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{{otheruses|函数の極大・極小|順序論|{{ill2|極大元と極小元|en|Maximal and minimal elements}}}}
[[数学]]において、[[関数 (数学)|関数]]の局所的な(つまり、ある点の[[近傍]]における)[[最大値]]または[[最小値]]のことをそれぞれ'''極大値'''(きょくだいち、''maximal'', ''local maximum'')、'''極小値'''(きょくしょうち、''minimal'', ''local minimum'')といい、これらを併せて'''極値'''(きょくち)と総称する。
[[数学]]の[[初等解析学]]における'''極値'''(きょくち、{{lang-en-short|''extremum''}}{{efn2|複数形は "extrema"}})は、適当な領域における[[関数 (数学)|関数]](一般には、[[多変数函数|多変数]]や[[汎函数]]<ref>{{ProofWiki|urlname=Definition:Extremum/Functional|title=Definition:Extremum/Functional}}</ref>となり得る)の値の(通常の大小関係に対する、順序論的な意味での)[[最大元]] (maximum) と[[最小元]] (minimum) を総称するものである。
 
与えられた函数 {{mvar|f}} の、とりうる最も大きな値を[[最大値]]、とりうる最も小さな値を[[最小値]]と呼び、それらを総称してその函数 {{mvar|f}} の'''大域的'''(あるいは'''全域的''')'''極値''' (''global extremum'') という(そのような値が無いこともある)。{{mvar|f}} の[[定義域]]における適当な[[開集合]] {{mvar|U}} への[[制限 (数学)|制限]] {{mvar|f{{!}}{{sub|U}}}} が最大値(resp. 最小値)をとるとき、その最大値(resp. 最小値)を {{mvar|f}} の'''極大値''' (''maximal value'')(resp. '''極小値''' (''minimal value''))と呼ぶ。局所的に(つまり {{mvar|U}} の中だけで)定まるという意味で、極大値のことを局所的最大値 (''local maximum''), 極小値のことを局所的最小値 (''local minimum'') と呼び、'''局所的極値''' (''local extremum'') あるいは単に'''極値''' (''extremal value'') と総称する。
極値は局所的な概念であるため、ある点で極値をとってもその点が全域的な最大・最小値を取るとは限らないが、極値自体が適当な[[区間 (数学)|区間]]における最大・最小値の候補と考えることができるため、関数の振る舞いを知る上で重要である。極値を調べる方法としては、[[微分]]を利用することで極値をとるための必要条件を求めることができる。
 
[[極値定理]]によれば、[[コンパクト空間|コンパクト]][[領域 (解析学)|領域]]上定義された[[連続函数]]は必ず大域的極値を持つ。また{{ill2|停留点に関するフェルマーの定理|en|Fermat's theorem (stationary points)}}は、開領域上定義された[[可微分函数]]が極値をとるならば、極値点において必ず[[微分係数]]が消えていなければならないことを述べる。したがって大雑把には、コンパクト領域上の連続函数の最大値は、境界上の点・微分可能でない点・微分係数が消えている点における値を求めることに帰着される。
 
[[数理最適化|最適化理論]]において最大値や最小値を求めることは重要な目的である。汎函数の最大化・最小化には[[変分法]]が用いられる。
 
== 定義 ==
''f''(''x'') を'''R'''<sup>''n''</sup> の部分集合 ''A'' で定義された(つまり ''n'' 変数の)実数値関数とする。''x''<sub>0</sub> のある ε-近傍が ''A'' に含まれ、''f''(''x''<sub>0</sub>) がその近傍に属する任意の点 ''x'' に対して ''f''(''x''<sub>0</sub>) ≥ ''f''(''x'') を満たすとき、''f''(''x'') は ''x''<sub>0</sub> において'''極大'''になるといい、''f''(''x''<sub>0</sub>) を'''極大値'''という。同様に定義域に含まれる ''x''<sub>0</sub> のある ε-近傍で、その近傍に含まれる任意の点 ''x'' に対して ''f''(''x''<sub>0</sub>) ≤ ''f''(''x'') が成り立つとき、''f''(''x''<sub>0</sub>) を'''極小値'''といい、''f''(''x'') は ''x''<sub>0</sub> において'''極小'''になるといわれる。極小値または極大値をとることを'''極値'''をとるといい、極値をとる点のことを'''極値点'''という。<ref>{{SpringerEOM|urlname=Maximum_and_minimum_points|title=Maximum and minimum points|first=L.D. |last=Kudryavtsev}}</ref>
 
上の定義において、≥ を &gt; に、≤ を &lt; に置き換えたものをそれぞれ''狭義の極大''、''狭義の極小''と呼ぶこともある。例えば定数値関数はその定義域の内点ではすべて極値をとるが、それらは狭義の極大・極小ではない。
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しかし、すべての停留点において {{mvar|f}} が極値をとるわけではなく、停留点の条件は必要であっても十分ではない。たとえば一変数の例として、{{math|1=''f''(''x'') = ''x''<sup>3</sup>}} は {{math|1=''x'' = 0}} において微分が {{math|0}} になるが、この点では極値を取らず、区間全体でこの関数は[[単調増加]]である。その場合、一変数ならば高次の微分の正負を調べることで極値を取るかどうかを判断できる。しかし、多変数関数ではこの問題は複雑になる。ある停留点を持つ関数について、その関数が停留点において極値ないし[[最大値]](最小値)をとるかどうかを調べるには、また特別な手段が必要である。
* [[ヘッセ行列]]
 
極値をとらない臨界点は[[鞍点]]であると言う。
 
== 例 ==
* ''y'' = ''x''<sup>3</sup> は極値を持たない関数である。{{math|''x'' {{=}} 0}} はこの函数のグラフの[[変曲点]]になる。
* [[二次関数]]は、その二次の[[係数]]が正ならば、全区間(数直線の全体)でただ一つの極小値を持ち、それは最小値と一致する。同様に二次の係数が負のときにはただ一つの極大値をもち、それは最大値となる。
 
== 注 ==
=== 注釈 ===
{{notelist2}}
=== 出典 ===
{{reflist}}
 
== 関連項目 ==
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* [[距離空間]](ε-近傍)
 
== 外部リンク ==
{{DEFAULTSORT:きよくち}}
* {{MathWorld|urlname=Extremum|title=Extremum}}
* {{PlanetMath|urlname=extremum|title=extremum}}
* {{SpringerEOM|urlname=Extremum|title=Extremum|first=A.B.|last=Ivanov}}
* {{nlab|urlname=extremum|title=extremum}}
* {{ProofWiki|urlname=Definition:Extremum|title=Definition:Extremum}}
 
{{DEFAULTSORT:きよくち}}
[[Category:解析学]]
[[Category:数学に関する記事]]