を完全収録で単行本化することをほとんど行っておらず、同一キャラクターや世界観で単行本をまとめることも基本的に好んでいなかった。
* となりのののちゃん - 東京創元社刊。[[小川博司 (アニメーター)|おがわひろし]](アニメ版キャラクターデザイン担当)と共著。単行本初収録作品や映画化記者会見で配った小冊子の掲載作品などを収録。『ののちゃん』の世界観について紹介する意味合いが強い。テレビアニメ版『ののちゃん』の設定資料やフィルムコミックも掲載。
* ののちゃんのとなり - 東京創元社刊。『となりのののちゃん』を加筆・修正し文庫化したもの。テレビアニメ関連のページや『ののちゃん』と無関係の作品は割愛されている。