「子供向けアニメ」の版間の差分

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一方で女児向けの作品は変動が激しい。たとえば2000年代以降の作品は1990年代までとは打って変わって<ref group="注">小中学生向け少女漫画雑誌の『なかよし』と『りぼん』に掲載された原作を起用することが多かった1990年代初頭から2000年代前半までの作品は、アニメ版においても公式の対象年齢の設定で原作漫画の読者でもある女子中学生を含めていた作品が多く、2000年代後半でも『[[しゅごキャラ!]]』シリーズが該当した。</ref>、全体的に小学校中学年以下といった低年齢層向けに留まる作品が多く、近年は中学生以上の年齢層をターゲットに含めている作品は『[[ちびまる子ちゃん]]』のようにファミリー層にも受け入れられたり、『[[スティッチ! 〜いたずらエイリアンの大冒険〜]]』や『おねがいマイメロディ』シリーズのように[[ティーン]]層においてもキャラクター自体の人気が高い作品や、『[[カードキャプターさくら クリアカード編]]』といった1990年代に放送された作品の続編、「[[大きなお友達]]」<ref group="注">子供向けアニメのコアなファンである[[中高生]]や成人の男女のことを指す。『カードキャプターさくら』や『プリキュア』の第一シリーズに当たる『[[ふたりはプリキュア]]』・『ふたりはプリキュアMax Heart』などでは公式的に青年男性(いわゆる「大きなお友達」)がターゲットに含められていた。『プリキュア』は第二シリーズの『[[ふたりはプリキュア Splash Star]]』以降でターゲットから青年男性が外されたが、明らかに大人向けとされる15歳以上を対象年齢としたフィギュアや大人用Tシャツなどの商品は、最新作の『[[HUGっと!プリキュア]]』に至るまでシリーズ全作品において発売されている。一方で『[[おジャ魔女どれみ]]』シリーズは元々は従来の同社が制作した少女向けアニメより低年齢層向けに制作されたこともあり、TVシリーズではターゲットに成人は含まれていなかったが、長期に亘って放映される過程で成年男女のファンを獲得し、最終作のOVAシリーズに当たる『おジャ魔女どれみ ナ・イ・ショ』では「大きなお友達」の嗜好を明確に意識し、青年男性もターゲットに含められ、講談社からライトノベルで発売された『おジャ魔女どれみ16、17、18、19』でもメインターゲットにしている。また放送終了後に発売されたフィギュアなどの一部商品に15歳以上を対象年齢にしたものがある。</ref>絡みや、1980年代から1990年代にかけてヒットした『なかよし』・『りぼん』で連載された漫画をアニメ化した一部作品の女性向け商品<ref group="注">バンダイから『[[魔法の天使クリィミーマミ]]』、『美少女戦士セーラームーン』、『[[ママレード・ボーイ]]』、『カードキャプターさくら』で20代から40代の成人女性をターゲットにした化粧品、玩具商品の復刻版、フィギュアなどが発売されている。それに加えて『[[姫ちゃんのリボン]]』、『赤ずきんチャチャ』、『[[こどものおもちゃ]]』などでも[[ガシャポン]]用のプライズ商品が発売されている。</ref>を除けば稀である。特に『プリキュアシリーズ』などといった[[戦闘美少女|バトルヒロイン]]系は男児向けの特撮ドラマと同様、幼稚園・保育園の卒園(=小学校の入学)から小学校3年生への進級までの間に多くの女児はそのアニメ作品も"卒業"する傾向にある<ref>[http://www.bandai.co.jp/kodomo/latestdata.html バンダイこどもアンケート]</ref><ref group="注">2009年度の『[[フレッシュプリキュア!]]』及び、2010年度の『[[ハートキャッチプリキュア!]]』ではその現状を省みて小学生以上にも呼応させるために内容面を一新する試みを行い、前者は恋愛要素、後者は登場キャラクターの生死の要素が積極的に入れられたが({{Cite news|newspaper=東京新聞|date=2009-02-13|url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2009021302000056.html|title=『セーラームーン』上回る6作目 テレ朝アニメ『プリキュア』 ブランド+新キャラが強み|archiveurl=http://megalodon.jp/2009-0215-1214-21/www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2009021302000056.html|archivedate=2009年2月15日}})、前者の恋愛要素は主に未就学児(幼稚園・保育園児)の保護者などから批判を受ける格好となり、2011年度の『[[スイートプリキュア♪]]』から2013年度の『[[ドキドキ!プリキュア]]』においては最も視聴者人口が多い未就学児により適した内容となり、恋愛要素や生死の要素などはほとんど取り入れられなくなった([http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20111104/E1320333190289.html?_p=2 中学生がベストな年齢〈映画「スイートプリキュア♪」制作者インタビュー3梅澤淳稔プロデューサー後編〉])。ただし、2014年度の『[[ハピネスチャージプリキュア!]]』以降では恋愛要素のみ復活した。</ref>。
 
未就学児向けの売れ筋は『プリキュアシリーズ』が寡占している状況にあるためか、そのグッズを購買しなくなりがちな年代に当たる小学校低学年・中学年向けでの競争が著しく、近年は[[タカラトミー]]がメインスポンサーを務める『きらりん☆レボリューション』、『[[プリティーリズム]]シリーズ』及び『プリパラシリーズ』などの成功を受けてアイドル系の作品が多くなっている。またバンダイがメインスポンサーを務めるアニメにおいても2012年秋以降は小学生低学年や中学年の女児を対象とした作品は『アイカツ!シリーズ』<ref>[http://bandai.hs.llnwd.net/e1/corp/press/1000001212.pdf バンダイ - 『データカードダス アイカツ!』2012年10月より稼働(PDF)]</ref>が主力となり、以前からある『プリキュアシリーズ』や2015年以降に登場した『[[ヒミツのここたま|ここたま]]シリーズ』は未就学児をメインターゲットにすることで、また『プリキュアシリーズ』と『ヒミツのここたま』ではジャンルを完全に分けることで住み分けが図られている<ref group="注">『プリキュアシリーズ』は人間キャラクター中心の[[魔法少女アニメ|変身ヒロイン]]、『ヒミツのここたま』は小動物キャラクター中心のファンタジーコメディと全く性質が異なる。</ref>。
 
== 乳幼児・幼児向けの特徴==
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1 - 5歳児向けの作品では、幼児に人気の高い[[キャラクター]]などを主人公に、幼児でもわかりやすいストーリーの中に社会のルールやモラルなどをわかりやすく織り交ぜて「しつけ効果」をねらった作品が多くみられ、幼年層に親しみやすい、[[擬人観|擬人化]]された[[動物]]や物が登場する作品が多い。テレビアニメの『[[それいけ!アンパンマン]]』・『[[しましまとらのしまじろう]]』及び、実写パートとアニメパートを織り交ぜた幼児向けテレビ番組『[[おかあさんといっしょ]]』がその代表例である。いずれの作品も男児と女児向けの区別はない。
 
3歳児 - 小学低学年向けの作品では、視聴者層にとって大人より身近な年齢である小学生(中高学年)もしくは中学生の子供に設定された人間(特撮ドラマは若年男性や女性)、または同等の精神年齢に設定された動物やロボットなどが主人公とされ、ストーリーの方向性において[[勧善懲悪]]が徹底され、作品中に「しつけ効果」を織り交ぜている。この層では類型的な男女別の嗜好を好むため、『[[ドラえもん (2005年のテレビアニメ)|ドラえもん]]』や『[[とっとこハム太郎 (アニメ)|とっとこハム太郎]]シリーズ』のように両性に支持される作品もあるが、男児向け、女児向けの区別がはっきりと分かれる作品が多く、女児向けアニメでは『プリキュアシリーズ』、『[[たまごっち!]]』→『ヒミツのここたまシリーズ』や『ジュエルペットシリーズ』→『[[リルリルフェアリル]]シリーズ』などが挙げられる(詳細は[[子供向けアニメ#女児向けの特徴|後述]])。近年の男児向けアニメは対象年齢が小学生以上の作品が多く、この層を担う作品が少ないが、『[[スーパー戦隊シリーズ]]』や『[[仮面ライダーシリーズ|平成仮面ライダーシリーズ]]』などの幼稚園児に支持されやすい[[特撮]][[ドラマ]]が類似した役割を担っている。
 
幼年向け知育・教育用ビデオにも、アニメの人気キャラクターを登場させたり、[[OVA|オリジナルアニメ]](例:イソップ物語など)による作品なども数多く市販されている。
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=== 男児向けの現状 ===
1960年代から1970年代においては、このジャンルに含まれる[[ロボットアニメ]]などの作品群(実写の[[特撮]]作品も含む)は、漫画原作作品(コミカライズ含む)が主流であり、想定視聴者である小学校低・中学年間での男児のみならず、小学校高学年及び、中学生にまで親しまれており、[[少年雑誌]](週刊少年漫画誌)でメディア展開が行われていたが、視聴者層の低年齢化に伴い、1971年に『[[テレビマガジン]]』が刊行され、以後[[児童雑誌]]のみでメディア展開されるようになった([[第一次怪獣ブーム]]、[[第二次怪獣ブーム]]の項も参照)。その状況はオリジナル作品の増加を促し、70年代までのように児童以外の視聴者層が見るということもなくなった。女児向けアニメにおいては現在進行形でこの状況が進みつつある([[ロボットアニメ#隆盛と衰退]]参照)。
主に小学館のコメディ作品において顕著であるが、[[藤子不二雄]]作品や『[[ポケットモンスター (アニメ)|ポケットモンスター]]シリーズ』、『[[ビックリマン (アニメ)|ビックリマン]]』などは女児向けにおいてのメディア展開も行われており、事実上の[[ジェンダー]]レス作品である。いずれもアニメ化など長期メディア展開の過程で本来の層以外に向けたアレンジが行われている。特に性別を問わない[[小学館の学年別学習雑誌|学習雑誌]]の掲載作品には顕著であり、『ドラえもん』は連載当初の原作のアンケートで少女の人気が低かったので、女子向けのひみつ道具を出すように<ref>『封印作品の憂鬱』洋泉社 2008年、安藤健二</ref>したこともある。『ポケットモンスター』ではアニメ版で主人公・[[サトシ (アニメポケットモンスター)|サトシ]]の最初のポケモンを、制作側女児にもターゲットを広げたいというの意向で、[[ピカチュウ (サトシのポケモン)|ピカチュウ]]に変更している<ref group="注">原作ゲームでは[[フシギダネ]]、[[ゼニガメ (ポケモン)|ゼニガメ]]、[[ヒトカゲ (ポケモン)|ヒトカゲ]]の3種のポケモンの中から1匹を選択する。アニメでは主人公も前述の3匹から選ぶ予定だったが、遅刻したという設定になってい。</ref>。玩具関係ではほぼ男児向けに展開している『[[ヤッターマン]]』でも、2008年版放送中の[[めばえ (雑誌)|めばえ]](小学館発行)の付録に女の子キャラ(ヤッターマン2号)にも対応したお面がついていたことがある<ref group="注">特撮作品であるが『[[超電子バイオマン]]』と『[[電撃戦隊チェンジマン]]』の女性メンバーの女児向けの[[着せ替え人形|ファッションドール]]をバンダイが販売した事例がある。</ref>。また、ガンダムシリーズの従来と異なりホビーとしての[[ガンプラ]]を扱う『[[ガンダムビルドファイターズ]]』においては、[[ベアッガイ]]のような少女ファンも意識したガンプラを登場させている。また、[[世界名作劇場]]も『[[トム・ソーヤーの冒険 (アニメ)|トム・ソーヤの冒険]]』など原作の選択からうかがえるように、こちらも男児と女児の両方に向けて展開していた。また、元々が新聞漫画が原作であり、どちら向けとも言い難い『サザエさん』<ref>ただし、アニメ化以前の時期までは女性ファンの支持が多く、少女漫画誌で連載していた時期もある。</ref>でファッションドールなどの女児向けの玩具展開を行っていた時期もある。
また、2007年頃から従来型のアニメーション技法を用いずに、[[3次元コンピュータグラフィックス|3D-CG]]で構成したテレビアニメ作品も登場している<ref group="注" name="3D">[[小学館集英社プロダクション]]及び[[SynergySP]]が制作に関与している作品に多く、男児向けアニメでは『[[サルゲッチュ (アニメ)#『サルゲッチュ ~オンエアー~』|サルゲッチュ ~オンエアー~]]』や 『[[ペンギンの問題]]』(『[[おはコロシアム]]』枠)などに、両性向けアニメでは『とっとこハム太郎』シリーズのうち2008年製作分以降の一部に、女児向けアニメでは『きらりん☆レボリューションSTAGE3』(2008年度放送分のみ)、『[[極上!!めちゃモテ委員長]]』、『[[リルぷりっ]]』(2011年度に「[[のりスタ!|のりのり♪のりスタ]]」内で放送された第2期のみ)、『[[はっぴーカッピ]]』(「のりのり♪のりスタ」内)などに採用された。しかし『[[ちび☆デビ!]]』では2D制作に戻った。[[小学館集英社プロダクション]]とは関係ない作品でも、2008年に放送開始した『おねがいマイメロディ きららっ☆』も3DCG制作主体になっていたが、こちらは従来通りの2D制作の回もあり、後番組の『ジュエルペット』シリーズでは完全に2D制作に戻った。『プリキュアシリーズ』においては本編ではほとんど用いられていないが、『フレッシュプリキュア!』(2009年度放送分)以降のエンディングの映像に採用され、女児向けにミュージックDVDとしても販売されている。</ref>。
 
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=== 女児向けの現状 ===
主にアニメオリジナル作品と少女漫画を原作とする作品に分かれ、前者は幼児や小学校低学年での人気が高く、後者は幼児より小学生の人気が高い傾向にある。しかし近年は『プリティーリズムシリーズ』や『アイカツ!シリーズ』などのように小学生向けでもアニメオリジナル作品の割合が多くなっている。海外アニメでは主流となっている3DCGで構成したテレビアニメーションは近年国内アニメでも見られ始め、女児向けアニメでも2008年以降徐々に増加している<ref group="注" name="3D" />。
 
漫画以外が原作の作品およびアニメオリジナル作品は、コミカライズ(漫画化)などのタイアップ先として、『[[ちゃお]]』(小学館)、『[[なかよし]]』(講談社)、『[[りぼん]]』(集英社)の3大小中学生向け[[少女漫画]]雑誌と組むことが多い。また、幼児向け雑誌や絵本を出版している小学館や講談社が出版権を持っている作品の場合は、アニメ化の形態に関係なく、自社発行の幼児、小学低学年向け総合雑誌である『[[めばえ (雑誌)|めばえ]]』・『[[幼稚園 (雑誌)|幼稚園]]』・『[[学習幼稚園]]』・『[[ぷっちぐみ]]』(小学館)や『[[おともだち]]』・『おともだちピンク』・『[[たのしい幼稚園 (雑誌)|たのしい幼稚園]]』・『たの幼ひめぐみ』・『Aneひめ』(講談社)にアニメ版をモチーフとした漫画絵本が掲載されることが多い<ref group="注">集英社では2000年代以降は幼児向け絵本や雑誌を出版していないため、同社や子会社の白泉社が出版権を持つ作品も(同じ[[一ツ橋グループ]]に所属する)小学館の幼児雑誌に掲載されることがある。集英社の男児向け作品の中には小学館ではなく講談社の幼児雑誌に掲載されることもあるが、女児向けの作品はそのようなケースはない。</ref>。他に[[サンリオ]]も幼児向け雑誌を出版している。また『おねがいマイメロディ』や『ヒミツのここたま』など幼児向け雑誌とタイアップをしていても、少女漫画雑誌とのタイアップは採らなかった作品もある。