「シクロヘキサンの立体配座」の版間の差分

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シクロヘキサン環に沿った炭素-炭素結合はsp<sup>3</sup>[[混成軌道]]([[正四面体]]型の対称性を持つ)からなるσ結合である。したがって、{{仮リンク|4価|en|Tetravalence}}の炭素原子の結合間の角度は最適な値 ''θ'' ≈ 109.5° を持つ。この結合はまた、かなり固定された[[結合長]]''λ''も持つ。一方で、隣合う炭素原子は結合の軸を中心に自由に回転できる。したがって、結合長と結合角が理想的な値に近くなるようにねじれた環は、結合角が120º (正六角形)の平らな環よりも[[ひずみエネルギー]]が小さい。炭素環の個々の立体配座について、12本の炭素-水素結合の方向(したがって水素結合の位置)は固定される。
 
全ての内角が''θ''に等しく、全ての辺が''λ''に等しく、6つの区別される角を持つねじれた[[多角形]]は厳密に8種類存在する。それらは、2つの理想的な'''いす形配座'''と86つの理想的な'''舟形配座'''である。いす形は平均環平面の上下に炭素が交互に位置しており、舟形は平均環平面の上に2つの向かい合った炭素が、その他4つが下に位置している。理論では、これらの環配座のいずれかを持つ分子は[[環ひずみ]]がない。しかしながら、水素原子間の相互作用によって、実際の「いす」形の角度と結合長は名目の値とわずかに異なっている。同じ理由で、実際の「舟」形はいす形よりもわずかに高いエネルギーを持つ。実際、「舟」形は不安定であり、全エネルギーの[[極値|極小点]]である'''ねじれ舟形'''へと自発的に変形する。それぞれの安定な環配座は環を壊すことなく他の配座へと移ることができる。しかしながら、そういった変形は環がひずんだ状態を経由しなければならない。具体的には、4つの連続した炭素原子が同一平面上に位置する不安定な状態を経由する必要がある。これらの形状は'''半いす形'''配座と呼ばれる。
 
== 歴史的背景 ==