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'''求核剤'''(きゅうかくざい、nucleophile)とは、電子密度が低い原子(主に炭素)へ反応し、多くの場合結合を作る[[化学種]]のことである。広義では、[[求電子剤]]と反応する化学種を求核剤と見なす。求核剤が関与する反応はその反応様式により[[求核置換反応]]あるいは[[求核付加反応]]などと呼称される。求核剤は、反応機構を図示する際に英語名の頭文字をとりしばしば '''Nu '''と略記される。
 
求核剤として反応性の高い化学種のほとんどは[[孤立電子対]]を持つ。[[アニオン]]であることも多い。例として、各種[[カルバニオン]]、[[アミン]]またはその共役塩基(アミド)、[[アルコール]]またはその共役塩基(アルコキシド)、[[ハロゲン化物イオン]]など、多数が挙げられる。
一方、求核剤が攻撃対象とする炭素原子(反応中心炭素)の多くは、[[電気陰性度]]が高い原子(酸素、ハロゲンなど)に隣接するなどの理由によりその電子密度が低下している。例として、[[カルボニル基]]、[[ハロゲン化アルキル]]、[[シアノ基]] などの炭素原子が挙げられる。これらは、後述する[[有機金属]]試薬を求核剤として作用させると、反応して炭素-炭素結合を作る。カルボニル基を攻撃する求核剤を'''ハード求核剤'''、飽和した炭素を攻撃するものを'''ソフト求核剤'''という。
 
求核的反応において孤立電子対の授受に着目すると、求核剤は[[ルイス塩基]]として、反応中心炭素は[[ルイス酸]]と見なすことができる。
<!--有機電子反応論的には、ルイス塩基がより弱い共役酸となる、酸塩基平衡の考え方で説明されるが、すべて場合においての求核反応の選択性を説明しきれない。-->
 
求核的反応は、[[溶媒効果]]、[[隣接基効果]]、あるいは[[立体効果]]([[立体障害]])などの影響を受けることがある。溶媒効果は求核種の反応性に影響を与える。隣接基効果や立体効果は、反応速度や、生成物の選択性に影響する。また、求核的反応の反応性を評価、予測する経験則として、[[HSAB則]]、[[ハメット則]]が知られる。[[有機電子論]]の項目も参照されたい。
 
[[グリニャール試薬]]や[[有機リチウム]]化合物を代表とする各種有機金属試薬は、多様な基質に対し高い反応性を示すことから、[[有機合成]]法上、炭素-炭素結合を得たいときに用いられる重要な求核剤である。特に[[立体特異的]]な求核置換反応(S(S<sub>N</sub>2反応)や求核付加反応は選択的立体制御を可能にすることから不斉合成において多用される。
 
== 関連項目 ==